ハンガリーとのギャップ
-この国の特異な医学教育「風土」について-

やっぱりそうか・・・

徳田氏も驚いた! ハンガリー医学部卒研修医の実力 

私 が唇を噛んだのは,その猛烈な勉強量ではない.英語のプレゼン能力でもない.日本の医学生だって猛烈に勉強している人はたくさんいるし,ハンガリーで勉強 したのだから英語ができるのは当たり前だ.そもそも,卒業できるのが3割ということは,医者としてやっていけそうもない人をたくさん入学させてお金を取っ て,7割の人には,あなたは医者にはなれません.お金は返しません,はいさようならというシステムと,卒業試験も国家試験も合格率9割以上というシステム と比較するのが無理というものだ.

予てから,この国自体の医療風土の「ある部分」が脆弱になり,それが卒前だけでなく,卒後医学教育にも 負の影響を及ぼしているのではないか?との懸念を抱いていた.ハンガリー医学部卒研修医の実力は,その懸念が的中したことを意味しているのではないか?右 の図から単純に計算するとハンガリーは日本の16倍の教育環境を備えていることになる.それも国全体でだ.

このギャップが大きく影響して いるとすると,教育のシステムや内容をいじったところで,どうにもならない.この国の風土とそれにすでに影響されてしまった人間,それは医師だけでなく, 「医学の発達って凄いっていうけど,あたしには関係ないね.だって今まで病気なんかしたことがないんだから」と自慢する市民や,3年前の人間ドックのCT で肺がんを見落としたと訴える患者様の頭の中身に関わることだからだ.

たしかに非常にやっかいだが,非常にやっかいなことには,特定の人間にとっては素敵な部分もある.それが「免責」である.こういう難しいことは今日明日に結論が出るわけでもない.老い先短い私にはそんな難しいことにかかわっている余裕はない.こちとら,やぶ医者呼ばわりされて自分が仕事にあぶれるかもしれないってのに,どこぞのジジイみたいに「この国を憂う」なんて能天気なこと,言っている暇なんかねえんだよ.

それに,あたしの勤め先は,センメルワイス大学やセゲド大学と同じ学習環境にあるからね.

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