日本臨床高気圧酸素・潜水医学会
代表理事 有賀 徹
(独立行政法人 労働者健康安全機構 理事長)
平成25年7月の社員総会におきまして、島崎修次代表理事のあとを引き継ぎ、代表理事に就任いたしました。ここにご挨拶を申し上げます。私は、学会の発足当初より理事として、また平成23年度よりは副代表理事として会務全般を俯瞰してまいりましたが、引き続き代表理事として本学会の発展のために一層の努力をさせていただきたく思います。
さて、本学会は平成16年5月に、八木博司先生を代表理事として有限責任中間法人日本臨床高気圧酸素・潜水医学会として発足いたしました。平成18年度より専門医制度および高気圧酸素治療装置操作認定技師制度をスタートさせ、専門医についてはすでに30余名、技師認定については250余名が誕生しております。後者については今春より更新のための講習会をスタートさせ、更に多くの更新対象者のニーズに応えるべく、第1種装置を使用した更新講習会や九州地方以外での開催なども検討しています。加えて、臨床工学技士のための高気圧酸素入門(教科書)の改訂版を発行いたしました。
昨今の病院医療の展開には職種を越えた連携やチーム医療の実践、または医療提供側と患者・家族らとの協働等の視点が求められています。このためには、新しい考え方・文化に充分に応えることのできる人材を育成し、新しい医学・医療の進歩を反映した治療と、そのための研究を発展させることが必要です。
特に高気圧酸素治療の領域では、適応疾患に関するEBMを確立させ、安全性・効率性の向上を求めていくことが極めて重要と考えます。これらのことを克服する一助として、私たちの学術団体は、「高気圧酸素治療のための医学・生理学」なる翻訳書籍(Neuman,TS,Thom,SR:Physiology and Medicine of Hyperbaric Oxygen Therapy)を発刊(へるす出版)するに至りました。我が国の現状では、残念ながら潜水医学の領域は必ずしも研究の態勢が整っているとは言えず、むしろ遅延していることを否めません。いずれ、欧米諸国との共同研究、成果の共有をも進めていかねばならないと痛感する次第です。
当学術団体は、これからの高気圧酸素治療に関する医学・潜水に関する医学について、大きな発展の起爆役、ないし推進役としての任を果たせるよう心から努力する覚悟です。皆々様にはどうぞ宜しくご支援のほどをお願い申し上げます。