ライフサイエンスのデータ、論文へのアクセスを無料にしようというPubMed Central (PMC)の構想を知ったのが、2003年頃だったと記憶している。PMCはその後あまり話題になっていないようだが、ぼちぼちやっているというところなのだろうか。そのPMCがやっているAuthor Manuscriptという仕組みを、文献検索をしていて、たまたま見つけた。
NIHの研究費をとった仕事の論文が,どこかの雑誌に受理されたら、雑誌とは別途、こちら,Author Manuscriptで無料で公開するから最終原稿をこちらに提出しろってことのようだ.
Many of the scientists who receive research funding from NIH publish the results of this research in journals that are not available in PubMed Central (PMC). In order to improve access to these research articles, NIH's Public Access policy asks these authors to give PMC the final, peer reviewed manuscripts of such articles once they have been accepted for publication.
だから、NIHのグラントでやった仕事ならば、その論文がランセットに出ても、ランセットの上ではただでは読めないが、このAuthor Manuscriptのサイトなら誰でも無料で読めるというわけだ。国民の血税を使った仕事ならば、その成果である論文を、広く国民が読めるようにすべきだ という趣旨であろう。版権の問題をどうやって解決したのか,興味あるところだ.その議論は,特に公金を使って行われた研究成果は,一体誰のものかという議論につながるからだ.
日本でも、J-STAGEで、科学学術雑誌がデジタルアーカイブ化され、その多くが誰でも無料で読めるようになりつつあるが,税金を使って行った研究成果の公開,共有はまだまだだ.
文科省や厚労省の科学研究費でやった研究を論文にした場合に、別刷や最終原稿提出義務づけ→デジタルアーカイブ化・一般公開なんていますぐできるのに,誰もやらない。予算の取れる仕事なのに,どういうわけか役所は動かないし,研究者達は、お役所の動きを、これまたのほほんと待っているだけだ。そんなのんびりした態度は、研究者達がいつも罵倒しているはずの政治家にも劣る。
税金から歳費やら調査活動費をもらっている政治家達は、常に、”国民の皆様のために”と、少なくとも表向きはご機嫌を取る。ところが、給料も研究費も税金から出ている研究者は、患者さんのために と言うことはあっても、”国民の皆様のために”と言うのを聞いたことがない。患者さんばかりが彼らを養っているのではあるまいに。
ましてや,公の金でやった研究成果を特許にしてベンチャー企業で金儲けなんて,よくもまあ,お天道様の下をぬけぬけと歩けるもんだぜ.