ニセ専門医の見分け方

世の中にごまんといる専門医.ごまんといれば,当然,ぴんからきりまでとなる.偽物も本物もいる.しかしその真偽の程を見分けるのは至極簡単である.あなた自身が納得できるかどうかである.

事例1 ゾフルーザの場合
仮に,「ゾフルーザは素晴らしい薬だ.どんどん使いましょう」との社長の受け売りをして何ら恥じ入るところもない「感染症専門医」がいて,その意見に対してあなたが「さすが専門医だ」と感心するならば,そいつは「あなたにとって」本物の感染症専門医である.そんなあなたなら,タミフルのゾロに過ぎないのに,値段が本物のゾロの3.5倍(*)なんて馬鹿げてる.こういう肝心なところで医療課にプレッシャーをかけられないのなら,財務省(あるいは会計検査院)なんて要らねえじゃねえか」などと,ごまめの歯ぎしりを繰り返すだけの矯正医官に対しては,「やっぱり刑務所の医者なんてレベル低いな」と思うだけだろう.(*2019年4月現在,オセルタミビルカプセル「サワイ」1回75mgを1日2回、5日間経口投与する時の薬価が1360円なのに対し,ゾフルーザ4789円である).

事例2 フェブリクの場合
では「痛風などの尿酸塩沈着症を予防するのみならず、脳心腎血管関連イベント抑制効果があることが証明され,その輝かしい成果はインパクトファクターが23.425で循環器系の科学雑誌の中では世界トップのEuropean Heart Journalに掲載された」と,ナショナルセンターのホームページに掲載されるほどの薬(推奨用量40mgで108.7円/日)を,所属する学会のガイドラインに従って薦める,その意見に対してあなたが「さすが専門医だ」と感心するならば,そいつは「あなたにとって」本物の痛風専門医である.そんなあなたにとって,『ヘルシンキ宣言違反のインチキ試験でしか箔をつけられない薬なんかより,50年前に世に出たザイロリックの,そのまたゾロ品の方が,心臓にも脳にも,そして懐にも優しい(推奨用量200mgで15.4円)』と薦める矯正医官は,天下に隠れもなき藪医者に思えるだろう.

おわかりだろうか.そいつがどんな類いの専門医だろうが,あるいは検事だろうが裁判官だろうが,はたまた科捜研の男だろうが女だろうが,本物か偽物かを決めるのは,あなたの当事者意識にかかっている.

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