風邪は治療すれば7日間続くが,もし何もしなければ1週間続く(レーモン・ドゥヴォス)
(池田注:ただし,これを悟るのは,1週間たってからだ)
2002/4/11の新聞記事から:
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市販薬でまず「自己治療」を・普及にNPO
薬局・薬店で買える大衆薬で、自分の健康管理や病気の治癒に役立てようと、医師や製薬会社の団体、識者らが5月末に非営利組織(NPO)を発足させる。「セルフメディケーション(自己治療)」と呼ぶ運動で、少子・高齢化を受けて膨らむ国民医療費の負担軽減につなげていく狙い。
団体は「セルフメディケーション推進協議会」(本部横浜市)。会長は東京薬科大学客員教授の山崎幹夫氏が就任する見通し。今月18日に発起人会を開く。ドラッグストアや大衆薬メーカーの団体など50組織のほか医師、学識経験者、弁護士ら300人程度が参加する。
セルフメディケーションはむやみに病院に依存せず、医師が診断しなくても治療が可能な軽医療の分野では、できるだけ自己責任で治すという考え方。より幅広くは、医薬部外品や機能性食品の摂取、運動や休養、睡眠などで「自分の健康を自分自身で管理する」ことも意味する。
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医者にかかること自体がリスクだという信念に基づく運動ならば,大いに敬意を表するが,どうもそうではないらしい.医療費抑制とか言っているが,薬屋を儲けさせるってことだろう.シーズンともなれば,外来が風邪であふれ返ってまともな診療ができなくなるから,病院側も歓迎ってわけだ.だから,文句を言う奴もいまいという読みだろう.
しかしね,風邪と思われる患者が50人いたら,そのうち一人は肺炎だぜ.自分がその50分の1だって,わかってやってくる患者などもちろんいない.何しろ医者でも見抜けるかどうかわからないんだから.だから,この50分の1を遅滞無く見つけるためには,ほかの49を診なければらなない.
下記はその3日前の記事だ.
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使い残し解熱剤、流感の子供に使い死亡相次ぐ
インフルエンザ患者への使用が原則として禁じられている解熱鎮痛剤を、医師の処方なしに家庭で使うなどした子供が、脳炎・脳症で死亡する
ケースが今年に入って相次ぎ、厚生労働省は、使い残した薬や他人の薬を家庭で勝手に使用しないよう注意を呼びかけている。
同省によると、今年1月、9歳の女児が家庭にあった座薬の解熱剤(ジクロフェナクナトリウム)を使ったところ、けいれんや意識低下
などが起きる「インフルエンザ脳炎・脳症」を発症、死亡した。また、同じ解熱剤を家庭で使っていた6歳の女児が死亡する事故もあった。
このほか、医師が処方したサリチル酸系医薬品などを服用した7歳と4歳の女児が、脳炎・脳症で死亡するケースもあった。
4件の死亡例はいずれも、医薬品と脳炎・脳症との直接の因果関係は不明だが、事態を重視した同省は、全国の都道府県に対し、使い残しの医薬品は原則、廃棄するように求める啓発活動の実施を求めた。
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