2.放射性医薬品の取り扱い
創価大学 生命科学研究所 小田 正記氏
法規制、防護、取り扱いの実際、汚染に対する対処についての講演が行なわれ、続いて分注 作業のコ−ルドラン実習が行なわれた。
(I)RI取り扱いの法規制
	国立施設
		(1)医療施設		放射性医薬品	-->	医療法施行規則
									人事院規則
					放射性同位元素	-->	医療法施行規則
					(医薬品を除く)		人事院規則
									障害防止法
		(2)一般施設
					放射性同位元素	-->	人事院規則
					(医薬品を除く)		障害防止法
	民間事務所
		公立事業所
		(1)医療施設		放射性医薬品	-->	医療法施行規則
									電離放射線障害防止規則
					放射性同位元素	-->	医療法施行規則
					(医薬品を除く)		電離放射線障害防止規則
									障害防止法
		(2)一般施設		放射性同位元素	-->	電離放射線障害防止規則
					(医薬品を除く)		障害防止法
(II)放射線被爆防護
	放射線防護の目的(ICRP)
非確立的な有害な影響を防止し、確立的影響を容認できるレベルまで制限すること、ならびに放射線被爆を伴う行為が確実に正当化されるようにする。
	確立的影響(晩発障害.遺伝的影響)
被爆した放射線量の大きさによって障害の重篤度が変化するのではなく、発生率のみが変化する。発癌、突然変異など。
	非確立的影響(急性障害)
被爆した放射線量の大きさによって障害の重篤度が変化する、しきい値以下ではみかけ上、障害が現われない。しきい値以上の線量ではその線量に応じて障害の程度が変化する。
					しきい値
		皮膚の紅斑		3Gy3週目に発症
		脱毛			3Gy
		白内障		15Sv
		不妊			2.5Gy(一時的)
					15Gy(永久的)
	放射線防護の目的を達成するための基本方針
		行為の正当化
		放射線防護の最適化
		個人の線量制限
	防護の3原則
		閉じ込め
		有効的な
		制御
(III)日常業務における安全取り扱い
	^体外被爆防護の3原則
		距離
		遮蔽
		時間(コ−ルドランによるリハ−サルによって作業時間の短縮が重要)
	_内部被爆防護の5原則(3D、2Cの原則)
		希釈(dilute)
		分散(disperse):換気
		除去(decontamination)
		閉じこめ(containment):グロ−ブボックスの使用
		集中(concentration):線源の集中保管
	`放射性医薬品の院内における流れ
		入庫→貯蔵→分注→検査→保管廃棄
	管理区域への入室
	・サンダルの履きかえ(とじこめ)
	・放射線医薬品の入庫、貯蔵
	・購入できる核種は事前に届け出をしている核種に限る
	・使用量は事前に届け出をしている一日最大使用量以内
	・貯蔵は事前に届け出をしている最大貯蔵数量以内
	 (放射性医薬品の保存は貯蔵室の冷蔵庫を使用‥活性化を防ぐ)
	分注.標識.検査
	・専用着衣(白衣)の着用、手袋着用(汚染防止)
	・リングバッチの着用による被爆線量測定
	・分注作業時の被爆減少に努める
	・自動分注器の使用
	・遮蔽筒の使用(シリンジシ−ルド、バイアルシ−ルド)
	保管廃棄
	廃棄物分類
		(1)可燃物:紙、布類
		(2)難燃物:ゴム手袋、プラスチック用品、ポリバイアルなど
		(3)不燃物:ガラスバイアル等
		(4)液体廃棄物
		(5)動物
	RI協会の集荷:2〜3月
	退出
汚染検査室にて手洗い後、ハンドフットクロスモニタ−にて汚染の有無を検査後退出
(「)汚染除去
	RI業務において汚染は起こるものである。
		
	汚染に対して常に適切な処置が行なえるように日頃の心掛けが必要。
	^汚染除去の目的
	人体汚染…『放射性物質の体内への侵入を食い止める。』
	_汚染除去の注意事項
	汚染状況の確認
	汚染源の核種、科学的状態及び汚染の規模。
	早期除染
	身体汚染では汚染後短時間のうちにまず水で洗い流す。
	汚染の拡大防止
	汚染箇所を明確にして、水滴の場合は濾紙で拭き取る。
	拭き取ることによりかなりの量が除去できる。乾燥してからでは除染しにくい。
	除染剤の選択
	科学的に腐食性の少ないものから選ぶ。
	短半減期の核種による汚染では、身体以外で除染しにくい部分の汚染については1/10半減期を目安に放置することも考える。(汚染箇所を明確にして汚染の拡大と体外被爆を防ぐ)
(V)取り扱い態度
	放射線を『おそれず』『あわてず』『あなどらず』という基本態度が重要
	正しい知識、入念な取り扱い計画・準備
	取扱者の教育・訓練が重要
以上、取扱者の教育・訓練が重要であることを強調し講演を結び、その訓練のための実習として、分注作業のコ−ルドランを会場の新人諸兄に実践してもらい、教育講座を終了した。
(文責:清水 正三)
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