教養課程復活

ほとんどの大学医学部から教養課程が消えて久しい。教養課程で教えるliberal artsの大きな特徴の一つに、「正解が見つからない問題を取り扱う」点がある。

「今の若い人は、答えが得られない不安感に耐えられない」とおじさん達がよく非難するが、ネットで検索すれば、答えが得られるような幻覚妄想状態が世界中に蔓延している現実を考えれば、それも当然だ。

おじさん達も、その真っただ中にいるのに、答えが得られない不安感に耐えられるのは、単にネットリテラシーが低いか、brain stormingができていないだけだろう。

social skillの低下も、一つの答えを得るような教育が全盛期となっていることと無関係ではない。social skill training SSTは一つの答えを得るような教育ではないから。

今の医学部でも(特にほとんどの学校で教養課程をなくしてしまってから)、もっぱら一つだけの正解を求める作業を延々とやっている。臨床現場は、正解がない問題で満ち溢れているのに・・・

これだけ、いろいろな道具が発達して、正解が得られる問題かそうでないかはすぐわかるようになったのだから、実は、今こそ、大学でこそ、liberal artsを学ぶ条件が整ったと言えよう。

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