関東軍の末路

昔も今も関東軍」を書いたのは,もう,4年も前のことである.日医の凋落ぶりはその頃よりさらに悪化している.

これまでならば必ず相談があったはずの案件なのに、今回は相談を受けなかったら、あなたはどう思うだろうか?普通は、自分の影響力が低下したと思って、まず、その原因を探ろうとする。時に、「俺のところに話がないのはけしからん」と凄む輩がいるが、そんなことをしても、かつては強かった自分の影響力の危機的な低下に気付いていない証拠にしかならない。

それに比べて、「関心がない」という反応は面白い。いまさら凄んでも誰も怖がってくれないと悟っているからか?無力感がそこまで浸透してしまったのか?

さもありなん。大阪府医師会選挙みたいな馬鹿げた争いをしている場合ではないはずだ。ふだん、彼らが医療事故裁判で散々非難している裁判官の判断を仰ぐことの滑稽さに気付けない悲しさ。たかが医師会長の選挙で裁判なんて、医者の仕事がそっちのけになるじゃねえか。医者の仕事なんかどうでもいいと思っている何よりの証拠になっちまう。こんなことやってるから、厚生労働大臣からも、メディアの人間達からも足元を見られるんだ。そんなことにも気づけない組織に未来はない。

桝添さんは、とても親切だ。なぜなら日医を叱咤激励してくれているからだ。まだ、日医が立ち直る可能性を認めているわけだ。普通だったら、「相談を受けていないから関心がない」なんて言ってもらったら、これ幸いとばかりに、今後も日医は無視するに限るとほくそ笑むだけだ。

日教組、特定郵便局長組合、日本医師会。いずれも影響力を失った組織の末路である。それに最後に気付くのが(あるいは最後まで気付かないのが)、組織の中枢にいる連中である。

だから、組織の中枢には近づかないのが、幸せになるために一番確実な方法なんだが、どうしても何らかの形で関わらなくてはならない時は、「組織はあくまで利用するところ。間違っても貢献したり、忠誠心を発揮したりしないこと」と、わかりやすいお題目を唱え続けること。
 

                          2008年7月1日発行
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 Medical Research Information Center (MRIC) メルマガ 臨時 vol 86

舛添要一・厚生労働大臣 インタビュー ウソをつく官僚は、クビを切るしかない より抜粋

――日本医師会が、相談を受けてないからビジョンには関心がないと会見で言っ
たらしいんですが。

 聴かれてないから知らんじゃなくて、自分たちの職業にかかわる重大な決定が
担当大臣によって行われた時に関心を持たないというのは犯罪的ですよ。

 だから選挙に代表出したって落ちるんで、反省しないといけないですよ。あれ
だけの組織であれだけの金を使って。歯医者は通せましたよ、薬局は通せません
でしたね。私が160万票取って初めて当選した時に、武見君は27万票しか取っ
てない。親父さんの時には100万票なんて豪語していたのに。武見君が悪いわ
けじゃなくて、一般論で言ってるんですけど。やっぱり病院の待合室に写真を1
年間貼り続けて、なんで俺より票が少ないんだってことですよ。

 つまりね、もう組織でもって云々する時代じゃない。組織があるのはいいです。
しかし、それが国民に支持されない組織だったら1人の代表も選挙に通せないと
見事に示されたわけです。医師不足も含めて国民の関心あること、それが書いて
あるビジョンですから、それに無関心だからといって日医の価値が上がるわけで
はないので、そこは謙虚さが必要だと思いますね。