通算第263回 定例記録会
基礎講座 Part.II
2.新しい医薬品の使われ方と最新核医学検査法
慶應義塾大学病院 三宮敏和氏

 タイトルが非常に範囲が広くてまともに、例えば薬の概要ならびに検査方法、場合によっては定量法など全部話をしていると夜中になってしまうので少し簡略化して話す。
 最近の医薬品という事で今年もそうだけどここ2〜3年ほど新しく認められた薬が国家試験に出てるということで今日は学生が多いが実習病院で行う勉強が非常に国家試験に入ってきているのでまじめに実習してもらいたい。私が慶應に入ったのが51年だからこの頃の話だが国家試験に出てきたのが肝シンチを撮るのに金コロイドを使っていた時代である。最近は数多くの医薬品が認可されている。これを一つ一つ説明すると大変なので抜粋して説明する。
 医薬品が世の中に売り出される前、いわゆる認可されるにはまず治験というものを行わなければいけない。治験の第一層だが目的を体内薬物動態とあるがこれは正常の人のボランティアを募るわけだが大部分がそこのメーカーさんの人達で、その方たちに投与して体内薬物動態を調べるわけである。安全性を見るには自他覚症状はないかとか、身体所見、これはバイタルラインといって例えば呼吸数、脈拍数、体温などを見る。それと臨床検査値、これは採血とかちく尿を行う。その薬の体内動態時間を見ていくに当たり、これはTc-MIBI(カーディオライト)といって心筋の薬で、その薬がどのくらいの時間で検査を始めればよいか、もしくはそれを見ていくのに血中クリアランスといって注射をしてからその反対の腕から採血をして血中の濃度を見ていく。その他に注射してから、前面像、後面像を5分後、1時間後、2時間後とか4時間後、24時間後とかの全身像を写して色々な部位、例えば唾液腺、甲状腺、肺、心筋、肝臓、腎臓、腸、膀胱に正面と後面と全身のROI(関心領域)を書いていく。ひとつひとつROIを書いていくのは大変な作業である。最終的に何を行うかというと、この前面と後面を囲んだtotal countの平均値、つまり足して2で割ったカウントを全体で割ってやると全体の投与量に対するその部分の%dose出てくる訳である。それによって各部位の摂取率がどの位有るかという事を見ていく。例えばこれはMIBIだから心筋の安静の時のup take、負荷をかけたときのup takeを先程の血中クリアランスを見てどの位から検査を始めればよいかをこういう試験で見ていく。それと%doseから被曝量も計算して求めていく。
 次に頭の薬だが、例えばMRIは異常が有るか無いかという2次元的な物だが核医学はどちらかというと多角的な診断が出来るわけである。商品名がセレテック・パーヒューザミン・ニューロライトとあって、それぞれの集積機序としては脂溶性である。いわゆる油である。それが脳内には入ってそのエステル基の一部が加水分解を起こして水溶性になる。そこで水溶性だからそこから出て行かなくなる。そして脳内に留まって脳のイメージが出来る。特長としてIMPの場合にはアミンの特異性若しくは非特異性の結合によっての脳集積もあるのでちょっと他とは違う。今日はメーカーさんも来ているのでそれぞれの薬の比較というわけには行かないのがIMPはやはり低血流域の描出能が非常にコントラストが良いというと特長があるといわれている。PAOとかECDはTc製剤だから投与量が多くできるので画質としてはこちらの方がよい。それぞれの特長がある。IMPの、例えば定量を見た場合、マイクロスクェア法とかARG方とか有るわけだが、今日は全部説明を出来ないので当施設で行ったパトラックの定量法を中心に説明する。まず定量には入る前にPAOとECDだが同一患者で行った時はPAOの場合にはラグジュワリー・perfusion、贅沢環流ということがある。低血流域が4〜5日まではまだ少ない形であるのだが6〜8日目になると血流が回りから出てくる。ECDと比較した時にはPAOの方がこういう傾向にある。もう一つは梗塞に置いてクロスセルブラーレルダイアノキーシスといってその反対側の小脳の血流が落ちるという事になる。ほとんどの場合がそうである。一つの診断として小脳の左右差を見るという事が非常に重要である。脳の定量するに当たってテクネを使ったPAOとECDに関して、パトラックプロット法がある。簡単に説明するとtime activity curveが得られた直線部分の所を直線フィティングしてそれぞれの傾きから摂取計数を出してBPI(brain perfusion index)の式に代入して求める。まず脳に半球づつROIを取りaortaにROIを取ってそのROIを1:10に正規化する事によってROIの大きさに依存しないBPIを取ることになる。これが求まると133Xeの吸入SPECTによる半球の血流に非常に正の相関がある。のでそれに代入して半脳の平均血流を求める事が出来る。ちなみにPAOだと2.75と17.66に成っている。これが求まるとこんどは局所の脳血流量を求める訳だがラッセンの補正を用いた、いわゆる濃度コントラスト。高濃度部分が下がってしまうということでこれをリニアに持ち上げる補正な訳だが、最終的に局所の脳血流量を求めるにはこの補正係数もPAOとECDでは変わってくる。そう言うような事で脳の血流を求めるという事は病体把握のために非常に重要なことである。先程の計算をプロトコル化するとまず最初に頭から大動脈弓を全部含んだRIアンジオを行ってパトラックプロットによりbrain perfusion indexを算出し半脳の平均血流量を出す。片方では脳のSPECTを撮像する。正常で有れば全脳でも良いのだが片方が異常で有ればその正常の方の半球にROIを取りカウントを算出し、先程のラッセンの補正に入れて最終的に局所の脳血流量を出すという事をする。こういう定量をすることによって例えば計時的な変化がどうなっているのかを見ていく。もう一つはダイアモックス負荷という物がある。これはうちでは行っていないのだが脳環流圧の正常か異常かを見ていくときに一つは血流低下領域を見るだけでなくやはりその回りの予備能を、脳循環予備能を評価すると良いという事で例えば正常の人の安静時の場合には血管の拡張が通常に有るとそれがダイアモックス負荷を使うことによって薬利的作用によって血管が拡張して末梢の血流領域が高い写真になる訳だ。それに対して最初から血流低下があった場合には生理的作用によってすでに末梢血管が拡張しているのでそういう人に負荷を用いても変わらないという事で相対的にはカウントの上昇は見られない訳でそういうイメージを撮ることが出来る。そういう物を全部判断して脳環流の予備能を同定することが出来る。この様な検査法方もある。
 次にMAG3だがこれは今まで第一さんだけだったけれどもメジさんもこんどこの注射液が出ました。今までの薬と何が違うかというと過去は131Iのヒップランをよく使っていたがそれは半減期が永いしエネルギーが非常に高いので使いずらかった。その後に123Iを用いたOIHがメジフィジクスから出てこれは糸球体濾過率と尿細管分泌及び再吸収という事でその両方で濾過している訳でヨードの場合には糸球体濾過率が約20%、尿細管濾過率が60〜80%と言われているがそれに対してこのTcのMAG3は糸球体濾過率が2〜5%で尿細管濾過率50〜60%と若干ヨードより低い訳だがほぼ同等のレノグラムパターンを示すという事で、最近これがよく使われるようになってきた。この様に尿細管濾過率が50〜60%と高いのでこれから有効腎血流量を求めることが出来る。それに対してTcのDTPAは糸球体濾過率が20%後はほとんど濾過されない。この場合にはGFR(糸球体濾過率)が求めることが出来る。ちなみに我々がレノグラムのグラフを評価するに当たりMAX値とT1/2を一番良く見る。123IのOIHの場合にはT-MAXの平均値は約5.63分と言われている。それに対してMAG3は6.84分である。さらにDTPAはおそくなる。従って排泄層の軽度障害を見るにはDTPAはあまり得意ではない。T1/2はOIHの場合には10.78分、MAG3は12.60分である。さらにアシアロだが慶應では使用していないのできちんとした説明が出来ないので説明書を読ませてもらうとGSAはほ乳類の肝細胞に特異的に存在するアシアロタンパク受容体に親和性を有する。アシアロタンパク受容体肝疾患の際に減少しその際に血中からのアシアロタンパクのクリアランスが低下し血中のアシアロタンパクの濃度が上昇する。
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