(英国在住の方々に,感染症,公衆衛生に関する現地特有の問題を理解してもらうために開設しました.あくまで私の個人的な情報提供なので,私個人の バイアスが入っていますし,必ずしも最新の情報ではありません.詳細に関してはリンクをはじめとする元の資料にあたってください)
O157
肉屋での交差感染を原因とする病原性大腸菌O157感染:ライセンシングは肉屋の衛生状態を改善するか?
Current
issue E.coli O157(ヒト) "Communicable Disease and Public Health
(CDPH) Vol.6 No.4 2003年12月号
1997年に死者17名と512名の病気の原因となったE.coli
O157感染の英国・スコットランド中部におけるアウトブレイクは肉屋の生肉からお惣菜への交差汚染が原因であった。その結果,英国の法律が改定され,肉
屋のライセンシングが2000年に発効となった。しかしその後も,例えば,2001年11月23日-12月7日の間に,Lancashire
州Ecclestonにおける肉屋の調理台における交差汚染が原因のE.coli
O157 PT21/28感染の大アウトブレイクが起こっている.確定症例は30例であった。
C型肝炎
スコットランドにおけるC型肝炎
'HPS
Weekly Report Vol.41, No.4 2007年1月31日号 SURVEILLANCE REPORT
−スコットランドにおけるC型肝炎抗体陽性が知られている症例のサーベイランス:2006年9月30日までの結果;
2006年7月〜9月に,C型肝炎抗体陽性の新規症例396例が診断された(第3四半期について,2004年は390例,2005年は340例)。
2006年第3四半期に,血液(凝固)因子(スコットランドにおいて血液(凝固)因子を介してC型肝炎に感染した人は,血液媒介感染を根絶するための加熱
処理が導入された1980年代中盤よりも前に感染したと考えられる)の投与に関連した以前に診断されていない症例2例が報告された(両症例について,英国
外での暴露が示唆された)。
2006年9月30日時点で,C型肝炎抗体陽性症例は計21678例で,全症例の2%(354例)が血液(凝固)因子の投与に関連していたこと,2006
年6月30日現在,症例の12%(2578例)は死亡したことが知られていること,2006年9月30日現在スコットランドの人口約270人に1人がC型
肝炎抗体陽性であると診断されていることなどについて記載されている。
結核
イングランド北西部の都心部における結核発生の長期的傾向
Commun
Dis Public Health 2003;6(4):311-6
イングランド北西部の都心部における結核発生の長期的傾向(1918-2001年):地域結核管理プログラムに対する影響
近年,結核の強化サーベイランスが国の疫学的動向を監視する為にイングランドとウェールズで行われている。1918?2001年までの結核の長期的疫学動
向を分析している。
スコットランドにおける結核感染の強化サーベイランス
"Weekly
Report Vol.38, No.10 2004年3月9日号
スコットランドにおける結核感染の強化サーベイランス(ESMI):2002年度の概要
ESMIによる結核情報の通年の分析は診断後1年以上後に掲載される。肺結核と肺以外の結核についての長期動向と地理的変動,人口統計データ,リスクファ
クター,感染源,臨床情報,治療方法等が分析されている。2002年の結核発生率(7.88人/100,000人)は結核撲滅の国際努力におけるWHO目
標(10人/100,000人)内であった。"
HIV/AIDS
HIV/AIDSのUK内分布
映画Trainspottingの影響かどうかわからないが,スコットランドではHIV感染/AIDSが多いと誤解している人が多いのではないだろうか?
しかし,UKの中では実はHIV感染が少ない地域だ.
英CDR Communicable Disease Report
Weekly2003年10月23日号には,UK各地域別のHIV感染者数が掲載されている.
http://www.hpa.org.uk/cdr/PDFfiles/2003/cdr4303.pdf
それを見ると,91年以降、ほぼ一貫してスコットランドのHIV感染者数はイングランドの10%に遠く及ばない。とくに99年以降は5%未満の状態が続い
ている。イングランドの人口が4900万,スコットランドの人口が510万でであることを考えると,HIV/AIDSの頻度は明らかに少ないと言えるだろ
う.