あなたにもできるデマウイルス叩き
−「戦い」ではなく「共存」:今日一日に意味がある−
−あなたも新型コロナウイルスを叩いて日夜奮闘している,あなたの町のお医者さんを助けてあげましょう.そして自分も心穏やかになりましょう−
新型コロナは「デマウイルス」 新型コロナによる脅威の規模 2009年の新型インフルエンザ(Influenza A/H1N1)はどうだったか? 日本は世界一の優等生 ○○とコロナは使いよう スペイン風邪の再来にはならない理由 「戦い」から「共存」へ
新型コロナは「デマウイルス」
私が新型コロナウイルス(学術名称COVID-19)がデマウイルスであると考える理由は,「俺様は1億人を殺したスペイン風邪以来の凶悪ウイルスであり,人類を滅亡させる力を持っている」とのデマを世界中でまき散らしているからです.えっ?そんなこと誰も言っていないって?そうでしょうね.誰もそんなことは言っていません。でも、あなた自身の心の中に,「もしかしたら,自分も新型ブルーバード(*1)コロナに殺されるかもしれない」という恐怖感が潜在していますよね?(*2*3) 新型コロナがデマウイルスである所以は正に此処にあります.このような恐怖感が,国境も言語の壁も海も山も超えて,瞬く間に地球全体に広がってしまった.それが「新型コロナ=デマウイルス」の正体です.
*1すいません.50歳未満の人には意味不明の爺ギャグです.なお,そもそも自動車はおろか自転車さえも持っていない私は,トヨタ,日産を含め,いかなる自動車会社に対しても利益相反はありません.
*2ここで「何を馬鹿なことを言っているんだ.そんな恐怖感などとは私は無縁だ」と言い切れる人は,以下を読む必要はないので,本来の仕事に戻ってください.あるいは、次のページへ進んでください→認知行動療法を使いこなす
*3また、「自分は未来永劫にデマウイルスに騙されていたい。パニックのままでいたい」と思う人も以下は読まないでください。
新型コロナが全世界で2500万人〜スペイン風邪にはなれない理由
「新型コロナはスペイン風邪の再来である」はよくある陳腐なデマの一つですが,このブルッキングス研究所によるデマが好きな人はどうぞ,吹聴してみてください.誰も相手にされないでしょうけれど.なぜならば,このデマは既に新型コロナが出現する6年も前に,スペイン風邪自体の正体が明らかにされることによって否定されているからです.では実際にあなたが新型コロナに殺される確率はどのくらいでしょうか?
●新型コロナによる脅威の規模
ここで感染者数とか患者数とかではなく、対人口10万死亡数を用いたのは、それが最も頑健な指標だからです。詳細については、こちらを御覧ください。
米国やイタリアの対人口10万死亡率が極端に高くなっているのは医療崩壊が起きたためと考えられます。それでも、スペイン風邪の時の約1/90ですから、如何にスペイン風邪が猛威を振るったか、そして新型コロナが決してスペイン風邪にはなりえないことが理解できます。
●2009年の新型インフルエンザ(Influenza A/H1N1)はどうだったか?
下記が(当時の)新型インフルエンザ2009の各国の死亡率比較です.御覧の通り,単位人口当たりの死亡数は日本が世界最低です。そして新型コロナ中国全土での対10万死亡数は0.21という数字は、その日本の0.16を除くと、世界各国のどの国の新型インフルエンザによる対10万死亡数より低いことがわかります.
(厚生労働省 新型インフルエンザの診療に関する研修 2011年11月6日 岡部信彦先生のスライドより.
注:上記表で米国での死亡数は「推計」となっているが、決していい加減なものではない。CDCの発表に基づいている(An Overview of Swine Flu (H1N1 Flu)
The
Centers for Disease Control and Prevention (CDC) estimates that swine
flu infected nearly 61 million people in the United States and caused 12,469 deaths.
●日本での季節性インフルエンザによる死亡数は、2009年〜2018年の10年間では、161〜3325人、対人口10万にすると0.12〜2.63です。
●それに対して2020/7/31時点での日本における新型コロナウイルス感染症による死亡者数は1005人、対人口10万にすると0.79。つまり、あなたが季節性インフルエンザにかかって死ぬ確率は、あなたが新型コロナに殺される確率の範囲内だったのです。そこで,インフルエンザで3325人が亡くなった2018-2019年の冬,つまり新型コロナよりも3倍も怖い殺し屋が日本中に蔓延していた時,あなたはどうやって過ごしていたかを思い出してください.
●では,どうして政府が,そして多くの人がパニックに陥っているのか?ですって?そんなのどうでもいいことです.パニックになりたい人はそれが好きなのですからそうさせておけばいいだけです.いつも問題は自分自身です.他人はコントロールできない.コントロールできるのは自分だけです.バカに構うのは時間の無駄!! 自分の人生を大切に!!
○○とコロナは使いよう
山本太郎先生とは5年間同じキャンパスにいながら、残念なことに仕事でご一緒したことはなかったのですが、大学内外での行動・言動から、空間軸だけでなく時間軸でも地球レベルで融通無碍に物事を考えられる方だということはすぐにわかりました。
「致死率を下げながらコロナと共存する」山本太郎・長崎大熱帯医学研教授に聞く 毎日新聞 2020年3月12日
(前略)休校の是非を議論することも必要ですが、私はこの休校をどうやって前向きに生かすかという点をもっと議論する必要があると思います。考えてみてください。子どもたちがこれほどの自由な時間を持てたのは、おそらく終戦直後以来初めてではないですか?イタリアの先生が休校中の生徒たちにこの機会に「本を読め」と言いました。思索にふけるきっかけにもなってほしい。子どもたちが50歳になったとき、この休校の時期をどのように振り返ることになるか。それは私たち大人に課せられた重要な課題だと思います。ニュートンが万有引力の基礎的な概念を発見したのは、ロンドンでペストが大流行して働いていたケンブリッジ大学が休校となり、田舎に帰った時のことでした。結果論ですが、その18カ月は後に「創造的休暇」とも呼ばれることになります(後略)
スペイン風邪の再来にはならない理由
上記記事内でも言及されているスペイン風邪の謎に関するNational Geographicの記事。これを読めばCOVID-19は決してスペイン風邪にはなれないことがわかります。
スペインかぜ5000万人死亡の理由(2014.05.02)
人類の医学史上、最も大きな謎の一つを解明したかもしれないと研究結果が4月28日に発表された。1918年に大流行したスペインかぜ(インフルエンザ)では世界中で5000万人が死亡したが、犠牲者が主に若い健康な成人だったのはなぜなのか、これまで明らかになっていなかった。答えは驚くほどシンプルだ。1889年以降に生まれた人々は、1918年に流行した種類のインフルエンザウイルスを子どもの頃に経験(曝露)していなかったため、免疫を獲得していなかったのだ。一方、それ以前に生まれた人々は、1918年に流行したインフルエンザと似た型のウイルスを経験しており、ある程度の免疫があった。
Genesis and pathogenesis of the 1918 pandemic H1N1 influenza A virus. PNAS 2014;111 (22): 8107-8112
「戦い」ではなく「共存」:今日一日に意味がある
「戦い」と表現するから、勝ったの負けたのだと、どうでもいいことに拘ってしまうことになります。目に見えない、音も無くどこへでも飛んでいく、入り込んでくる。そんな相手と「戦おう」とする発想自体が、間違っています。道を誤る。「戦う」のではなく「飼い慣らす」のです。「飼い慣らす」という表現がウイルス様のご機嫌を損ねることを懸念するのなら「共存」でもよろしい。言葉なんてどうでもいいのです。何しろ相手には日本語もギリシャ語も通じないのですから。→「COVID-19との戦い」の意味
−国家権力という文脈で考える−
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「致死率を下げながらコロナと共存する」山本太郎・長崎大熱帯医学研教授に聞く 毎日新聞 2020年3月12日
(前略)――WHOはパンデミックと宣言しました。感染者は世界中で12万人を超えています。封じ込められるのでしょうか。
◆感染者を完全にゼロにすることはできないと思います。一国で根絶できても、他の国でゼロにできない。免疫を獲得した人が増えることで最終的には大きな流行が起こらなくなる状態になるまで、つまり集団免疫を獲得するまで、拡大は続くでしょう。日本の場合、それはおそらく人口の6、7割でしょう。
感染拡大のスピードを遅くすることが大事
――封じ込めが無理だとすると、目標をどこに設定すべきでしょうか?
◆失う人命をできるだけ少なくしながら、集団免疫を獲得することを目指す。そうした段階にもう来ていると思います。致死率を下げるしかない。そのためには感染拡大のスピードを緩やかにすることです。感染拡大のスピードを遅くすることで、医療機関の破綻を防ぐことができるし、ウイルスが強毒化する確率が減ります。ウイルスは環境によって変化しますが、感染速度が速いとウイルスは強毒化する確率が高まり、遅いと弱毒化する確率が高まるのです(注1)。これはあくまで確率論で、実際にウイルスがどう変異するかは分かりません。しかし、強毒化する確率は下げるよう努力すべきでしょう。
(注1)強毒化したウイルスは高い感染力と致死性に加え、潜伏期間が短いため、宿主が次々と供給される環境でなくては生存できない。感染拡大のスピードが低下すると、強毒化ウイルスは宿主とともに消えてしまうので、結果として、感染力も致死性も低く潜伏期間が長い弱毒ウイルスが優位になる。(後略)
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*池田注:例えばエボラウイルスの場合には、強毒一点張りなので、宿主が次々と供給されなくなれば、つまり地域の人間が全滅すればウイルスも全滅する。COVID-19の場合には、潜伏期間が長く軽症例が圧倒的に多いことからもわかるように、現在日本で行われている引き延ばし戦術が強毒化防止→弱毒化に有効であると考えられる。
上記の山本教授の話が理解できれば、あなたが今日一日を心穏やかに過ごすことに意味があることがわかるでしょう。そしてどうしても「共存」という言葉が気に入らない、勝ち負けに拘泥するのが大好きな向きには「粘り勝ち」という言葉をお贈りしましょう。
→コロナデマバブルの最期
→コロナのデマに飽きた人へ
→二条河原へ
→法的リテラシーへ
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