一般社団法人 職業感染制御研究会
研究会の歩み(年表)
 職業感染制御研究会は、職業感染制御について個別的かつ総合的に研究し、職業感染制御を行なう目的で1994年に設立されました。研究会は大学等研究金・医療関係者の職業感染制御に関心を持つ個人と組織で構成されています。総会を年1-2回開催し、研究会メンバー間での情報共有と行動計画を立案し継続的な活動を行なっています。
 研究会で取り組む課題は、1)職業感染、特に血液・体液曝露予防対策の実践的研究を現場の医療従事者が主体的に取り組み、展開できる支援体制の国内整備、2)針刺し・切創などの血液曝露予防対策の根幹となるサーベイランス体制の個別病院・全国ネットワークの確立と最新知見の情報発信、3)針刺し・切創および皮膚・粘膜汚染予防対策を日本の医療現場に定着させるための活動などです。これまでの主な活動実績を表に示しました。
 これまで実施してきたサーベイランスツールの提供や講演会活動、インターネットを通じた情報発信などにより、針刺し切創対策の国内水準が高まり、全国の医療施設における職業感染技術の向上に貢献しています。最近では認定看護師育成やICD/ICNの教育活動にも研究会の成果の多くが提供されています。


表1 職業感染制御研究会の活動実績(2011年以前)
職業感染制御研究会の主な活動内容 国内外の動き
2011 第24回日本環境感染学会の教育講演会に協力、職業感染制御研究会の展示ブースを初出店
Episysの改訂版・バージョン201の公開
エピネット日本版サーベイランスワーキンググループ(JESWG)によるエピネット日本版全国サーベイランス(JES2011)の実施
2010 JES2009の成果を環境感染学会で公開
個人用防護具安全製品カタログの作成に着手
米国:バージニア大学国際医療従事者安全センターで針刺し予防法成立10周年記念カンファレンスが開催
2009 エピネット日本版サーベイランスワーキンググループ(JESWG)により、2009-2014のサーベイランスネットワーク病院の募集が始まり、5年ぶりとなるエピネット日本版全国サーベイランス(JES2009)が実施される 欧州:欧州議会、鋭利器材損傷の予防枠組み指令を制定
2008 日本産業衛生学会医療従事者のための産業保健研究会との共催で「医療機関における呼吸器感染から医療従事者をどのように守るか」を北里大学で実施
2006 第21回環境感染学会総会で「わが国の医療の現場における針刺し防止対策のストラテージ」を企画、針刺しサーベイランスとその対策戦略について新たなツール開発に着手
2005 職業感染防止のための安全対策製品カタログ集の改定
厚労省通達にエピネット日本版による全国サーベイランス結果に基づく対策視点が反映され、職業感染防止の項目が盛り込まれる
日本:2月「医療施設における院内感染の防止について(医政指発第0201004)
2004 Episysを改訂、EpisysA109とEpisysB109を作成、ホームページから無償ダウンロードを開始 米国CDC:針刺し損傷防止のためのワークブック公開
2002 EPINetTM の開発者であるバージニア大学のJanine Jagger教授を招聘し、職業感染制御研究会講演会を2002年4月13日-19日:東京、仙台、大阪、京都にて開催
エピネット日本版の改訂(A:針刺し・切創報告書の改定およびB:皮膚・粘膜汚染報告書の追加:Ver.4)とその集計解析ソフトEpisys107A4 およびEpisys107B4 の作成
国立大学付属病院の針刺し・血液汚染サーベイランスにエピネット日本版が採用され、その集計・解析ソフトEpisys107A4&B4を提供
2001 職業感染防止のための安全対策製品カタログ集(第2版)を出版
針刺し事故防止のCDCガイドライン:監訳
米国OSHA:針刺し安全・予防法(改訂BPS)の施行、安全器材(安全装置つき器材やニードルレスシステム)工学的管理導入の義務付け、曝露管理計画の毎年の見直し、製品の評価、労働者の参加の規定
2000 エピネット日本版(Ver.3)に対応したA:針刺し報告集計・解析ソフト(Episys105)を公開 米国議会:針刺し安全・予防法(改訂BPS)の成立
1999 米国OSHA医療機関では安全装置つき器材を使用するよう、初めて言及
1998 米国カリフォルニア州で針刺し安全法が成立
1997 東京大学付属病院感染制御部を事務局として正式に発足(初代代表:木村哲)
血液/体液曝露サーベイランスの報告書式として、バージニア大 学で開発されたEPINet (Exposure Prevention Information Network )にリンクした、エピネット日本版A:針刺し報告書を作成し、研究者が自由に活用できるようにして配布
1996年~1998年の3年間のエイズ拠点病院の針刺し報告書式として、厚生省班研究に活用された。1999年以後は当研究会が調査を継続
米国CDC安全装置つき器材の有効性を示す2つの研究論文を公表
1994 職業感染制御研究会(Research Group of Occupational Infection Control and Prevention in Japan (JRGOICP))の設立、エピネット日本版の開発と試用開始 バージニア大学に国際医療従事者安全センター(IHCWSC)が設立される
1992 米国FDA金属針を用いない静脈接続ラインの導入を推奨
医療機関における針刺し切創の自発的データ共有ネットワーク "EPINet network" の運用が米国において開始される
1991 EPINet surveillance system が、Dr. Jaggerらによって開発される
米国血液媒介病原体基準(BPS)の発表、針刺し防止のための管理計画、工学的管理と作業管理の基準を明示
1988 米国ニューイングランドジャーナルオブメディシンにJanine Jagger氏の針刺し防止のための疫学研究論文が掲載
CDC針の使用地点に可能な限り近い場所への廃棄容器の設置
1982 米国CDCリキャップせずに、耐貫通性容器に捨てる
1975 米国CDC針は廃棄する前に曲げるかリキャップすべき