公共事業最後の砦

必要があって,先進諸国のX線CTの人口100万人あたりの保有台数を 調べてグラフにしました.お時間のある方は,こちらをご覧下さい. 元データはOECD Health Data 2000です.

グラフの元になった数字は下記です.予想通り日本は群を抜いています.韓国の3.5倍,UKの10倍以上です.
 

Canada         8.10
France            9.40
Germany        16.40
Italy              12.90
Japan           69.70
Korea           20.10
Netherlands     10.00
New Zealand     7.50
Sweden          15.00
Switzerland      18.30
U.K.                  6.00
USA                  13.90
 

このグラフ(表)はいろいろなことを考えさせてくれます.

そもそもなぜこのような投資が可能だったのか?

患者さんはこの投資,設備に見合う恩恵を受けているだろうか?患者が受けていない としたら,恩恵を受けているのは誰なのか?

日本の医者(特に放射線科医,CTを頻用する神経内科医,脳神経外科医)はこの投資 に見合う業績をを上げているだろうか?

この投資のお金は誰が払っているのか?

何もCTのような設備ばかりでなく,他の検査や薬剤でも,日本は世界中でも突出した 投資を行なっているのではないか?(狭義の医療費というばかりではなく,そもそ も,どれも似たようなカルシウム拮抗薬やACE inhibitorが日本全体で何十,一つの病 院でも5種類以上がなぜ必要なのか?)

日本のCTの台数を諸外国並にすれば誰が困って誰が喜ぶのだろうか?患者,医者,支 払い基金,検査機器の会社?

この投資の分を削って医療サービスの人件費に振り向けたらどうなのだろうか?それ は失業問題の一策になるだろうか?

それとも検査機器の会社が潰れて失業者が増加するのだろうか?

日本人の神経病患者が,このCTの台数の分だけ余計に幸せになっているとはとても思 えない.したがってこのような投資は,国民の健康を維持するためではなく,道路や ダムと同じような公共事業の意味合いが大きいのではないか?

検査機器会社や製薬会社はゼネコンと同じではないのか?つまり国民の健康を維持す るというよりは,雇用と厚労省の権益を確保するためにあるのではないか.だからこ そ,私にとっては存在意義が不明なMRなる人々が,病院の廊下に立ち尽くし,やるこ とといったら医者が通る度に頭を下げるだけの屈辱的な毎日を送り,国交省がゼネコ ンを見放す時代になっても厚労省は製薬会社を護送船団で必死で守ろうとするのでは ないか?

医療サービスは公共事業最後の砦というわけか.道路やダムと違って,国民の健康を 守るという錦の御旗は誰にも絶対に降ろせないところがミソではないのか?

グラフ一つとってもわからないことばかりです.

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