あるかなきかのここちす

自分達にとって「やっかいなもの」「よくわからないもの」に適当なラベルをつけて処理する(ただ単にゴミ箱行きにするだけなのだが)技術につい ては、お医者様達は天才的な能力を発揮する。
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厚労省合同会議  HPVワクチン、疼痛は「針刺しきっかけ」で一致 (日刊薬業 2014年1月20日 )
厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会と薬事・食品衛生審議会医薬品等安全対策部会安全対策調査会の合同会議(座長=桃井眞里 子・国際医療福祉大副学長)は20日、子宮頸がん予防ワクチン(HPVワクチン)「サーバリックス」(グラクソ・スミスクライン)と「ガーダシ ル」(MSD)の副反応について引き続き審議した。
 問題となっている慢性疼痛などの原因について、委員らは「針を刺した痛みなどがきっかけで心身の反応が惹起され、それが慢性化した」との考え方 を支持したが、積極的接種勧奨の再開の可否についての結論は次回以降の会合に持ち越した。
 同日は、これまでの参考人の見解を桃井座長が取りまとめ、委員らの議論を促した。合同会議では、▽海外の大規模疫学調査で、両ワクチンの接種が 関節リウマチなどを誘発した可能性は否定された▽症状が起こる病態は、神経学的疾患では説明できない▽薬物(アジュバントのアルミニウムなど)中 毒や免疫反応でも説明できない▽免疫学的疾患を念頭に使用されたステロイド薬などは無効だった▽接種時の針を刺す痛みなどをきっかけとして心身の 反応が起こり、その症状が慢性化した可能性がある▽一方で、慢性化する原因は接種以外のさまざまな要因が関与している―などの認識で一致した。
●積極勧奨の再開可否、次回以降に結論
 会議では次回までにこれまでの議論を盛り込んだ報告書案を取りまとめるとしており、その報告書を基に安全性の評価を行い、積極的接種の勧奨を再 開するかどうかの結論を出す予定だ。
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「診断」は、医師、患者、彼らが生きる時代、彼らが生きる地域、そして彼らが生きる社会、それらの合意形成の産物ゆえに、それらの要素が変化する につれて、診断も変化する。

「実在」という言葉に、時間と空間を超越した頑健性を期待するのならば、感染症も前立腺癌も 実在しない。ましてやワクチンの副反応など実在するわけがない。

筋萎縮性側索硬化症の診断・疾患概念を確立したシャルコーの時代は、ヒステリーと多発性硬化症の鑑別は、神経内科医の腕の見せ所だった。シャル コー自身の著作の多くもヒステリーに関するものである。

それから100年以上経った現在でも「ヒステリー」としか言いようのない病態にはしばしばお目にかかるが、22世紀に入り、例の「医学の進歩」と やらによって、シナプス間のグルタミン酸放出が画像化できるようになれば、我々が今「ヒステリー」と呼んでいる病態の三分の一は「扁桃体における シナプス前端末からの一時的な大量のグルタミン酸放出である(しかしその原因は、これも例によって不明!)」という画期的な成果を得た研究者が、 ノーベル医学生理学賞を授与されるかもしれない。いつの時代になっても、世に医学の進歩の種は尽きまじ。もしそれを進歩と呼ぶほど人類が医学に対 して寛容なままでいられるのならば。

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