お払い箱を夢見て

”大丈夫,あなたはそんなに偉くない” といっても、納得しない人も多いかもしれない。誰しも自分が偉いと思いたい。では、誇り高き人向けにお話しよう。

あなたに強固な自尊心があるのなら、自分が失われることは,大切な自分の家族,友人,仲間にとって、最大の危機だと思うだろう。だったら、その最大の危機に備えるのが、大切な自分の仲間に対する配慮であり,そういう配慮をすれば,ますますあなたは尊敬の眼差しで見られるだろう.

自分が失われること.それは死かも知れないし、悪態をついての辞職かもしれないし,解雇かもしれないし,逮捕かもしれないし,病気や事故による身体障害ゆえの離脱かもしれない。いずれにせよ,自尊心の有無に関わりなく,誰にでも降りかかってくる運命だ.

自分がいなくてはやっていけないと思い込み,どんどん仕事を引き受け,あの人がいなくなったらどうしようという懸念を放置しておくのは,利己主義ゆえに自分への依存症を助長させているだけに過ぎない.

自分がいなかったらどうなると心配するのなら、自分がいつお払い箱になってもいいようにと、周到に準備をしておくのが、自己の尊厳を大切にする人間に相応しい危機管理のやり方だ。自分のバックアップが完璧に出来上がるだけで満足せず、そのバックアップがさらに成長し,自分を踏み越えていくのを見届けられる人だけが,指導者,教育者と呼ばれ,つひにはお払い箱の名誉を受けるに相応しい.

今からでも遅くはない.自分がお払い箱になるように,準備に取り掛かるがよかろう.もしあなたに自尊心というものがあるのなら.

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