ロボティクスの本当の意味
ーやけに痩せたゴジラが隠すことー

何が「革命」だよ.ラッダイト運動が起こったのは19世紀初頭.ロボットのように振る舞う人間なんて,ロボットという概念が生じる,はるか以前から存在していた.
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Financial Times ドイツ銀、6千人の大削減を警告 ロボットを雇用  2017/9/7 13:48日本経済新聞 電子版
 ドイツ銀行のジョン・クライアン最高経営責任者(CEO)は、「ロボットのように」働いている従業員が実際のロボットに取って代わられ始める中、「革命的精神」を受け入れるよう従業員に求めた。
 同氏は革命の結果として、同行の「多数の」従業員が雇用を失うだろうと警告した。「基本的に計算業務に多くの時間を費やしている」会計担当者が自動化に取って代わられると語り、同行が雇う会計部門の従業員6000人の怒りを買う恐れがある。同行はリストラ5カ年計画の一環として、既に社員10万人のうち9000人を、また間接雇用する契約社員3万人のうち6000人を削減すると発表している。同氏は「正直に答えると、そこまで多くの従業員がいらなくなる。行内には機械的な仕事でロボットのように振る舞う人がいるが、今後は人のように振る舞うロボットを活用していく」とし、新技術を活用できればさらに雇用を削減すると述べた。
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(以上,2017/9/8追補)

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物知りがでかい面する時代はとっくの昔に終わった。調べる、覚える、保存する、整理するといった作業はできる限りロボットに任せ、人間は考えることに集中する。思考停止を続けている人間はロボットと並んで仕事をしていればよろしい。ただしそこで給料をもらえるかどうかはわからない。それがロボティクスの本当の意味である。以下はまるきりの余談。暇な人だけが読むように。

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アイコンは、そのトンガリ度によって、彼等自身よりも上の年代と下の年代でその支持層がどう分かれるかが決まってくる。高城剛や堀江貴文はその代表である。実は私はニューズウィークの高城剛のコラムを楽しみにしている。その彼が、「移民が定住先の国民の仕事を奪う時代は過ぎ去り、労働者の国籍に関係なくロボットが仕事を奪っていくことが労働問題の本質である」と語っている。→「英国EU離脱。しかし、問題は、移民からロボティックスへ」

私が住んでいた25年前でさえ、グラスゴーの地下鉄の改札はすべて自動改札になっていた。でもあの頃はスーパー(私の行きつけのSafewayは今は無い)のレジは全て有人だった。それが今は全部自動化され、ポーランドからの移民が入り込む余地が消失したというのだ。

「レジのような単純作業ならそうだろうが、人間でなければできない仕事はたくさんある」と高城の指摘を一笑に付すことはできない。あの高城でさえ、オーストラリアの入国管理が全て自動化されたことに大変驚いているが、これにはヒースローの入国管理で何度も不愉快な目に遭った私も全く同感だった。

5月にシドニーを訪れた時のことだ。ICチップの入った旅券だったから、羽田の出国は自動化窓口ですんなりだった。しかし、オーストラリアは「宗主国」の英国の伝統を引き継いで、移民制限が非常に厳しい国である。シドニーではまたあの長い列に加わわって辛抱した末に、ほんの10-20秒とはいえ、入国管理官に疑い深い目で見られなくてはならないのかと思うと、機上にいる時からちょとばかり憂鬱だった。

それがどうだろうか。入国管理の手前で、IC旅券の方はこちらという矢印があって、長い列のできている有人改札を尻目に、2-3人しか並んでいない方で旅券を読み取り機にかざして、「あっちのカメラを見て」と首実検を受けると、「はいおしまい。さっさと向こうへ行け」と追い立てられて、入国管理が全てが終了してしまった。狐につままれたような感じとはこのことか。人間を疑うのが仕事である入国管理こそ、人間でなければできない仕事の典型だったのではないのか?

お客様を神様のように扱うホテルマンも人間でなければできない仕事の典型だったのではないのか? と過去形で自問自答する事態が生じている国があることをご存じだろうか。

英国もオーストラリアも新しいシステムを導入するのを日本よりもためらいがちなお国柄だ。英国なんぞは自動車は今でもマニュアルトランスミッションが圧倒的だ。ホテルのフロントが自動化されたなんて聞いたことがない。実際シドニーで私の泊まった宿は自炊可能な、いわゆるholiday apartmentで、通常のホテルよりも接客の機会がはるかに少ない宿だったが、それでもフロントには常に2人以上が配置されていた。ホテルの自動化は日本の方が進んでいる。先日泊まった「スーパーホテル」ではチェックアウトがなかった。

ハウステンボスで創業した「変なホテル」が、東京ディズニーリゾート(TDR)の近くにもできるというニュースを目にした。この国では英国やオーストラリア以上に急速にロボティックスが進んでいく。やけに痩せたゴジラが愛嬌を振りまき、「人間の仕事を奪う」というメッセージをうまく隠して。

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