真のウイズ・コロナ時代とは
−本場所で満員御礼の垂れ幕が下がる時
日経の記事には腕ならぬ口に覚えのある各界諸氏がコメントを寄せる欄があります。その記事と,記事に対する読者の評価(ただのthumb up数だけなのですが)を比較することによって,書き手と日経読者層の新コロリテラシーの程度がわかります。ここで取り上げるのは,『外国人の新規入国を原則停止 政府、オミクロン型に対応(日経新聞 2021年11月29日 15:26更新)』に対するお二方のコメントです。7人いらっしゃる中でこの二人を選んだのは,thumb up数が最低と最高だからです。さて,日経の読者はどちらを高く評価したでしょうか?
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A. 現在、先進国の中で感染者を抑え込んでいるのは日本ぐらいです。その理由は専門家もよく分かっておらず、今後詳細な解析が待たれます。ただ、感染者が最も多い都内で、10月25日に時短要請を解除してから1カ月以上経っても感染者の急増は防げています。ブレークスルー感染が一定の頻度で発生することを考慮しても、国内のウイルス量が大きく下がったまま維持できていると言えるのではないでしょうか。この幸運な状況を少しでも長く維持するには何をすべきなのか。オミクロン株の感染拡大が明らかになった今、水際対策を強化するのが一番のはずです。今回、日本政府が外国人の新規入国を原則禁止にした措置は、妥当だと考えます。
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B. オミクロン株に関する情報が集まるまでの一過性措置としての「外国人の新規入国を原則停止」はよいと思うのですが、今後重要なのは、オミクロン株がそれ ほど危険ではないというエビデンスが集まった時点で速やかに国境を開いて経済を回すという方針転換をすることだと思います。現在のワクチンがオミクロン株 にも有効である可能性は十分あります。
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ロイヤルカスタマーへの歓心を買う「時代錯誤」
日経の読者ならばBを支持するに違いないと思いましたか?豈図らんや。Aが320,Bがたったの6です。(11月30日10時20分現在)。問題はたとえAの方が先に掲載された(=閲覧読者数がより多い)とはいえ,最新コメントとして先頭に掲載されているBが7人中最低の「6」とは!! その内容が如何に読者に歓迎されていないかを示しています。
    一方,尊コロ攘夷感満載のAはBの裏返し。今でも紙媒体の日経を購読してくださるロイヤルカスタマーの方々の歓心を買うためだけに書かれたコメントであることが見え見えですが、コメント主の肩書きを見て二度びっくり!!本当はAを上回る経済復興のアイディアを開陳したかった??だからいくら「いいね」の数が首位でも,とても喜ぶ気にはなれない??いや、ひょっとして本気で書いた??これが日経バイオテクの編集長だってんだから!!時代錯誤もいいところ。

真のウイズ・コロナ時代とは
 真のウイズ・コロナ時代とは,コロナがインフルエンザと同様に当たり前に存在する時代です。日本では既に「恐怖のデルタ株」がインフルエンザと同レベルの脅威となっていました。この数字には誰も反論できませんでした(恐怖のデルタ株の正体はただコロだった!)。 この冬に流行するオミクロン株による第6波は,弱毒化の総仕上げになります。第6波は名実ともに季節性コロナウイルス感染症としてインフルエンザと同様の 死者数になります。それがわかっているからこそ,コメントBが堂々と出てくるのです。そこでいくらAに「いいね」を押したところで,ウイルスの弱毒化も,真のウィズ・コロナ時代へ向かう 世の中の動きも止められるものではありません。  

この世の最大の不幸は、貧しさでも病気でもありません。自分が誰からも必要とされないと感じることです。(マザー・テレサ
労働は、それが疑いなく必要なものになった時、喜びとなる。(レフ・トルストイ
失業率の低下など労働市場の改善が進んでいる点を評価しつつ、人々の感染再拡大への不安などを理由に労働参加率が高まってこない問題にも言及した。「パンデミック前のような素晴らしい労働市場に戻るには、より長い景気回復が必要になる」(ジェローム・パウエル

    真のウイズ・コロナ時代とは,大相撲本場所で満員御礼の垂れ幕が下がる時です。新型コロナの最大のリスクを負った体で真剣勝負を繰り広げてきた力士達の忍耐に応える時です。彼らは待っています。自分達が必要とされる時を。大金星に座布団が飛び交い、優勝がかかった千秋楽の結びの一番に大歓声が上がる、あの場面を。何の難しいことがありましょうか。それはタミフルが承認されるよりもずっと前のことでした。インフルエンザによる超過死亡が1万人に達した年の1月でさえ、初場所は開催されていたのですから。

山本太郎 パンデミックを機に考える感染症と社会の共存(アジア経済新聞 2020/6/1)
オミクロン=ただコロ様のお手並み拝見
新コロバブルの物語
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