レジオネラって,何?

私がこの解説を書いた理由
● 24時間風呂や温泉とレジオネラ症について疑問を持っている一般の方々のために,私はこの解説文を書きました.一人の医師として,多くの方の不安を少しでも和らげたいと思う気持ちからです.私の立場は特定の行政機関や業界とは全く関係ありません.

レジオネラって,何?
● レジオネラ症というのは,レジオネラ菌という特殊な細菌によっておこる肺炎です.1976年にアメリカではじめて見つかりました.診断が困難なことがあるので,これまで日本ではあまり注目されていませんでしたが,1996年7月,都内の病院でレジオネラ症で新生児3人が肺炎を起こし,そのうち女児1人が死亡する事態が報道されたことや,24時間風呂のお湯の検査でたくさんのレジオネラ菌が見つかったり,温泉で多数の患者さんが出たということで注目を集めています.

レジオネラ菌はどこにいるの?
● 自然界の土壌に生息しています.それがほこりとして飛んできて,溜まり水の中に入って繁殖するのです.レジオネラ菌は温度が30度前後の水の中で,コケが生えたり,プランクトンがたっぷりいるような,水がよどんだ状態が大好きです.最も多いのは空調用の冷却塔の水の中ですが,給湯温度が60度以下の給湯設備や温泉,消毒が不十分な温水プールや噴水などにも生息しているという報告があります.

 レジオネラ菌が増えた水は,どうやってわかるの?
● レジオネラ菌がいるかどうかは特殊な細菌培養検査をしないとわかりません.水の色が変わったり,匂いがしたりするわけではないのです.

 レジオネラ症にかかるとどんな症状がおこるの?
● レジオネラが繁殖している水/お湯の飛沫を吸い込むことによってレジオネラ菌が体に入り,発症します.
● 特徴的な症状はなく,また,重症度も人によりさまざまです.ふだん健康な人はレジオネラ症にかかっても症状が出なかったり,軽い風邪程度の症状で済んでしまうこともあります.一方,老人や抵抗力の少なくなっている人では重い肺炎を起こして死亡することもあります.

 レジオネラ症の予防はどうすればいいの?
● 従来通り24時間風呂を使えば,お湯の中にレジオネラ菌が繁殖する可能性があります.水を入れ替えないで済むことと,お湯の温度が常に40度付近に固定されているという24時間風呂の特長は,そのままレジオネラ繁殖のための好条件になっているからです.つまり,24時間風呂の風呂桶を普通の風呂桶として使っていれば,レジオネラの危険性はなくなります.

 それでも風呂をいつでも入れるように使いたい人は,個人の責任で使って下さいとしか言いようがありません.水を入れ替えることはレジオネラの繁殖を防ぐ上で重要ですが,どのくらいの頻度で入れ替えればいいかはデータ不足ではっきりしたことは言えません.上水道の消毒に使われる塩素剤はレジオネラの駆除に有効ですが,他の消毒薬については,その種類,使用量,使用頻度,人体への影響について十分なデータがあるわけではありません.

 ● レジオネラ症は人から人へはうつりません.ですから,万が一患者が発生しても隔離の必要は全くありません.

 ● 24時間風呂以外には,一般の家庭生活ではレジオネラ感染の危険があるような設備はありません.ただし加湿器に水を入れっぱなしにするのはやめましょう.

 ● 温泉:使ったお湯はそのまま流す古いタイプの温泉は(環境にはやさしくなくても)のリスクは低いといえるでしょう.(ただし温泉のお湯を飲むのは危ない).リスクがあるのは,循環式を使っている,比較的新しいタイプの温泉です..

さらに詳しい専門知識が知りたい方は下記を御参照下さい.
 

レジオネラ症の知識;専門編

もうこれで十分わかったという人はこちらへ.

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