”野球は趣味か、仕事かと聞かれれば、僕の場合はバリバリ趣味です。新しいことをどんどん追求していくのが、楽しいからやっている。お金をもらうことが1番目なら、もっと先に進もうとは思わない”(鈴木一朗.シスラーの大記録へ、残り安打数がいよいよ1けたに突入しようとしていた2004年9月24日。遠征先のテキサス州アーリントンでの昼下がり。球場近くのカフェで)
映画”パットン”(邦題 パットン大戦車軍団←この邦題は最悪だ.この映画を見た全ての人が『”パットン”だけでよかったのに』と思っている)で,カール・マルデン演じる温厚なインテリ然としたブラドレー将軍が,ジョージ・C・スコット演じる鬼神ジョージ・パットンに向かって,”僕にとって戦争は職務だが,ジョージ,君にとっては,趣味だ”と断じる場面がある (Patton 1970 General Omar N. Bradley).
There's one big difference between you and me, George. I do this job because I've been trained to do it. You do it because you LOVE it.(この言葉を聴いた時のジョージ・C・スコットの「にやり」は最高!!)
私の職場には,そんな華やかな場面はない.失禁どころか,廊下で放尿・放便は朝飯前,患者が他の患者の経鼻胃管を引き抜いたり,別の患者をベッドから引きずり降ろしたり,はたまた異性の患者の服を脱がせてベッドに連れ込んだり,そんな戦闘場面が日常茶飯事の認知症病棟から私が離れられないのは,職務だと考えるからだろうか,趣味だと感じるからだろうか.
悪運強くあと30-40年生き延びれば,自分は野球の天才でもなく,軍神でもなく,確実に一認知症患者になると信じている.そういう信仰があるからこそ,自分が彼らを尊重しているという自信がある.だから,認知症病棟勤務が少しも嫌ではない.このように,全てを自分に都合よく解釈してしまう主観に基づいて働いていること自体,職務というより,趣味なのだろう.
(「あなたにとってピアノとは?」と訊かれて)「猫達を食わせていくための道具ね」(フジコ・ヘミング)