かけ声倒れのデータ共有方針 2009年09月24日 |
PLoSジャーナルに論文を発表する著者間のデータ共有について実態調査したところ、データ共有は、明確なジャーナルの方針に反し、かけ声倒れに終わっていることが分かった。
調査を実施したのはニューヨークのメモリアル・スローン・ケタリング癌センターCaroline J. Savage 氏とAndrew J. Vickers氏。
[Abstract概略]
●背景
多くのジャーナルは、公的リポジトリへのデポジットや要請に応じた無償提供により他の研究者とのデータ共有を求めているが、実証テストをしたことが無かったので、データ共有方針が明確な2誌の内の一誌に論文を発表した著者にデータ提供を要請し、方針がどの程度遵守されているかを調べた。
●調査方法と結果
PLoS MedicineかPLoS Clinical Trialsに論文を発表した10名の研究者にデータ提供を要請した。回答は全て丁寧に書かれていた。提供を断られた場合、ジャーナルのデータ共有指針を指摘した。当初の要請への回答がない場合、2度目の要請を行った。10名中3名は無回答で、4名はデータ共有を断り、2名のメールアドレスは無効で、1名は詳細を訊ねてきた。PloSの明確なデータ共有要件をリマインドしても共有を拒否した4名の態度は変わらなかった。応じてくれたのは1名だけだった。
●結論
Rawデータセットをもらえたのは10名中1名だけだった。これは、ジャーナルのデータ共有方針があっても著者はindependentな研究者に対してデータを提供していないことを意味する。