現代語訳か原文か
ーハリソンゲーム化計画ー

徒然草は好きな古典の一つだが,高校時代,古文の授業で習った時は,それほど魅力を感じなかった.面白いと思うようになったのは,大学を卒業して,働き始めてからだ.もちろん,社会に出て,兼好が語っている様々な事例に実際に出会った経験が興味の源泉になってはいるのだが,それにしても,現代語訳との対訳になっている文庫本を買って,現代語訳の方をもっぱら読んでいた.

そこで,現代語訳で面白いと思った段を,原文ではどういう表現になっているのかとを興味を持って開くという作業が繰り返されるようになり,今度は原文の韻律や表現へ興味が移って,原文を繰り返し読むようになった.

田中和豊先生が、漫画を読む時の集中力、速読力から、本格的な医学書を漫画化する可能性について言及している。田中先生ご自身はあまり乗り気ではないようだが,私は面白い試みだと思っている.

初めから薫り高い原文に接した方が,本来の味わいがわかるとの主張もあるだろう.しかし,いきなり原文では全く興味が湧かずに学習も進まない私のような人間もたくさんいる.個性を尊重するとか,人それぞれとか言うのなら,私のような人間にも選択肢を与えて貰いたい.田中先生も私も出演している番組・DVDは,まさにそのようなコンセプトで作られた作品集である.

入口は漫画でもいい.いや,入口を漫画化して,より親しみやすくすることは,その領域の知恵をより多くの人に伝える有効な手段になる.漫画を読んだだけで,”もういいや”と思う人は出口に向かってもらって構わない.しかし,漫画がなければはじめから近寄らなかった人の中から,漫画だけでは飽きたらず,原作を読みたいという人が必ず出てくる.そのためにも,漫画化は必要である.

しかし、漫画化では、いささか古い。今風にするなら、ゲーム化だろう。ハリソンゲーム化計画には、漫画化のように、医学の知恵をより普遍化した形で広める、学習効率を高めるといった効能の他に、ゲーム化の過程で診断、治療のアルゴリズムを明らかにできるという利点がある。

私は,今後も,その方向で,活動していくが,皆さんは,私の活動を待つ必要はない.自分が受ける教育を,自分の頭の中で漫画化・ゲーム化して,後進の教育に役立てる活動は,今日からでもできるのだから.

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