業平を気取らなくたって

"つひに行く道"ではなくたって,"昨日今日とはおもはざりしを"ってことは山ほどある.明日の仕事の予定を組むのにさえ汲々としているのに,キャリアプランなんて考えられるわけがない.

想定の範囲を狭く取ってしまって,相対的に想定外のことが増えて,実際にイベントが起こった時にうろたえたり,浮ついたりする自分を想像しただけでも吐気がする.だから,「どう転んでもそれなりに対応できるようにしておく自分」で,イメージトレーニングしている.

霞ヶ関を出る時も,「古巣の知的障害の現場に戻って5年はじっくりやる自分」だけじゃなくて,「吉野家の安部社長から顧問の依頼」「埼玉医大からの病理解剖当番の依頼」「武部勤からの出馬の依頼」「東京地方裁判所から医療事故裁判についての外部委員の依頼」といった荒唐無稽なオファーが自分の頭の中に入っている.これだけ極端なものを揃えておけば,現実に来るものはそれ未満のものばかりだから,何があっても,それがたとえ国立大学医学部教授のオファーであっても,対応できることになる.生命保険を組む時だって,自分の死亡を想定する.それと同じ手法だ.

「晴天の霹靂」を本気で言っているとしたら,自分は馬鹿だって宣伝しているようなもんだ.

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