1998年5月24日
講師 :株式会社イング 森 一幸、谷平 宏樹
講演題目:放射線管理について
講演内容:
放射線管理は地味な分野でしかも利益を生む分野ではないので、ついつい疎かにしがちである。しかし作業者の被ばく低減そして一般人の信頼を得る為には重要な分野であるから、今一度知識を整理したい。
1、被ばくの低減について
a)被ばくの実際
内部被ばくと外部被ばくについて注意すべき線種を把握して対処する。
・外部被ばくの例
32P470MBqを小分け、細胞培養、遠心分離そして分析の一連の取り扱いを行ったときの指の皮膚被ばく線量は1.5mSv〜6.7mSvであり、特徴は左手の被ばく線量が大きいことです。
・内部被ばくの例
125Iの空気中への飛散率は以外に大きく、一時間当たり約5×10ー4であり、またアルカリ性溶液より酸性溶液の方が飛散率が大きい。
b)使用核種の特徴を知る
自分の使用している核種についての特徴を知ることが第一歩である。
c)被ばくの低減方法
内部被ばくで注意するのは長半減期のベータ核種、外部被ばくで注意するのは短半減期のエックス、ガンマー核種である。
2、汚染拡大防止について
a) 測定器の使用方法
測定器は万能ではない。特によく使うGMサーべーメータは消し忘れによるバッテリ切れを起こして作動しない場合がある。また低エネルギーの放射線には感度が悪い。
(計測値−B.G)≦3× (B.G/測定器の時定数)・・・汚染なし
cpm cpm cpm 分
(計測値−B.G)>3× (B.G/測定器の時定数)・・・汚染あり
cpm cpm cpm 分
b) 汚染検査の方法
サーべーメータ法とスミヤ法があり、汚染の有無の判定は検出器の感度限界値を越えるか否かによって判定する。
(計測値−B.G)≦3× (B.G×2/測定器の時定数)・・・汚染なし
cpm cpm cpm 分
(計測値−B.G)>3× (B.G×2/測定器の時定数)・・・汚染あり
cpm cpm cpm 分
3、放射性廃棄物の分類について
アイソトープ協会の指定したとおりの分類をするが、判断に迷う実際の事項を示して検討した。
4、90年勧告の受け入れについて
平成12年には新法令が施行されそうであるが、主な変更点を予想した。
a) 現行の実効線量当量年50ミリシーベルトが、5年間に100ミリシーベルト、ただしいかなる年度の1年間にも50ミリシーベルトを越えないになる。
b) 管理区域の境界の限度値が3分の1になる。
5、施設の保守管理の実際
スライドを使用して保守管理作業の実際を紹介した。例えば貯留槽の清掃、排気フィルターの交換、施設の除染工事。
もどる
Indexへ戻る