リ リーフエース登場

おどおどしたところは全く見えない。かといって、自信満々という風にも見えない。不退転の決意という言葉とは一切無縁で、淡々と外来診療を行い、当直勤務 も、早く地域住民を把握するための手段として受け止めているようだ。リリーフエースの風格とはかくあるべし。せたな町で素晴らしい作品を作り、湯沢でゆっ くり構想 を練った村上智彦先生が、夕張でどういう演出を見せてくれるのか、今後の展開から目が離せない。

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破たん・夕張再建:村上医師、市立総合病院に着任「年末年始の当直勤務も」 /北海道
12月26日12時0分配信 毎日新聞

 約40億円の負債を抱えて公設民営化による再建を目指している夕張市立総合病院に、前せたな町立瀬棚国保医科診療所長で、新潟県湯沢町保健センター勤務 の村上智彦医師(45)が25日、応援医師として着任、早速内科医として診療を始めた。
 村上医師は宗谷管内枝幸町(旧歌登町)出身。今年3月まで勤務していた瀬棚国保医科診療所長として予防医療活動に力を入れ、老人医療費を大幅に減らした 実績で全国に知られる。
 村上医師はこの日午前中だけで30人余りの患者を診察。「(患者さんから)テレビや新聞で見ました。がんばって下さいと激励された。使ったことがある機 械が多く、すぐに慣れそう。年末年始の当直勤務にも就きたい」と意欲をみせた。
 村上医師は今月上旬、道に医療法人設立の申請書を提出しており、認可されれば病床数を19床に減らして同病院を民間の診療所として再出発したい考え。競
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下記は2007 年1月14日の東京新聞の特報、いい取材してる。

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 「十数年後には、日本では高齢化率四割の自治体が三割を超えるという試算がある。だから、夕張は将来の日本の縮図なんですよ。ここで新しい医療の仕組み をつくるのは、本当に最先端の取り組みだと思う。確かに給料は安いかもしれないが、いい結果が出れば、将来すごく役立つノウハウになる。そう考えたら、こ んなに楽しいことはない。わくわくしています」

 「総合病院は、人口十万人に一つで採算が取れるというのが常識です。夕張は人口一万四千人。その時点で身の丈に合っていない。今後も人口が増える材料は ない。いずれは五、六千人になるでしょう。それを見越して、身の丈に合った診療所にしようと言っているんです」

 関係者によれば、再建を指導する総務省には二十床以上の「病院」を維持すべきだという意見もあるという。診療所になれば地方交付税交付金はほとんど入ら ないのに対し、病院なら年三億円規模の交付金を五年間にわたって受け取れるからだ。が、村上氏は、この考え方を切って捨てる。

 「それでは、さらに税金を無駄遣いするということです。赤字でも交付金が入るからいいと営業努力をしてこなかった。それが破たんの原因なんだから、一度 断ち切るべきです。診療所は訪問診療などの診療報酬も高いし、ぼくは東京から経営のプロも招く。採算は取れます」

「住民が大きい病院で最先端の医療を受ければ治るという妄想を持っていてはダメ。高度な専門医の治療が必要な患者は一、二割。病気の八、九割は生活習慣病 です。生活習慣を改善して予防するしかない」

「高齢者が元気にいつまでも働いている。定年なんてなくしちゃう。田舎は会社員が少なく一次産業が多いから、そういう社会をつくりやすいはず。医療従事者 は健康へのアドバイスをしながら、いざという時の備えとしている。それでいて暇にしているというのが目標なんです」

 「ぼくは赤ひげじゃないし、赤ひげ主義には反対です。一人の医師の献身に頼る医療は、赤ひげが死んだら成り立たなくなる。ぼくは地域医療の基礎をつくっ たら、後に続く若い医師につなげていく。そういうシステムをつくりたい」
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実際の紙面には村上先生の写真が載っているのだが、ウェブ上の記事にはない。憧れの村上先生の写真を是非見たいという人はこちら。これも、村上先生のお人 柄がよくわかる、面白い対談になっている。

「手作りの地 域医療」 月刊地域医学 2006;6(9): 758-767

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