第104回日本消化器内視鏡学会近畿支部例会(Web開催)にあたって
この度『第104回日本消化器内視鏡学会近畿支部例会』を担当させていただくこととなりました公立甲賀病院の辻川知之です。伝統あるこの会に携わることは、前任である滋賀医科大学総合内科学講座ならびに国立病院機構東近江総合医療センターの関係者一同、光栄に存じております。今回のテーマは「超高齢化社会に対応し、地域から発信する消化器内視鏡診療」として準備を進め、
通常開催時のプログラム・抄録集発刊直前までに至りました。
しかし、2019年12月に中国で発生したCOVID-19感染症がいよいよパンデミックとなり、
3月の時点ですでに通常開催はかなり厳しい状況が予想されました。実際、4月から5月開催予定であった全ての医学系学会が、中止あるいは延期を余儀なくされたことはご承知のことと存じます。幸い、当地方会は6月27日開催予定で少し時間的猶予があったこと、さらにテレワークやWeb会議などインターネットを用いた手法が急速に普及してきたこと、そして共催企業や先生方もWeb講演会などに少しずつ慣れてきたこと、などから何とかWeb開催にこぎつけることができました。まずは準備していただいた関係各位にお礼を申し上げます。
今日の消化器内視鏡学は、特に胆膵領域を中心に内視鏡手技やデバイスの発展が著しいものがありますが、先生方もお気づきのように対象患者はより高齢者の方へシフトしています。また、高齢者での罹患患者が増えてきたIBD診療やESDによる癌治療、そしてステントなどの緩和治療など、むしろ高齢化が進む地方の中核病院で高度な内視鏡診療が求められています。最先端の内視鏡治療やユニークな手技の成果をご発表、そして十分な議論を
いただき、会員の皆様、特に地方のご施設での内視鏡レベルの均てん化に少しでも貢献
できればと考えておりました。
しかし、上述しましたように予定と異なりWeb開催となり、発表の聴講形式は一堂に集まる学会場から、個人のパソコン画面での視聴となりました。発表内容の理解度に差がないと思われますが、質疑応答やディスカッションなど相互方向の通信はご満足いただけるシステムの構築が困難でありました。一方、会員の皆様にとって、好きな時間に参加できること、
通常開催では不可能である全ての演題発表を見ることが可能なこと、共催セミナーもライブではありますが、複数視聴できることなど、Web開催ならではのメリットもあると思います。ただし、直接参加しないと学べないハンズオンセミナーや、見て触って質問できる企業展示などを中止せざるを得なかったことは誠に残念であります。
『第104回日本消化器内視鏡学会近畿支部例会』は今までとまったく異なり、今後の新たな学会・地方会のあり方を問う試金石とも位置づけられます。我々は新たに「Webを介した新しい消化器内視鏡学の挑戦」というテーマも付け加え、6月27日からのWeb会場オープンとなる直前まで、会員の皆様に満足いただける会を提供できるよう改良を重ねる所存です。このWeb開催が成功するためにも、どうかできるだけ多くの会員の皆様がWeb会場へログインくださいますよう、重ねてお願い申し上げます。
第104回日本消化器内視鏡学会近畿支部例会 会長 辻川知之
地方独立行政法人公立甲賀病院
事務局 滋賀医科大学総合内科学講座(東近江総合医療センター内)