2001/10/22夜,たけしのTVタックルという番組で,牛肉は食べない,農水省が悪い,厚労省が悪いとわめいていたオバハンに向かって,野坂昭如が,
”あんたね,狂牛病なんかより怖いものがこの世の中にはいっぱいあるんだ,その怖さがわからないノーテンキな奴は,狂牛病になるより早く,もっと怖いものに殺されちまうよ”
と言っていました.
野坂が私のホームページを読んだとは思えません.彼がタバコを止めたとも思えません.私のホームページを読まなくても,タバコを吸いつづけていても,何を恐れるべきか,彼はわかっているのです.焼け跡闇市派,このキャッチコピーを覚えている人は,もうわずかになったでしょう.栄養失調,DDT,カストリに至っては,辞書でしか見つけられない言葉になりました.これらの言葉とともに生きた野坂は,私のホームページなぞ読まなくても,狂牛病パニックが何を意味するか,正しく直観できるのです.
狂牛病パニックは,現在の日本では,戦争を忘れた人々と,戦争を知らないことを自覚さえしていない人々が圧倒的多数であることを示しています.もし,そうでなかったら,日本国民は,2001/9/11夜には,前日の狂牛病第一例発見の報道などすぐに忘れて,真珠湾攻撃と神風特別攻撃隊を思い出し,鬼畜米英排撃と安保反対を叫ぶデモ隊が国会を占拠し,革命政権によってアフガニスタン支援と鬼畜米英に対する宣戦布告がなされていたでしょう.でも現実はそうなっていない.
私は,ホームページで,プリオンがどうしたこうしたのと,長々と書きました.しかし,そんなことはどうでもいいのです.”知恵としたたかさの復活を求めて”なんて上品な表現も本意ではありません.野坂の叫び,その一言で,あの長ったらしいホームページを置き換えたいのです.