医療崩壊の原因を2004年から始まった臨床研修制度に求める人間がいるが,そいつは,携帯電話が普及している国では糖尿病が多いから,携帯電話が糖尿病を引き起こすと主張する人間と同じ程度の脳味噌しか持っていないことを自ら誇示しているに過ぎない.彼らは,バブルの原因を,ジュリアナ東京に求める違いない.申し添えておくが,1989年(12月29日に最高値38,915円87銭を付けた日経平均株価が,20,000円割れとなったのは,ジュリアナ東京ができた91年5月の半年以上前である.
医療崩壊の背景にある医師の労働条件は,今を去ること四半世紀前,すでに大学卒業を控えた私が,医者になることに怯えていた時代から,ひどく劣悪だった.だからこそ,私は,労働条件の劣悪さに耐え切れずに,医局人事をはずれることのできた卒後10年以降,少しでも労働条件のいいところと職場を求めて,埼玉,新潟,霞ヶ関,所沢と転々としてきた.
2002年にはすでに,医者の名義貸し問題が表面化した.これも,”表面化した”に過ぎない.問題はずっと前からあったということだ.私が,”気分はインパール”を書いたのも,同じ2002年である.ここには典型的な医療崩壊の構図が書いてある.
2002年の名義貸し問題をやり過ごした連中に,2004年に臨床研修制度が医師の偏在を引き起こしたなんて戯言を言う資格はねえんだ.
そもそも,現在の医療崩壊を導いた数々の”改革”を行なった張本人が内閣総理大臣になったのが,2001年4月26日だろうが.そこをすっかり忘れて臨床研修制度がなんだのかんだの言ったって埒があくわけねえだろうが.
それになあ,医者以外の人間もどんどん都市部へ移動しているってのに,なぜ,医者だけがその逆方向に行かなきゃならねえのさ.大都市部の昼はまだしも,夜の医療過疎の恐ろしさをどうするっての.医者は,患者のいるところに行くのだよ.江原 朗先生が,きちんとデータを示している.思考停止して臨床研修制度が原因なんて能天気言う前に,下記の論文を読むこと.
江原朗. 県庁所在地への小児科医の集中は小児人口の集中と強い相関を示す.日本医事新報 2007;4353:77-79.
江原朗 新医師臨床研修制度導入年度の小児科医の状況ー導入前と比較して偏在は進行していない.日医雑誌 2007;136:1804-8
何?だったら医療崩壊が表面化した原因は何かだって?冗談じゃねえよ.そもそも,表面化した原因なんてのは,ピンクレディがなぜ売れっ子になったのかという原因考察以下の価値しかない.そんな下劣なことにこだわって,思考停止して,他所様のご意見伺いばかりやってるから,脳味噌が腐っちまうんだってことが,まだわからねえのか.