目次
神経梅毒がヘルペス脳炎にそっくりな画像を呈した例
またもやロシアンルーレット
抗リンパ球抗体による多発性硬化症の治療でGraves病に
マルファン症候群の診断にDural ectasiaが有用
成人の麻疹感染による神経障害と腎不全
急速に進行する痴呆を呈した68才女性
65才男性,結腸癌治療後の高次機能障害と歩行障害
パニック発作と複視を呈したチーズ好きの女性
笑気と脊髄障害
僧帽弁逸脱:思ったほどではない
抗てんかん薬と重症の中毒性皮膚症状
ドパミンアゴニストによる睡眠発作
鏡を使った片麻痺のリハ
失読に小脳が関与している
マグネシウム欠乏によるWernicke脳症
やはりL-dopaは早期から投与すべし
脳梗塞に対するtPA:1年後の追跡では有効
精巣癌とparaneoplastic encephalitis
Broca失語はない
脳梗塞に対するtPA;ECASS IIでは無効と出た
帯状ヘルペス後の神経痛予防にamitriptylineとacyclovirの併用が有効
パーキンソン病患者で黒質への高周波刺激でうつ病が起こった
バルプロ酸で肝性昏睡を起こし,死亡したOTC欠損症
パーキンソン病における神経組織移植の現況
プリオンと封入体筋炎
Dementia pugilistica
悪性リンパ腫と脊髄病変
パーキンソン病の治療による精神症状にclozapineが有効
アルコール離断による痙攣発作にロラゼパムが有効
未破裂の脳動脈瘤:手術に疑問符
眼底鏡一本勝負
未熟な果実による致死性脳症
secondary progressive MSとIFN-beta
いびきと痴呆
バビンスキ徴候
筋炎に類似した糖尿病性の筋梗塞
原因不明の劇症型のウイルス性脳炎
未破裂の動脈瘤をどうするか
MELASの最近の知識
髄内病変の鑑別
てんかん重積状態に対するロラゼパム
進行期のパーキンソン病における視床下核の電気刺激
LovastatinによるAdrenoleukodystrophyの治療
急性の眩暈発作
多発性脳神経麻痺:Wegener肉芽腫
パーキンソン病の総説
CT, MRIでRing Enhancementを伴う病変の鑑別診断
痙攣発作の総説
奇妙な筋膜炎がフランスで増えている
ジメチル水銀暴露事故で遅発性の小脳障害を呈して化学者が死亡
グロボイド細胞性白質ジストロフィーには造血幹細胞移植が有効
慢性肝疾患での脳浮腫
脳の画像の総説
脊髄病変の鑑別診断
多発性硬化症における軸索の障害
パーキンソン症候群を伴う痴呆の症例の診断に困ったら
アルツハイマー病の診断におけるアポリポ蛋白E遺伝子の有用性
溶かせばいいってもんじゃない
神経内科医の下す診断の社会性
馬尾症候群を呈した67才女性
プリオン病の総説
痴呆の診断;あなたにも責任があります
多発性硬化症の治療の総説
うまい話あります:側頭動脈炎
脳梗塞急性期治療におけるTissue Plasminogen Activatorの位置づけ
肺水腫と著明な脳浮腫で全経過9日で死亡した49才女性
進行期のパーキンソン病の寡動と固縮に対する後腹側内側淡蒼球切除術
合衆国における髄膜炎の変遷
悪性腫瘍に伴う神経障害の鑑別診断
糖尿病性の筋壊死
成人のリステリア髄膜炎
錐体外路症状を伴う痴呆
Hepatic Encephalopathy
Cerebral Venous Thrombosis
paraneoplastic cerebellar degeneration
Refsum病の欠損酵素
東部ウマ脳炎のCT, MRI
Roger Denays and others. A 51-year-old woman with disorientation and amnesia. Lancet 1999; 354: 1786
脳血管造影の際の塞栓:四人に一人は起こっているっていうんだ.無症候性の塞栓だけどね.Silent embolismをどうやって評価するかって?この著者らは血管造影の前後でdiffusion-weighted MRIを使った.91人の患者で,100回血管造影を行い,23人の患者に合計42個の塞栓と思われる病巣を見いだした.実際に神経学的異常を示した患者はいなかった.
また一つロシアンルーレットというわけだ.血管造影の説明書,承諾書にを書き直さなくちゃ.”血管造影で四人に一人は脳梗塞は起きますけど,症状は出ません”てか?やれやれ気が重い.
Martin Bendszus and others. Silent embolism in diagnostic cerebral angiography and neurointerventional procedures: a prospective study. Lancet 1999; 354: 1594-97
anti-CD52 monoclonal antiboty (Campath-1H)でリンパ球を叩き,MSがよくなったはいいのだが,なんと1/3の患者に抗thyrotropin 受容体抗体と甲状腺機能亢進症がおこったという論文.これでGraves病の病態解明が進歩するか?
Alasdair J Coles and others. Pulsed monoclonal antibody treatment and autoimmune thyroid disease in multiple sclerosisLancet 1995; 354: 1691-95
80例のマルファン症候群のうち,76例に腰仙髄レベルでMRI上でdural ectasiaが見られたが,対照の100例では一例もなかったとのこと.もし本当だとすれば,診断が容易になる.
Rossella Fattori, Christoph A Nienaber, Benedetta Descovich, et al. Importance of dural ectasia in phenotypic assessment of Marfan's syndrome. Lancet 1999;354:910
N S Wairagkar, B V Gandhi, S M Katrak, et al. Acute renal failure with neurological involvement in adults associated with measles virus isolation. Lancet1999;354:992
L. D. Recht and J. M. Primavera. CASE RECORDS OF THE MASSACHUSETTS GENERAL HOSPITAL. Weekly Clinicopathological Exercises: Case 24-1999: Neurologic Disorder in a 65-Year-Old Man after Treatment of Colon Cancer. N Engl J Med 1999;341:512-519
ブルセラ症のケースレポートだが,この病気は他のいろいろな病気と区別がつけにくいことがわかる.脳血管炎,SLE,神経ベーチェット,多発性硬化症といった自己免疫疾患にともなう神経症状のようにも見えるし,ライム病,糞線虫症(繰り返す細菌性髄膜炎)といった特異な病原体の感染症にも見える.テトラサイクリンやリファンピシンといった抗生剤が奏功するので,是非とも覚えておきたい疾患だ.
笑気麻酔のあと,痙性対麻痺になった症例.笑気は,ビタミンB12の活性化型であるコバラミンを不可逆性に不活性化してしまう.コバラミンはmethionine-synthaseの重要な補酵素で,methionine-synthaseの活性がなくなる結果,脱髄が起こり,亜急性連合性脊髄変性症や脳症が起こる.
Lee P and others. Spastic parapresis after anaesthesia. Lancet 1999;353:554
僧帽弁逸脱の診断基準は変化していて,現行の断層心エコーによる三次元分析に基づいた診断基準ではその頻度はこれまで考えられていたよりもずっと低くなり,診断の特異性が高まっている.現行の診断基準のもとでは,僧帽弁逸脱は脳梗塞の危険因子にはならないと考えられる.
フェニトイン,フェノバルビタール,カルバマゼピン及びlamotrigineについては,使用開始から8週間はSteven-Johnson syndrome やtoxic epidermal necrolysisといった重症の中毒性皮膚症状に注意をしなくてはならない.逆に言えば,使用から8週間以上たてば,抗てんかん薬による中毒性皮膚症状の危険性は非常に少なくなる.バルプロ酸は他の抗てんかん薬に比較して中毒性皮膚症状の危険性は少ない.
Senior K. Waking up to a new side effect of dopamine agonists. Lancet 1999:353:2043.
Neurology 1999;52:1908-10の論文が紹介されている.運転中の睡眠発作で交通事故を起こしたパーキンソン患者9人中8人がpramipexoleを服用していた.
患者の両手の間に,健側の手が写るように大きな鏡を置き,患者はその鏡に映った自分の健側の手の動きを見ながら患側の手を動かすように訓練を行うと,鏡の代わりにただのプラスチックシートを使った場合(対照)に比べて有意に機能が改善する.
Altschuler EL and others. Rehabilitaion of hemiparesis after stroke with a mirror. Lancet 1999;353:2035-6.
Nicolson RI and others. Association of abnormal cerebellar activation with motor learning difficulties in dyslexic adults. Lancet 1999;353:1662-1667.
J McLean and S Manchip. Wernicke's encephalopathy induced by magnesium deplesion. Lancet 1999;353:1768.
症例は85才女性.経口摂取不良と慢性心不全のたまに服用していたfurosemideによりマグネシウム欠乏となった.マグネシウムはthiamineを活性化型である二りん酸あるいは三りん酸化する酵素の補酵素であり,マグネシウム欠乏は活性化型のthiamine欠乏を起こす可能性がある.このような場合にはthiamineとともにマグネシウムも補給しなければ,Wernicke脳症はよくならない.
マグネシウム欠乏を引き起こす原因は様々で,吸収不良症候群,利尿剤,アミノ配糖体を中心とする腎排泄性の抗生物質,アルコール,甲状腺疾患,アルドステロン症,妊娠後期,糖尿病性昏睡の際のインスリン治療,急性膵炎などがあげられる.マグネシウムはルーチンの血液生化学では項目に入っていないが,意識障害の際には必ず測定しておくべきだろう.
Gwinn-Hardy K and others. L-dopa slows the progeression of familial parkinsonism. Lancet 1999;353:1850-51.
T. G. Kwiatkowski and Others. Effects of Tissue Plasminogen Activator for Acute Ischemic Stroke at One Year. N Engl J Med 1999;340:1781-7.
あっちでは効いた,こっちでは効かないと,評価が一定しないtPAだが,NIDSでの一年後のフォローアップでは,1年後の転帰でもtPA使用群の方が有意に良好だったとのこと.
R. Voltz and Others. A Serologic Marker of Paraneoplastic Limbic and Brain-Stem Encephalitis in Patients with Testicular Cancer. N Engl J Med 1999;340:1788-95.
Wise RJS. and others. Brain regions involved in articulation. Lancet. 353(9158):1057-1061.
The formulation of an articulatory plan is a function of the left anterior insula and lateral premotor cortex and not of Broca's area. The left basal ganglia seem to be dominant for speech, although the axial muscles involved receive their motor output from both cerebral hemispheres.
Hacke W and others. Randomised double-blind placebo-controlled trial of thrombolytic therapy with intravenous alteplase in acute ischaemic stroke. Lancet 1998;352:1245-51.
この治療の過程で,左黒質への高周波刺激で典型的な抑うつ症状が起こり,再現性もあった症例報告である.症状は刺激後90秒以内で消失した.その症状が起こっている最中のPETでは,左のorbitofrontal cortexからamygadalaにかけて,左淡蒼球から視床前部,そして右の頭頂葉の活動が示された.
この報告はうつ病の原因の一端を明らかにできるのだろうか?神経内科医はあんまり興味がないだろうけど.
B.-P. Bejjani and Others. Transient Acute Depression Induced by High-Frequency Deep-Brain Stimulation. N Engl J Med 1999;340:1476-1480.
37歳男性で小脳萎縮があり,神経生検の後の痛みにバルプロ酸を投与されて9日後に肝性昏睡に陥り死亡した.死後の検索でOTC遺伝子のエクソン6のコドン208にGCA→ACAの変異が見つかった.
Clumsiness, confusion, coma and valproate. Lancet 1999;353:1408.
Neural transplantation for neurodegenerative disorders. Lancet 1999;353 (suppl 1):29-30.
Methionine homozygosity at prion gene codon 129 may predispose to sporadic inclusion-boty myositis. Lancet 1999;353:465-6.
D. A. Drachman and K. L. Newell. Weekly Clinicopathological Exercises: Case 12-1999: A 67-Year-Old Man with Three Years of Dementia. N Engl J Med 1999;340:1269-1277.
A. S. Freedman and G. P. Nielsen. Weekly Clinicopathological Exercises: Case 11-1999: A 60-Year-Old Woman with Epidural and Paraspinal Masses. N Engl J Med 1999;340:1188-96.
クロザピン一日50ミリグラム以下ならばパーキンソン病を悪化させることなくパーキンソン病治療薬による精神症状を改善させる.
Friedman J and others. Low-dose clozapine for the treatment of drug-induced psychosis in Parkinson's disease. New England Journal of Medicine. 340(10):757-763, 1999 Mar 11.
同様の報告が三ヶ月後のランセットにも出た.
The French Clozapine Parkinson Study Group. Clozapine in drug-induced psychosis in Parkinson's disease. Lancet 353:2041-2
ただし,クロザピン,および類似品のOlanzapineには好中球減少,無顆粒球症という致命的な副作用がまれに起こるので要注意!!
Gail D'Onofrio, Niels K. Rathlev, Andrew S. Ulrich, Susan S. Fish, Eric S. Freedland. Lorazepam for the Prevention of Recurrent Seizures Related to Alcohol. N Engl J Med 1999;340:915-9.
Time to consider treatment of options for intracranial aneurysms. Lancet 1999;353:942-943.
正解は,眼底を見て鬱血乳頭がないことを確認したらCTなしでも腰椎穿刺を行う (1).
我々は腰椎穿刺の前に頭蓋内圧亢進がないかどうか,CTでチェックしろと教育される.しかし,CTは実はコストに見合っただけの効果がない (2-4).その上,CTの所見は頭蓋内圧の評価にあまり役立たず,脳ヘルニアを起こすかどうかはCTからは予見できないという (3, 5).
頭蓋内圧亢進の評価のためには,CTよりも,鬱血乳頭,神経学的所見の方が有用であるという結論だ (1, 2, 5-7).さあ,眼底鏡一つでCTを省略する度胸はできたかな?
自分のいるところはCTがあるから関係ないって?さあ,どうかな?たとえCTがある施設でも,放射線技師が来るまで1時間待っていたらやっぱり負けだぞ.
機械が自分を守ってくれると思ったら,その時点であんたは医者をやめた方がいい.機械は道具に過ぎない.道具が人間の代わりになるなら,人間がお払い箱になるのは当然だ.
1. Saha S, Saint S, Tierney LM. A balancing act. N Engl J Med 1999;340:374-378.
2. Archer BD. Computed tomography before lumbar puncture in acute meningitis: a review of the risks and benefits . CMAJ 1993;148:961-5.
3. Baker ND, Kharazi H, Laurent L, et al. The efficacy of routine head computed tomography (CT scan) prior to lumbar puncture in the emergency department [see comments]. J Emerg Med 1994;12:597-601.
4. Mellor DH. The place of computed tomography and lumbar puncture in suspected bacterial meningitis. Arch Dis Child 1992;67:1417-9.
5 Rennick G, Shann F, de CJ. Cerebral herniation during bacterial meningitis in children . BMJ 1993;306:953-5.
6. Durand ML, Calderwood SB, Weber DJ, et al. Acute bacterial meningitis in adults. A review of 493 episodes [see comments]. N Engl J Med 1993;328:21-8.
7 Quagliarello VJ, Scheld WM. Treatment of bacterial meningitis . N Engl J Med 1997;336:708-16.
この論文を読んで思い出すのは青い梅を食べてはいけないという戒めである.シアン化カリウムが含まれているという俗説があるが,あれは嘘ではないか?毒があるとしたら,上記のackeeと同じ様な機序ではないか?どなたか青梅が本当に毒なのかどうか,毒があるとしたら,その本体は何なのかご存知だろうか?
Meda HA and others. Epidemic of fatal encephalopathy in preschool children in Burkina Faso and consumption of unripe ackee (Blighia sapida) fruit. Lancet 1999;353:536-40.
寛解再発を繰り返しながらだんだん悪くなっていくタイプのMSにもinterferon betaは有効である.
European Study Group on interferon beta-1b in scondary progressive MS. Placebo-controlled multicentre randomised trial of interferon beta-1b in treatment of secondary progressive multiple sclerosis. Lancet 1998;352:1491-97.
Diabetic muscle infarctionでは,普通は徐々に増大する非外傷性の下肢の腫脹という形で現れ,発熱などの全身症状を伴わないのだが,このケースでは局所の疼痛,発赤ばかりでなく,発熱,白血球増多を伴い,あたかも感染性の筋炎あるいはfocal myositisを思わせる症状だった.
あなたも神経内科医のはしくれなら,何の基礎疾患もない健康人に突然劇症型の脳炎が起こるのを何例か経験しているだろう.もちろん細菌性の髄膜炎ではない.悪いことに日本脳炎も単純ヘルペス脳炎も証拠がつかまらないし,アシクロビルも効かない.あっという間に進行して挿管,呼吸管理になる.そういった悪夢を見たことがなければ一人前の神経内科医とは言えない.そのような悪夢の診断は急性出血性白質脳炎(Hurst脳炎)である.
Hurst脳炎の診断のポイントは
1.先行感染後の劇症のウイルス性脳炎で,ヘルペス脳炎の証拠がつかまらない.
2.ヘルペス脳炎と違って両側性である(ただししばしば非対称)
3.CTでは白質の病変が中心(病理学的には髄鞘の崩壊,血管周囲を中心とする炎症細胞浸潤)
4.先行感染としてしばしばMycoplasma pneumoniae.
急性散在性脳脊髄炎ADEMとの鑑別はしばしば困難だが,ADEMでは髄液の白血球がリンパ球優位なのに対して,Hurst脳炎では好中球が優位なこと,Hurst脳炎では脳浮腫がひどくてより重症であることが鑑別点になる.
Time to consider treatment of options for intracranial aneurysms. Lancet 1999;353:942-943.
直径10ミリ以上のものは破裂リスクが高いので手術すべきだというのが一番わかりやすい結論ですが,裏を返すと直径10ミリ以下のものは手術をしちゃだめということですね.
もちろん患者の年齢,合併症の有無,動脈瘤の部位,医者の腕によって話は全然違ってきますが,1年間の術後の死亡率と重篤な合併症の頻度が平均15%前後というのは一体どういうことなんでしょうね.
脳ドック大流行の日本での方が切実な問題だと思うのですが,こういう肝心な仕事は全部鬼畜米英に負けてしまいますね.参加したのは米国,カナダ,ヨーロッパです.こういう仕事で,どうして日本にお呼びがかからないんですかね.MCAのバイパスの国際研究の時には参加したはずなんですが,その時に何かまずいことでもやらかしてしまったんでしょうか?日本の臨床医にとっては毎日がポツダム宣言の日々です.
余談ですが,Relapsing-Remittingを再発性弛張性って訳して平気な顔をしてるってのはどういう神経でしょうね.神経内科医ならずとも,なんのこっちゃと思います.監訳者の名前が入っているのだから,翻訳ソフトがバカだからってことだけでは済まされない.恥さらしだと思います.”寛解と増悪(再燃)を繰り返す”って訳すんですよ.老婆心まで.
Weekly Clinicopathological Exercises: Case 39-1998: A 13-Year-Old Girl with a Relapsing-Remitting Neurologic Disorder. N Engl J Med 1998;339:1914-1923→GO TOP
Weekly Clinicopathological Exercises: Case 35-1998: A 54-Year-Old Woman with a Progressive Gait Disturbance and Painful Leg Paresthesias. N Engl J Med 1998;339:1534-1542.
384例のGeneralized Convulsive Status Epilepticusに対して,無作為割り付け二重盲検を行い,ロラゼパム (0.1mg/kg),ジアゼパム (0.15mg/kg)+フェニトイン(18 mg/ kg),フェノバルビタール単独 (15mg/kg),フェニトイン単独 (18mg/kg) 静注の効果を比較したところ,各々の効果は64.9%,55.8%,58.2%,43.6%であり,ロラゼパムの効果はフェニトイン単独よりも統計学的に有意に高かった.
ロラゼパムは日本では商品名ワイパックスで,経口の錠剤しかない.心電図モニターをしながらおっかなびっくりやるフェニトインの静注よりも効果があるのなら,是非とも欲しい薬だ.ロラゼパムの静注はワシントンマニュアルにもごく標準的な治療として載っている.決して特殊な治療ではない.どうしてこういう治療が日本ではスタンダードにならないのか?それは医者が怠慢だからだ.医者がもっと発言しなければ厚生省も製薬会社も動かない.
ポイント:視床VL核の手術が振戦の改善を目的に行われるのに対し,後腹側内側淡蒼球あるいは視床下核に対する手術は進行期のパーキンソン病の症状全般と,薬剤誘発性ジスキネジアに対して行われるが,手術の効果が長続きしないこと,両側を手術すると高次脳機能障害と球麻痺が高率に起こることが問題だった.近年,同部位を深部電極で刺激する方法が,副作用も軽く持続的な効果が期待されている.
一方,胎児の中脳組織の移植手術の効果が期待されているが,材料取得の倫理的な問題と絶対的なドナー不足(片側の手術に3例の胎児が必要)が障害となっている.ブタ胎児の中脳を使う異種間移植の安全性と有効性が現在検討されている.
Gherardi RK and others. Macrophagic myofascitis: an emergic entity. Lancet 1998;352:347-351.
剖検では大脳皮質が萎縮し,後頭葉視覚野,上側頭葉にはグリオーシスと神経細胞の消失が目立った.小脳皮質も著明に萎縮し,顆粒細胞ばかりでなく,プルキンエ細胞やバスケット細胞も消失していた.
この症例から学ぶべき事は以下のようである.
1.ジメチル水銀は微量でも致死的である.
2.中毒症状は長い潜伏期間の後に生じうる.
3.ジメチル水銀は皮膚から速やかに吸収され,ゴム製の手袋は役立たない(ジメチル水銀は15秒以内に浸透するとの報告がある)
4.キレート療法は神経学的症状が出現してから後では効果がない.
5.この論文の引用文献には,日本人の書いた論文は一つも出てこない.
W. Krivit and others. Hematopoietic Stem-Cell Transplantation in Globoid-Cell Leukodystrophy. N Engl J Med 1998;338:1119-1126
CASE RECORDS OF THE MASSACHUSETTS GENERAL HOSPITAL; Weekly Clinicopathological Exercises: Case 8-1998: A 41-Year-Old Man with Leg Weakness and Mediastinal Lymphadenopathy. N Engl J Med 1998;338:747-754.
Timo Erkinjuntti, Truls Ostbye, Runa Steenhuis, Vladimir Hachinski. The Effect of Different Diagnostic Criteria on the Prevalence of Dementia. N Engl J Med 1997;337:1667-74.
65歳以上の男女1879人に,DSM-III, DSM-III-R, DSM-IV, ICD-9, ICD-10, CANDEXの6種類の基準を適用して痴呆の診断をしたところ,一番高いDSM-IIIでは30%,一番低いICD10で3%と,診断率に10倍もの開きがあるのだ.しかもこの解離は,ある診断が他の診断より厳しいという単純な理由からではない.というのは,6つの基準すべてで痴呆と診断されたのはたったの20人だったからだ.つまり一番診断率が低かったICD10で痴呆と診断された58人のうち,38人は他の基準では痴呆ではないと診断されたからだ.
日本では,一番よく使われる長谷川式がどういう位置にあるのか調べなければならない.私はやる環境にないから,誰かやってください.いい仕事になりますよ.とにかく,こういういい加減な数字から国家プロジェクトの予算が決まるというのは大問題だ.神経内科医の社会的責任の問題になる.
ところでラストオーサーを見てもらいたい.そう,あのHachinskiである.自分の作ったアルツハイマー/脳血管痴呆の鑑別診断表の見直しはどうするんだろうかと,他人事ながら気になるところだ.
しかし,この可能性に関しては,5年後に再検討されて,丁寧に身体所見をとった場合に比べて,それほど診断率を向上させないということがわかった.
Salvarani C and others. Is Duplex Ultrasonography Useful for the Diagnosis of Giant-Cell Arteritis? Ann Intern Med 2002;137:232-8