仙台地裁再審請求棄却決定に対する抗告審意見書序文
北陵クリニック事件の本質は警察・検察と裁判所による医療事故の隠蔽 と神経難病患者の 人権蹂躙です

はじめに:医師免許を持たない裁判官らによる誤診と医学的事実の誤認の数々
A子さんがベクロニウム中毒であると主張する医師は、もはやこの世には存在しま せん。綾子さんベクロニウム中毒であると主張しているのは、もはや仙台地方裁判所の河村俊哉,柴田雅司,小暮紀幸の3人の裁判官ら (以下仙台地裁の裁判官ら)だけです。これは何人も反論し得ない厳然たる事実です。
私は高 松少年鑑別所・高松刑務所併任に勤務する矯正医官・法務技官です。(ミトコンドリア病・脳炎・パーキンソン病・脳卒中といった脳神経疾患 を専門としますが、米国内科学会会員で日本内科学会総合内科専門医の資格も持ち、総合診療医としても診療・教育に携わっています。矯正医 官となる前は長崎大学医学部教授を務めていました。このような私の診療・教育活動が評価された結果、ここ4年間、連続してNHKの「総合診療医ドクター G」にレギュラー出演し、一般の視聴者や一般の内科医からだけでなく、専門医からも高い評価を受けていま す。 これまで私は医師として恥ずかしくない仕事をして患者さんの幸せにささやかな貢 献をしてきたつもりです。今は法務技官・矯正医官として被収容者の健康に尽くしています。その様子はNHKでも放映され,一般の視聴者からも法務省内でも高い評価を受けました.そして専 門医としてA子さんが国の指定した難病であるミトコンドリア病であることを突き止めました.その私の診断を、仙台地裁の裁判官らは全 面的に否定しました。国民の幸福に貢献する義務があるはずの 裁判官が,一人の神経難病患者を救うどころか,難病の見逃しという医療事故を隠蔽し,患者を不幸のどん底に突き落としているのです。

将棋の ルールを知らない人は、プロ棋士を相手に勝負を挑むことはできません。それと全く同様に、医師免許どころか、医学教育を一度も受けたこと のない仙台地裁の裁判官らには、専門医である私のミトコンドリア病という診断を斟酌する資格も能力もありません。そのこ とを地裁決定書は 以下のように明確に示しています。

第一に、彼らは、基礎的な医学知識さえも持っていませんでし た。地裁決定書には医学論文や医学教科書はおろか、家庭医学書さえ引用されていないのが、何よりの証拠です。仙台地裁の裁判官ら は医学の勉強を完全にサボタージュして再審請求を棄却したのです。

第二に、彼らは、A子さんが急変して以 来、ここ15年近くの間に起こった医学の進歩も学ぼうともしませんでした。彼らは医学の進歩どころか、肝心のミトコンドリ ア病の認定基準が改訂されたことにも気づかなかったのです。

第三に、私の意見書に対して反論する医師がもはや一人もいなくなった にもかかわらず、あたかも橋本氏や後藤雄一氏(以下後藤氏)が私の意見書に対して反論した事実があるかのように装い、医学的根拠 の全くない揣摩憶測を決定書に書き連ね、誤診の責任を橋本氏や後藤氏に転嫁しました。誤診の一義的責任は全て仙台地裁の裁判官ら にあります。結局診断はミトコンドリア病以外にはないと結論している後藤氏(後述)はもちろん、今は自分の証言を訂正することも できない橋本氏にも誤診の責任を問うことはできないのです。以上の三重の誤りにより、仙台地裁の裁判官らは数々の医学的事実を誤認 しました。彼らは本来の職務である事実認定さえもできなかったのです。

幾ばく かでも社会常識を持っている成人ならば、将棋のルールも知らずして、プロの棋士に戦いを挑むなどという愚かな真似は決してしません。しか し、台地裁の裁判官らは、家庭医学書の知識さえ持たずに、神経内科専 門医によるミトコンドリア病の診断を否定し、A 子さんがベクロ ニウ ム中毒であると誤診し,医療事故を見逃したたばかりでなく、A子さんがミトコンドリア病と認定され適切な治療を受ける権利も蹂躙したのです。

私はこ の意見書で、脳解剖学からミトコンドリア病の認定基準・病態、最新の臨床推論に至るまで、仙台地裁の裁判官らに懇切丁寧に説明しなければ なりませんでした。それというのも、仙台地裁の裁判官らが、ミトコンドリア病の何たるかを勉強するどころか、家庭医学書さえ開かずに、事 実誤認を重ねた挙げ句に、A子さんがベクロニウム中毒であると誤診したからです。国が 指定した難病を負った患者が、解剖学を習った こともない裁判官らによる、無責任極まりないお医者さんごっこの犠牲となっている。それが再審請求を棄却した地裁決定の本質で す。

医学の素人である裁判官らによる初歩的な事実誤認の数々
仙台地裁の裁判官らも、体の具合が悪くなって、医師の診療を受けたことが一度ならずあるでしょう。その時、彼らは医師の診断を否定して、「自分の 体のことは自分が一番よくわかっているから、自分の診断を受け入れろ」と医師に向かって言ったのでしょうか?そんなことはないと思いますが、どう でしょうか?
にもかかわらず、彼らは会ったこともないA子さんの病気について、原資料である診療録を読解する能力もないのに、診療録を読み込み英文の症例報告 にまでした専門医の診断を全面的に否定しようとしたのです。それが、仙台地方裁判 所の判断として、棄却決定という名の公文書として国民の前に公表 されているのです。
仙台地裁の裁判官らは神経内科専門医である私の診断を全面的に否定し、A子さんがベクロニウム中毒であると誤診しました。専門医の診断を全面的に 否定するからには、再審請求から棄却決定までの2年の間、さぞかし専門の医学書を大量に読み込み、専門医にも負けないぐらいの豊富な知識を持って いるのだろうと思いきや、全く反対に、彼らは専門知識どころか、家庭医学書にも書いてあるような初歩的な医学知識さえ持ち合わせていなかったこと が、以下のように数々の医学的事実の誤認として明らかになっています。


北陵クリニック事件解説スライド

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