子宮頸がん検診は5年毎でいい 1
-なぜ検診についての情報が余りにも少ないのか?
子宮頸がん検診のエビデンスについての適切な情報が余りにも少ないのは、検診の有効性のエビデンスが検診だけでなくワクチンをビジネスにする関係者の利益も減らす方向に働くから

1.検診の有効性のエビデンス=検診の間隔を延長する=検診受診の回数を減らすから→今回は主にこちら
2.検診の有効性のエビデンス=ワクチンの有効性の相対的低下を招くから

今回のウェールズの決定、HPV感染から発症まで長い年月がかかる子宮頸がんの場合、細胞診を行う前の検査でHPV感染が否定されれば、次の検査までの間隔を5年にできるは、日本の市民にとっても喜ばしいニュースのはずなのだが、HPVワクチンのプロモーションでは事ある毎に欧州を持ち出してくる関係者各位が、この知らせについてはほぼ完全黙秘を貫いている。もう既に日本の民間検診業者が細胞診とHPVの同時検査をやっているというのに→「子宮頸がんを予防しよう「細胞診」と「HPV検査」2つの検査の併用でほぼ100%異常を発見

ウェールズが子宮頸がん検診の間隔を5年に延長ーその理由は? ( 海外がん医療情報 リファレンス 2022年2月1日より抜粋)→原文(公開は2022年1月7日)
キーワード:医療者・研究者・患者、子宮がん、英国キャンサーリサーチUK、診断・検査、ヒトパピローマウイルス(HPV)、がん検診

ウェールズは今週、子宮頸がん検診指針の変更を発表しました。

英 国国立検診委員会(UK National Screening Committee)の推奨に沿ったこの変更は、子宮頸部を有する25〜64歳の女性はすべて、5年に1回子宮頸がん検診を受けることを勧めています。こ れは、25〜49歳の女性は3年に1回、50〜64歳の女性は5年に1回子宮頸がん検診を受けることを勧めるこれまでの推奨と異なります。この決定は大き な話題となり、検診間隔が長くなることで子宮頸がんの見落としにつながるのではないかと心配する声が多く聞かれました。

しかし、この変更 にはもっと深い意味があるのです。検診間隔を3年から5年に延長することが推奨されたのは、子宮頸がん検診に用いられる新たな検査法のおかげです。

新たな 検査法では、年齢だけでなく、子宮頸がんの発症リスクに基づいて次回の検診が案内されるしくみになっています。つまり、子宮頸がんの発症リスクの高い人を、子宮頸がん検診に使用されていた従来の検査法よりも高い精度で検出する一方、
リスクの高くない人に とって安全に、現行の検診間隔を延長することがでるようになりました。

改善された新たな指針

子宮頸がん検診の新たな検査法がなぜ、子宮頸がんリスクの高い女性を高い精度で発見できるのかを理解するには、子宮頸がんが発生するしくみを知ることが有 用です。ほぼすべての子宮頸がんは、ヒトパピローマウイルス(HPV)感染が原因です。HPVは、皮膚や体の内側を覆っている細胞に感染する一般的なウイルスで す。100種類以上あり、約13種類の「ハイリスク」型ががんに関連します。

10 人に8人が、生涯のある時点でHPVに感染しますが、ほとんどの場合、感染は自然に治癒し、それに気づくこともありません(*1)クリックして図拡大)しかし、感染が治癒しない場合もあります。このとき、DNA損傷が起こり、体内の細胞に変化が生じます。このような細胞の変化は、細胞自ら修復することが できますが、長い間治療されずに放置されると、がんが発生する可能性があります。

従来の子宮頸がん検診の検査法は、子宮頸部の異常な変化を検出することが目的でした。

新たな検査法では、子宮頸部からサンプルを採取する手順は同じですが、(従来の細胞診ではなく)HPVの検査がまず行われ、HPV 検査単独法(*2)と呼ばれます。異常細胞が発生するよりも先にHPV感染が起っているため、HPV検査によって子宮頸がんの発症リスクを有する女性をより早い時点で発見することができます

なぜ5年間隔に変更されたのですか?

HPV検査を用いた5年に1回の検診は、3年に1回の従来の検査と同等以上の予防効果があります。子宮頸がんは通常、発症までに長い年月を要するため、HPV検査が陰性であれば、この先5年間に子宮頸がんを発症するリスクは非常に低いのです。

英国の他の地域の実施状況は?

英 国国立検診委員会は、英国のすべての国が子宮頸がん検診の新たな検査法および間隔を実施することを推奨しています。スコットランドとウェールズがいち早く 新たな間隔を採用し、イングランドがそれに続いています(*3)。北アイルランドはまだHPV検査単独法(*2)に移行していませんが、すみやかに変更することが望まれ ます。(後略)

*1 池田注:HPVには多くの型がありますが、ほとんどは問題を起こしません。通常、HPV感染は、感染成立後、数か月以内に何の治療をすることもなく改善 し、2年以内で約90%が治ります。ある特定の種類のHPVに感染した人の少数が感染を持続し、感染し癌へと進行させます(ヒトパピローマウイルスと子宮頸がんワクチン ファクトシート 2016より抜粋

*2サイト監修者注:この新たな検査法では、子宮頸部からサンプルを採取する手順は同じですが、従来の細胞診ではなくHPV の検査がまず行われます。異常細胞が発生するよりも先に HPV 感染が起っているため、 HPV 検査によって子宮頸がんの発症リスクを有する女性をより早い時点で発見することができます。 この検診法は HPV検査単独法と呼ばれ、このほかに細胞診も併用する細胞診+ HPV検査併用法と2つの検診法があります。

この記事が公開されてから(原文公開は2022/1/7)1年以上が経つ。内容は一般市民向けの解説である。専門家達はこれらの事実を百も承知で、今日の今日まで、口を拭ったまま、しらばっくれて、涼しい顔で「積極勧奨」とやらを進めてきたことになる。この落とし前をどう付けるつもりなのだろうか?
2023/2/28 初出
このウェールズの判断の根拠となった研究成果論文
The clinical effectiveness and cost-effectiveness of primary human papillomavirus  cervical screening in England: extended follow-up of the ARTISTIC randomised  trial cohort through three screening rounds. Health Technol Assess 2014;18:1-196
Extension of cervical screening intervals with primary human papillomavirus testing: observational study of English screening pilot data. BMJ 2022;377:e068776
●上記BMJの論文を紹介するマンチェスター大学の記事→Screening every five years safe for women who test negative for HPV, study confirms (1 June 2022)

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