平成10年4月14日 通算第293回定例会
「放射性医薬品の取扱い」
東京都立八王子小児病院 目 崎 高 志
1、規制について
1.国立の施設の場合
・医療施設:放射性医薬品を使用 -> 医療法施行規則
人事院規則
放射性医薬品以外を使用 -> 医療法施行規則
人事院規則
放射線障害防止法
・ 一般施設:放射性医薬品以外を使用 -> 人事院規則
放射線障害防止法
2.公立および民間施設
・医療施設:放射性医薬品を使用 -> 医療法施行規則
電離放射線障害防止規則
放射性医薬品以外を使用 -> 医療法施行規則
電離放射線障害防止規則
放射線障害防止法
・一般施設:放射性医薬品以外を使用 -> 電離放射線障害防止規則 放射線障害防止法
2、放射線の取扱いについて
1.放射線は非常に利用価値が高い ->しかし、放射線被ばくが存在する。
放射線を取扱うということは、放射線被ばくを可能な限り少なくし、利点を最大に利用することである。
2.放射線防護の目的(ICRP 1977年勧告 Publication 26)
「非確率的な有害な影響を防止し、確率的影響を容認できるレベルまで制限すること、ならびに放射線被ばくを伴う行為が確実に正当化されるようにする。」
ポイント : 防止、制限、正当化
ICRP1990年勧告(Publication60)では、非確率的影響が確定的影響となるが、根本は防止、制限、正当化の3つが大きな柱である。
確率的影響について : 晩発障害(発癌など)、遺伝的影響(突然変異など)
発生率は線量に比例して上昇する。
自然発生率があるため、“0”にはできない。
確定的影響について : 急性障害(脱毛や皮膚の紅斑など)、白内障、不妊など
しきい値以上で発生率が上昇する
3.放射線防護の理念
確定的影響を“0”にして確率的影響をできるだけ少なくする。
4.放射線防護の目的を達成するための基本方針
行為の正当化
放射線防護の最適化
線量制限(法的に被ばく線量を規制)
3、放射線施設におけるRIの取扱い
1.病院でのRI取扱いにおいて放射線被ばくの確率が高い業務は医薬品調整業務である。
2.管理区域への入室
遵守事項の確認。
スリッパへ履き替える : 外の履き物と中の履き物を明確に分ける。
3.分注、調整作業
専用の白衣(または黄衣) : RIが飛散しても衣服へ付着しないようにする。
リングバッジ(指)とフィルムバッジの使用。
手袋の着用。
RIバイアルのシールドと注射器のシールドの使用。
自動分注装置の使用。
4.作業室内は汚染等に対処するためにポリエチレン濾紙を貼る。
5.貯蔵庫の使用
6.患者からの放射線被ばくを防止するために防護衝立を使用する。
4、取扱いに際して
1.防護の3原則 : 時間、距離、遮へい
2.「おそれず」「あわてず」「あなどらず」
3.コールドランを行い、手順を理解しておく。
5、調整業務の実際(東大病院核医学施設の見学)
(文責:目崎 高志)
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