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副腎白質ジストロフィー:10才男児.進行期で植物状態に近い
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側脳室の著明な拡大と広汎な白質病変.正常の信号を示す白質は右前頭葉にしか残ってい
ない
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矢状断:脳梁が極端に薄くなってほとんど見えない.テント上の病変が著明な割には小脳
脳幹部をはじめとするテント下の構造物はよく保たれている.
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無酸素脳症の画像経過:69才男性.精神分裂病.窒息.
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Subdural Collection (Subdural
hygroma):脳萎縮にともなって蜘蛛膜下腔が拡大し,そこに髄液が貯留したもの.硬膜下血腫subdural
hematomaとは異なり,外科的な意味で病的意義はない.硬膜下血腫と異なり,mass
effectを示すことはない.だから脳溝も脳回もはっきりと見える.
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脊髄炎:30歳女性.MRI
T2強調画像.多発性硬化症には進展せず,脊髄症状を繰り返すタイプ.
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後縦靱帯骨化症:Tomo,CT,
脊髄造影正面,脊髄造影側面:
四肢の痙性,膀胱直腸障害,咳により誘発される激痛があり,当初脊髄腫瘍を疑った.
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ぶどう膜炎に合併した髄膜脳炎(40歳女性):Vogk-小柳-原田病あるいはベーチェットか?髄膜に接し
た大脳半球表面と脳溝に沿ってT2の高信号が見られる.(図1,図
2)
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トルエン中毒:27歳男性.画像では,T2で内包後
脚の高信号,脳梁の菲薄化,脳室の拡大,小脳萎縮が目立った.臨床的には,痴呆,小脳性
運動失調,痙性麻痺,錐体路徴候があった.
Ikeda
M, Tsukagoshi H. Encephalopathy due to toluene sniffing, Report of a
case
with magnetic resonance imaging. Eur Neurol
1990;30:347-349.
- RPLS:Reversible Posterior
Leukoencephalopathy Syndrome
RPLSとは、後頭葉皮質下白質の可逆性病変です。比較的新しい言葉なので、正式の訳語はないと思います。病変の性質は浮腫と考えられています。基礎疾患
として知られているのは、アルコール依存、肝障害、腎不全、その他低ナトリウム血症を起こす病態、子癇、免疫抑制剤の投与と多彩ですが、循環体液量の増加
という点が共通しています。それと血管内皮細胞障害や血管透過性亢進も病態に関与している可能性があります。
脳画像では、後頭葉中心の対称性の白質病変であり、皮質は保たれているので、脳梗塞ではないことは一目見てわかります。基礎疾患は重篤なものが
多いのですが、そのコントロールさえうまくつけば、本態は浮腫ですから、その名の通り白質病変は軽快します。図の
上段は発症時,下段はそれから2ヵ月後です.なぜ後頭葉の白質がやられやすいのかはわかっていません
RPLSという言葉は、96年にHincheyら(1)が提唱したのですが、この病態自体はそれよりも前から知られており、私も、94年に、劇
症B型肝炎に急性腎不全と低ナトリウム血症に続発した本症を経験して報告しました(2)。(緊急透析で、低ナトリウム血症の補正が結果的に急速になってし
まい、橋中心性髄鞘崩壊central
pontine
myelinolysisと橋外髄鞘崩壊が起こったのですが、この橋外病変が、RPLSだったのです。この人の白質病変は非常に高度で、結局皮質盲が残り
ました)
1.Hinchey J, Chaves C, Appignani B, Breen J, Pao L, Wang A, Pessin
MS,
Lamy C, Mas JL, Caplan LR. A reversible posterior leukoencephalopathy
syndrome.
N Engl J Med. 1996 Feb 22;334(8):494-500.
2.Ikeda
M, Takahashi K, Matsunaga T, Tsukagoshi H. Reversible white matter
lesions
in a patient with fulminant hepatitis and acute renal failure. Intern
Med
1994;33:360-362.
3.池田正行.シクロスポリンによるreversible posterior leukoencephalopathy.臨床神経
2000;40:412
4.池田正行.内科疾患とReversible posterior
leukoencephalopathy.神経内科 2005