大盤解説ができるAIを目指して
『いつも笑顔で真面目な女性が職場で突然泣き出したら』(日経メディカル:無料登録で読める)。この記事の中の小さいフォントで書いてあるのが、私が2003年から主張している「大盤解説」である。大盤解説なくして問診は教育できない。上記は精神科だが、もちろん他の診療科でもできる、いや、しなくてはならない。だって他の診療科だって問診するもの。
人間同様、大盤解説なくしてはAIに問診を教育することはできない。教育できなければ問診ができるAIはもちろん、人間が聴取した病歴を分析するAIも育たない。今の自然言語処理NLPは医師国家試験合格を目指すところまで来ているが(医師国家試験を自動解答するプログラムの構築)、病歴分析まではほど遠い。
何故ならば、コンピューターは決して人間を超えられないからだ。医師国家試験合格者は毎年9000人を超える。一方、自分の問診過程を言語化してAIに教育できる人間はまだ地球上に存在しない。そういう人間が毎年医師国家試験合格者数と同じぐらい出現する世の中になって、初めて病歴を分析できるAIの実現可能性が出てくる。
たとえそれが自分がこの世からいなくなってからでも(*)、私は必ずその日が来ることを信じて、ささやかな一歩ではあるが、まずは構造化された医療文書をNLPに読ませ、その結果が人間の判断とどの程度一致するかを検討した。
Shimazawa R, Kano Y, Ikeda M. Natural language processing-based assessment of consistency in summaries of product characteristics of generic antimicrobials. Pharmacol Res Perspect. 2018 ;6(6):e00435. doi: 10.1002/prp2.435.
*諸葛孔明が司馬懿を畏怖させたのは、その死後せいぜい1週間が関の山だった(星落秋風五丈原)。それに対して私は、この世を去ってから数十年経った後に、『池田は既に21世紀の初頭に既に大盤解説ができるAIを目指していたのか』と、22世紀の研究者達を畏怖させることになるのだ。
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