台湾のADEに学ぶ(2022/5/16)
ADEは予防できた。PCRさえしなければ。そしてもちろん、追加接種さえしなければ。
はじめに:台湾への思い
もう15年も前のことです。厚労省/PMDA在籍時、人事交流で台湾衛生福利部食品薬物管理署 (TFDA - Taiwan Food and
Drug
Administration)から来日した医師と一緒に働いた経験から、台湾における医療・公衆衛生の水準の高さは知っていました。その後台湾に赴く機
会がありました。初めて訪れる台北では、他の都市では必ず感じるはずの、異国を意識した緊張感が全くありませんでした。なぜだろうと思って気づいたのは、
昭和の東京の香りでした。こうして多くの日本人と同様、私も彼の国に魅了されたのです。
ですからここで台湾を腐すつもりは毛頭ありません。何しろアジア太平洋地域の他の感染制御優等生国も同様な運命を辿ったのですから(オミクロン株流行下での追加接種とコロナ死亡推移の国際比較)。ただ、「数学的リテラシー」でフィンランドを抑えて世界一を誇るほど高い教育水準を誇り、親中派と独立派が国内でせめぎ合う台湾でさえも、目の前でこれまでやってきたこと、信じていたことがひっくり返っている現実を目の当たりにしながら、どうして、「自分達は間違っているのかもしれない」という議論が起こらないのか?一体何がその議論を押さえつけているのか?さらに、この議論が「自分達は間違っていたのかもしれない」という「反省」にすり替えられて行く経緯やら、関係者各人の自分の行動や言動に関する健忘症状やら、見えてくることがたくさんあると思うからです。
1年半前の成功体験
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日経クロスヘルス EXPO 2020 リポート 台湾はこうして新型コロナを封じ込めた! 死者わずか7人という「台湾モデル」の全てを保健大臣が語る(日経ヘルスケア 2020/09/16)
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万人の人口を擁しながらも、新型コロナウイルス感染者数を499人に抑え、わずか7人の死者しか出していないのが台湾だ(2020年9月15日現在)。新
型コロナウイルスの発生地である中国と密接な関係にあるにもかかわらず、完璧ともいえる封じ込めに成功した一連の取り組みは、「台湾モデル」として国際的
にも高く評価されている。
台湾は、2003年に流行した重症急性呼吸器症候群(SARS)の経験に学び、政府内に感染症流行時に緊急対応
を行う専門のセンターを設置。このセンターが、昨年末の段階で中国の武漢で原因不明の肺炎が広がっていることを把握し、即座に検疫の強化に踏み切るなどス
ピード感のある初動対応を可能にした。
こうした初動対応に加え、年明けには医療体制の整備やマスクの生産体制拡充などにも注力。マスク
不足を避けるため、在庫をリアルタイムで表示するスマートフォンのアプリも提供した。その仕掛け人であるデジタル担当大臣のオードリー・タン(唐鳳)氏の
活躍は、日本でも広く紹介されたので、記憶にある人も多いのではないだろうか(後略)
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類似の参考サイトは他にもたくさんありますが、こちらがわかりやすいかと→台湾の奇跡――世界が注目する防疫対策(澤田 裕子 IDE-JETRO ライブラリアン・コラム 2020年8月)
繰り返しお断りしておきますが、決して執筆者を腐すためでも皮肉るためでもなく、こういう記事を安易に消去せずに、我々自身が我が身を振り返るための教材を提供してくれていることに感謝するものです。
22年5月半ば:ADEに突入した台湾:
日本は2月半ば、韓国も3月末にはオミクロンの流行は既にピークアウトしていました。一方、台湾は5月半ば、単に「オミクロン株が大流行している」という表現で片付けられない異常な事態に陥りました(クリックして拡大)。5月13日の死者は41名。単位人口あたりに換算すると日本での指導者も市民もそれとは気づきませんでした。
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台湾コロナ死亡率「日本や韓国より低い」=蘇行政院長 フォーカス台湾 5/12(木)
蘇貞昌(そていしょう)行政院長(首相)は12日、台湾では新型コロナウイルスの感染者の死亡率が日本や韓国に比べて低いとし、台湾の感染対策に効果は見られるとの見解を示した。羅秉成(らへいせい)行政院(内閣)報道官が閣議後の記者会見で述べた。
羅氏によれば、蘇院長は閣議で、感染対策の方針転換を図ったことに言及。リストアップする接触者の対象を狭めたことや、接触者の在宅隔離期間の短縮などに踏み切ったことで、感染者が増加するのは必然だとしつつ、感染は「ロケット花火のような速さでは広がっていない」と説明した。また、今年に入ってから感染者の99.8%が軽症か無症状であることに触れ、死亡率も他国より低いことから、台湾の感染対策には非常に効果があると言えるとの考えを示した。
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そこでもしあなたが日本人として蘇首相へ助言するとしたら
●重症化率や死亡率を下げる「感染対策」はありません。それはこの2年間で人類が学んだことです。
●よしんばそれほど効果がある「感染対策」があるのならば、現に目の前で感染爆発が起こっているのはおかしいと思わないのですか?
●感染が抑えらない、抑えられないどころか感染爆発が起こっているのに、その感染の結果である重症化/死亡がワクチンによって抑制されるわけがないのです。
●オミクロン株が大流行しても重症ベッドが埋まらない、医療崩壊が起こらないのは、ひとえにオミクロン株の弱毒化のおかげであって、ワクチンが効いたわけではありません。それはオミクロンの大流行を経験した日本人がよく知っています。だから新聞とテレビジョンからしか情報を取らない一部の高齢者を除いて、日本人はもうワクチンを見限っています。「ワクチンが重症化/死亡を抑制する」なんて嘘八百であることを日本人はようやく知ったのです。
●オミクロン株の弱毒化は世界全体の感染者数/死亡者数を見れば一目瞭然です(クリックして拡大)。山の高さを感染者数と死者数で比べてご覧なさい。右に行くに従って死者数/感染者数の標高比が小さくなり、オミクロン株の流行を示す第6波では比率最低になっていることが一目瞭然です。これがワクチンの効果のわけがないのです。何しろ接種が広まる前からこの弱毒化は明らかなのですから。
●
振り返って台湾を見るとやはりワクチンは効いていません。それが何より証拠にはオミクロン株による感染爆発が起こっています(Worldometers, Taiwan, Daily New Cases)。ワクチンの添付文書に謳われ
ている感染抑制効果はありません。感染爆発を見ただけで「ワクチンはオミクロン株には全く効いていない」と即断できるのです。もはやワクチンには一利もない。百害だけだ。そう考えるべきだったのです。ましてやその百害が真のエンドポイントである死者の激増として目の前にあるのに。
●感染者数が爆発的に増えているからこの位の死人が出るのは当たり前だと涼しい顔をしている場合ではありません。死者数の激増は正に悪夢です。本来は台湾でも世界的傾向に従って弱毒化しているはずだったのに、台湾におけるデルタ波の時の死亡数よりもさらにピークが高くなっています(Worldometers, Taiwan, Daily Deaths)。弱毒化どころか強毒化デルタ波の時よりもさらに死者数が多くなる勢いです。効かないワクチンをどんどん打って死者がどんどん増えていく。正にADEです。
ワクチンはハーメルンの笛だった
欧米先進国、そしてシンガポール、韓国、オーストラリア、ニュージーランドといった、アジア太平洋地域の、かつての感染制御優等国と同様の道を、台湾もまた辿っています。感染が抑制できないワクチン、重症化抑制効果もないワクチンを「どんどん打って」、2022年5月の今も台湾は感染者数を増や
しています。流行初期、感染者数が爆発的に増えても、死亡数の爆発的増加がまだ始まらないうちは、見かけ上死亡率が低いように見えましたが(既に過去形)、感染爆発開始からからきっちり2週間の潜時を置いて死亡者数も増加し始めた。
そこでワク
チンを止めておけばいいものを、オミクロン亜株(ba2/3/もう、なんでもいい)による感染爆発を目の当たりにしてパニックになり→逆にもっともっとワ
クチンを打った→そして感染爆発がさらに大爆発となった。そこで初めて死者の爆発的増加を目の当たりにして、今度こそADEと気づくべきところ、あろうこ
とか、さらにパニックを悪化させ、他国同様4回目接種に突入していった。
台湾 新型コロナ ワクチン4回目接種へ 高齢者など対象 NHK 2022年5月14日 22時37分
台湾では新型コロナウイルスの感染拡大が続いていて、当局は16日から65歳以上の人などを対象に4回目のワクチン接種を始めると発表しました。
台湾では先月から変異ウイルスのオミクロン株の感染が急拡大し、毎日発表される新規感染者数は今月10日に初めて5万人を超え、12日からは3日連続で6万人を超えています。
当局のまとめによりますと、感染が確認された人の99%以上は軽症または無症状ですが、重症化したケースでは高齢者や3回のワクチン接種を終えていない人の割合が高くなっています。
こうしたことから、当局は16日から重症化のリスクが高いとされる人を対象に4回目の接種を始めると発表しました。対象となるのは65歳以上の高齢者、介護施設の入居者、免疫力が低下している18歳以上の人などのうち、3回目の接種から5か月が経過した人です。
台湾の人口は日本の2割に満たない(19%)。台湾の6万人は日本の30
万人に相当します。一方、これまでの日本最多「感染者数」は10万人をほんの少し超えたほどでした。つまり単位人口あたり日本の最多数の3倍もの感染者数
が既に出ていることになります。その台湾は追加接種の開始こそ我が国とほぼ同時期、21年12月に入ってからでしたが、22年に入ってから猛烈な勢いで接
種を推進し、22年3月半ばにはオーストラリア・ニュージーランドに追いつきました(オーストラリア47.7、ニュージーランド50.0、台湾46.9、日本32.1、22/3/15時点)。そして5月12日には日本の55.6%の上を行く61.8%となりました(Our World in Data)
PCRさえやらなければ追加接種は阻止できた。
インフルエンザでもPCR検査は既に2014年に確立していました(蜩c光利 Real-time PCR 法を用いたインフルエンザウイルス網羅的検出法の確立)。
しかしそれ以後も広く実地診療でPCR検査が用いられることはありませんでした。PCRがなくてもインフルエンザの診療はできていたからです。新型コロナの場合も5類にした時点でPCR検査とさよならできていたのです。
PCRさえなければ、感染者数が毎日報道されることはありませんでした。追加接種も任意接種としてインフルエンザ同様、粛々と行われていたでしょう。
で
は、どうすればADEの悲劇は防げたのでしょうか?簡単です。検査しなければよかったのです。ワクチンが出回る前は、『PCRをやる→クラスターを把握して→
行動制限をすれば→感染が抑制できて→重症者抑制・あわよくば死者数も減らせる』という妄想に駆られてPCRをやりまくった。だけど結局パニック
になっただけで何の実効性もなかった。なのにワクチンが出回ってからもバカの一つ覚えでPCRを続けた。でもおかげでワクチンを打っても打っても感染者数は増えるばかり、流行は収まら
ないことがわかった(はずだった!!)
バカもまた国境を超える:PCR原理主義者の「論理」(2020/4/26)
新型コロナウイルス検査、「死んだウイルスを検知」か=英研究 (BBC 2020/9/7)
PCR真理教団による患者大量偽造:ウイルスの死骸を数えてどんちゃん騒ぎ(21/3/6 updated)
ウイルスの“死骸”が反応/新型コロナ(宮古毎日新聞 2022/1/19)
追加接種さえしなければADEは阻止できた。当たり前田のクラッカー。
そこで冷静にデータを見てワクチンを止めときゃいいのに、またまたパニックになって、何はともあれ・何が何でもPCR→人工的に感染爆発作成→何はともあれ・何が何でも追加接種→ADE。発症(感染)予防効果がないのに重症化予防効果をでっち上げて、追加接種をどんどん推進したら死亡がどんどん増えた。それは紛う事なきADEでした。それを裏付ける証拠はADEが起こらなかった、バングラデシュ、パキスタン、ガーナ、ナイジェリア、エチオピアといった国々の死者数の推移のグラフをご覧なさい。そしてそれらの国々の接種率を、かつての感染コントロール優等生国のそれとを比べてみてください→追加接種率の比較。追加接種さえしなければADEは阻止できていたのです。
戦後、
ヒトラーを「怪物」と呼ぶことで自らの責任から逃げたユンゲやシュペーア、その他の側近たちだけを責めても、問題は解決しません。問題は、戦争がないとい
う意味で当時よりは幸運な時代に生まれた者が、そこから何を考えるかということ。ユンゲらの責任逃れの論理も注目に値しますが、何よりも重要なのは、人間がこんなにも、愚かになれるということです。(藤肥孝幸 映画「ヒトラー〜最後の12日間〜」)
長期的な見通しも、確固たる戦略もない脇役が、つぎからつぎへと立ち現れ、ただ状況に翻弄されるなか、利己的に動き回り、筋を進めていく。彼らの行く先が、舞台中央に、ぽっかりと開いた奈落の底であるとも知らずに。 (「根拠のない確信」という病理 )
→追加接種先進国におけるADEの検討
→新コロバブルの物語
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