混合診療と審査

以下,難しい言葉や保険制度の特殊性がからんでくるので,わかりにくい場合には,混合診療禁止の幻をご覧下さい.

2004年1月,適用外使用申請中の薬剤の使用に対して,特定療養費が使えるということになりました.特定療養費は、本来、保険適応のないものに対して、例外的に保険外給付を行う(保険者ではなく、国がお金を払う)という制度です。つまり、国が認めた保険外診療。だから、特定療養費の範囲を拡大していけば、実質的に混合診療(保険診療と自費診療の混在)が認められることになります。

ということは、混合診療を実質的に許していない日本の医療制度に混合診療の突破口を与えることになります。この通知が何の議論もなく出てしまったのは、審査管理課はもちろん、医療課さえも、この通知の重要性を理解していない証拠です。混合診療に関しては、総合何とか規制(改革?)会議(?)で、議論されていますが、”貧乏人は死ねという制度”だと、医療者側の多く(医師会ばかりではない)は反対しています。(John Qという映画を御覧になりましたか?)

実質的には保険適応と一体となっている医薬品・医療機器の承認審査は、混合診療が実現した暁にはどうなるのでしょうか?審査の仕事が減るとは思えません。逆に負荷は増大するでしょう。個人輸入した健康食品で被害が出た時でも、厚労省は何をやっているとおしかりをいただくぐらい、お上の規制が大好きな日本人は、自由診療で使われる治療についても、保険適応と同レベルの審査を要求するでしょう。それも、そして、何か事故が起こったら、審査が責められるのです。

日本語の教科書で公知申請した企業の尻拭いを我々がやらされて、肝心の申請者は審査とは無関係に実績作りとお金儲けに専念できる。しかもその利益は何の企業努力もせずに、ひとりでに税金から入ってくる。結構な通知が出たものです。

日本の臨床研究を育てる