何を偉そうに
エフィエント,この恥知らず
だって,そうじゃねえか。プラビックスに負けたって事実は,白日の下に,つまり審査報告書だけじゃなくて,全世界の誰もが読める添付文書に明確に示されているんだから。

1.プラビックスに負けた,2.エフィエントの「危険性」,3.ガラパゴス承認,4.適応外プロモーションの惨状

1.プラビックスに負けた
5. 効能または効果に関連する注意 <虚血性脳血管障害(大血管アテローム硬化又は小血管の閉塞に伴う)後の再発抑制>
5.3 虚血性脳血管障害の病型分類を十分に理解した上で、TOAST分類の大血管アテローム硬化又は小血管の閉塞に伴う虚血性脳血管障害の患者に投与すること。同分類のその他の原因による又は原因不明の虚血性脳血管障害の患者には、有効性が認められていないため投与しないこと。[17.1.5参照]
5.4 高血圧症、脂質異常症、糖尿病、慢性腎臓病、最終発作前の脳梗塞既往のいずれかを有する患者に投与すること。[17.1.6参照]
5.5 「17.臨床成績」の項の内容を熟知し、有効性についてクロピドグレルに対する非劣性が検証されていないことや臨床試験の対象患者等を十分に理解した上で、本剤投与の適否を判断すること。[17.1.5、17.1.6参照]

17.1.5 国内第III相試験(虚血性脳血管障害患者)
下記の表に示されるように,クロピドグレル群に対するプラスグレル群のリスク比(95%信頼区間)は、1.045(0.757〜1.443)であり、95%信頼区間の上限値が事前に 設定した非劣性限界値1.35を上回ったことからクロピドグレル群に対するプラスグレル群の非劣性は検証されなかった。つまり負けた。それも完敗である。なぜ完敗かは,これも(然るべき人が然るべきところを見れば)自明である。



然るべき人は平均値には目もくれない。そんなもんはどうでもよろしい。これは非劣性試験なのだ。95%信頼区間の上限が全てである。主要評価項目だった虚血性脳血管障害の95%信頼区間の上限が1.443と事前設定の非劣性限界値1.35を上回ったんだから,申し開きの余地は一切ない。本来ならば承認できない結果である。

さらに,お情けで頂戴した大血管アテローム硬化と小血管の閉塞による脳梗塞も恥の上塗りとなっている。こちらも95%信頼区間の上限がそれぞれ1.400,1.526と両方とも1.35を超えている。つまり効能効果が承認されたサググループでも非劣性を示せなかった。これを恥知らずと言わずして何と言おうか。

2.エフィエントの「危険性:脳梗塞の原因不明例ではエフィエントは実質禁忌(と試験結果に書いてある)
この国内第3相試験は,プラスグレルの有効性を示すことに失敗したと同時に,同薬を投与してはいけない集団を明らかにした。それが「原因不明」群である。リスク比の95%信頼区間が0.903-2.687ということは,プラスグレルは大血管アテローム硬化あるいは小血管の閉塞以外の脳梗塞には投与してはいけないことを意味する。 さらに,臨床試験では心房細動等の原因による脳塞栓症は全て除外されているので,元より適応外であることを申し添えておく。

実臨床では虚血性脳血管障害の原因を血管病変毎に分類するのは困難である。その結果,原因不明群が最大の集団になる。できるだけ層別化を明確にした国内試験であっても原因不明群が1/3以上を占めた(プラスグレル群38%,クロピドグレル群36%)。これが実臨床となれば,臨床試験の時のように虚血の原因を検索しないので,リアルワールドではプラスグレルが実質的に禁忌となる原因不明群が40%を超えるだろう

3.世界最先端を行く(ガラパゴスを気取る?)日本の承認
FDAが急性冠症候群に対してプラスグレルを承認した2009年7月から15年経った今も,効能効果はそのままで,脳虚血は追加されていないEMAも同様である。

4.適応外プロモーションの惨状:お医者さんが勝手にやってることだから,私共は知らぬ存ぜぬ?

●脳塞栓も認知症予防も適応外ですが・・・それにこれ,製造販売企業のWeb講演会でしょ。

●一方で,企業とは独立して個人が得意になって適応外使用の広告塔に成り下がっている能天気事例も(m3の会員のみに閲覧の特権が与えられています)なお,この宣伝動画の末尾にはこんなコメントがある。

”私は日本脳神経外科学会へのCOI自己申告をおこなっています。 開示すべきCO1はございません。特定の企業の利益のための回答ではございませんのでご理解ください”

こんなふざけた台詞で誤魔化せるとでも思ったら大間違いだ。あんたが金を貰っているかどうかなんて関係ない。むしろエフィエントを売っている第一三共から放映差し止め請求が来るぐらい,醜悪なプロモーション動画である。尤も第一三共が昔のようにもう少しまともな企業だったらの話だが。

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