◆Portable修理記4〜つかの間の勝利〜◆
コンデンサー交換しか策のない私(苦笑)は,ひたすら電解コンデンサーの交換に明け暮れます.
C11(16V,47μF→25V,47μF):スピーカーから音がしなくなってしまいました.
C24(50V,1μF→50V,1μF):駄目.
C10(16V,47μF→25V,47μF):液漏れひどい.駄目.
C9(16V,47μF→25V,47μF):駅漏れひどい.スピーカーは復活!
C4(50V,1μF→50V,1μF):駄目.
C5(50V,1μF→50V,1μF):駄目.
C22再交換:駄目.
C8(25V,470μF,105℃→35V,470μF,85℃):駄目.
C19(25V,100μF→35V,100μF):駄目.
C6(25V,100μF→35V,100μF):駄目.
C18(25V,100μF→35V,100μF):駄目.
C3(25V,220μF→35V,220μF):駄目.
C14(16V,10μF→25V,10μF),C116(16V,10μF→25V,10μF),C2(25V,100μF→35V,100μF):駄目.
もう殆どキリがありませんが,結局コンデンサー交換では何をやっても駄目らしい事がはっきりしました.
そして妙案のないまましばらくこのロジックボードの修理は放棄していました.
そして月日は少し流れます.
私自身の転勤もありしばらくバタバタしていましたが,身辺も一段落ついた1999年暮れ,もう一度修理と格闘してみる事にしました.
症状から考えると.電源系(アナログ回路)に問題があるのは間違いありません.non-backlitタイプのロジックボードに於けるアナログ回路は基板の左下,つまり,U1MハイブリッドICとその周辺部に集中しています.
この電源系によって+5V,+12V等Portableの動作に必要な電圧がロジック全体に供給されている筈です.強制スリープに突入するという事は,この電圧が変化しているかも知れないと考えた訳ですね.
PDS端子を利用して,本当に+5Vが正しく生成されているのかをテスターを用いて確認してみました.すると,電圧が非常に上下して不安定です.しかも時に+8V位に上昇したりする事もあります.
やはりここが問題らしい.
まず,もう一度全ての電解コンデンサーを剥がし,端子をきれいに磨いてから半田付けし直しました.次に前回剥がしてしまいジャンパ線で補修していたプリント基板パターンをドータイト(正確にはドータイトでは無く,自動車のリアガラスの電熱線補修用の導体ラッカー)で修理.
更に,ハイブリッドICの基盤を良く観察すると,パターンが焦げている箇所があるではないですか.
ここの導通を測定すると,本来なら0オームであるべき箇所が何カ所か導通不良になっていました.そこでドータイトで補修です.
ちょっと解りづらいですが,こんな感じです.
起動してみると…,バッテリーをフル充電認識しています!ACアダプタ接続で何時間使用してもバッテリーレベルは低下しません!全ての症状は消失しています.
直りました!(歓喜)
しかし,です.何故か1MBのRAMカードをさすとブートしなくても勝手に電源が入り,意味不明な模様が画面上に表れてそのままフリーズします.この時,+5V端子は実測+8Vに跳ね上がります.
さてこれはこのロジックボードの問題か,RAMカードの問題か?
このRAMカードを健康なPortableにさすか,別のRAMカードをこのロジックに使えばすぐ結論が出ると分かっていたのですが,無傷な個体が壊れる事を恐れてこの時はテストしませんでした.
(このRAMカードについては後に続きの話がありますが,詳細は次章にて.)
このPortable,その後も問題なく使用出来ました.そこで恐る恐る正常動作が確認されている1MBのRAMカードをさしてみました.
全く正常に認識されています.動作もOKです.
「これでこのPortableは完全に修理できた」と思いました.しかし,そうは問屋が卸してくれなかった.
復活から1週間余り後,このPortableを起動してみると,何故かHDDがギチギチ音を立てるだけで回転しません.リスタートボタンを押すと回転開始して,無事起動.「ハードディスクが固着した?」と思い,そのままディスクを回転させ続けてからシステム終了,そして再度起動してみると,やはり同じ症状が出ます.
その2日後,起動しようとすると…,全くうんともすんとも言いません.
慌ててPDSの+5V端子電圧を測定すると,何と0V.バッテリーを外してACアダプターだけにすると,今度は+8V.
もう一度バッテリーを装着すると,再び0V.分解してロジックボード+ACアダプタだけの状態でもう一度PDSの+5V端子を測ると,大体+2V.内部SCSIや外部フロッピードライブの+5V端子は0Vです.
ACから直接繋がるライン(約+7V),PDSやSCSIの+12Vラインは問題無し.+5Vの生成が完全に駄目になったようです.
修理後10日で寿命が尽きてしまいました…
後日,ハイブリッドICそのものを他のロジックから移植しようと格闘しましたが,半田剥がしで挫折してしまいました.
以降現在に至るまでこのロジックボードが生き返る事はありません.(合掌)
きっと無理矢理修理して,どこかにとんでもなく負荷がかかったのではないでしょうか?ハイブリッドICでパターンが焦げている箇所があったのはそのためだったのでしょう.ハイブリッドICの外回り(パワートランジスタ等)に問題がある可能性もあります.だから,幸運にハイブリッドICを交換出来ても,また焼き切れてしまうかも知れません.
残念ですが,このロジックボード修理は諦めてしまいました.「Portable修理記」はここで一区切りをつける事とします.
なお,「Portable修理記」の最初に出てきたロジックボードについては,まだ続きの話があります.それは章を改めて…
(2002年5月13日)
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