緊急事態宣言に対する質問状を代筆してみた
「質問状」とは,また口幅ったいが,街場で交わした雑談(医療職ではない方々)の不満を聞いていると,こんなことを言いたいんじゃなかなあと。
市民に対する責任
●そもそもあなたたちが推進する「緊急事態宣言」で何百万何千万という市民が苦しんでいることを知っていますか?
●具体的にその苦しみの大きさはどの程度のものか知っていますか?
●その苦しみは一人10万円で解消できると考えていますか?そうでないと考えるのならば,どうやったら市民の不幸を解消できると考えますか?
●「緊急事態宣言」の効果は何ですか?それは,市民の苦しみの大きさと引き替えになるのに十分なものですか?
3325人が亡くなっても緊急事態宣言は出なかった
●2018-19年の冬,インフルエンザにより日本だけでも3325人もの死者が出たことを知っていますか?
●2018-19年の冬,「緊急事態宣言」がただの一度も出なかったことを知っていますか?それどころか,大相撲も,高校野球も,プロ野球も,Jリーグも全て例年通り行われたことを知っていますか?
●2018-19年の冬,インフルエンザにより日本だけでも3325人もの死者が出ながら,「緊急事態宣言」がただの一度も出なかったのは何故なのかを説明できますか?
●2018-19年の冬,「緊急事態宣言」がただの一度も出なかったのに対し,COVID-19による死者が,インフルエンザによる死者3325人の1/40未満の80人だった4月7日に緊急事態宣言を出したのは,如何なる根拠によるものだったのですか?
●「緊急事態宣言」を出すにあたって,2018-19年の冬,医療崩壊が起きたかどうかを調査しましたか?調査したとすればその結果を教えてください.調査しなかったとすればその理由を教えてください.
●2020年4月7日の時点で,COVID-19による死者が3325人を超える可能性はどの程度あったのですか?その可能性を2020年5月6日までの「緊急事態宣言」によりどの程度低くできると見積もっていたのですか?
●2020年5月6日までの「緊急事態宣言」により得られる効果と,その時点での市民の苦しみとを天秤にかけて,どちらに重きをおくかの判断基準はどのようなものですか?
●2020年5月6日までの「緊急事態宣言」を,どの地域で,どこまで延長した場合,COVID-19による死者が3325人を超える可能性をさらにどこまで低くできると考えているのですか?
地球二つ分の死者の謎
●2020年4月25日現在,COVID-19による死者数は全世界で203164人でした.「新型コロナで42万人死ぬ」とのことですが,「緊急事態宣言」を解除し,我々が普段の生活を取り戻した後,(原子爆弾ではなく)COVID-19により日本列島内で地球二つ分の死者が発生するのならば,いつからどのような過程でそうなるのか?我々が普段の生活を取り戻した翌日なのか?1ヶ月後なのか,それとも100年後なのか?を説明してください.さらに,例えばそれが1ヶ月後だとして,それを感度良く検出し,42万人もの死者が出る前に再び「緊急事態宣言」を出しても「手遅れ」になる理由を理由を説明してください.
●かつて牛海綿状脳症(俗称 狂牛病)に起因する変異型クロイツフェルト・ヤコブ病による死亡例の予測について、数千人が死亡する(Science 2001;294:1729-1731)、いや最悪の場合15万人が死ぬと(Nature 2002;415:420–424)、激しい論争が繰り広げられたものでした.しかし,最終的な死亡数は226でした.我々一般市民は,あなたたちがこのような無責任な科学者とは違うことを願っています.あなたたちが出した「新型コロナで42万人死ぬ」という仮説の妥当性は,「緊急事態宣
言」で何百万何千万という市民に苦しみを強いるのに十分なものですか?
●「新型コロナで42万人死ぬ」という仮説は発表前にpeer reviewを受けていましたか?
●「新型コロナで42万人死ぬ」という仮説は,今「一人歩きしている」と考えていますか?もしそうだとしたら,一人歩きしないようにするためにはどうしたらよかったと思いますか?そして今一人歩きしているのを阻止するためには何が必要と思いますか?
→緊急事態宣言下での弱者-自殺者数が急増してからでは遅い-
→コロナのデマに飽きた人へ
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