”英国陸軍の将兵はどんな敵とでも勇敢に戦うが,陸軍省とだけは別だ”
ジョージ・バーナード・ショーによれば,英国陸軍省とわが大本営の組織の本質に大きな違いはないようだ.しかし,その組織に対する将兵の態度,行動はどうだろうか.
以下は,大東亜戦争の敗北の原因を分析した文書を巡っての職場のおしゃべりから:
> 4ページを二言で要約すると、一つ目は目的合理性の欠如。
> さっさと問題を解決することが目的なのか、仕事しているつもりになってオレっ
> て働いてるな という気分になるのが目的なのか、の違いといいますか。
この、”オレって働いてるな?という気分”が怖いんですね。その気分が組織に所属して仕事をする”喜び”に化ける。そうなると、”お国のため”,”愛国心”といったスローガンをひたすら実行していることになって, ”国”って何? という、肝心の素朴な疑問が決して湧いてこない。これは大東亜戦争中ばかりでなく、政治、教育の世界に限らず、今も我々の周囲に跳梁跋扈しています。
以前、NHKの番組で,百貨店の”そごう”の倒産に関する特集番組を見たことがあります。その番組の中で、店じまいのシャッターが下りるときに、泣き崩れていた中堅社員がいましたが、ああいいうのもそう。唖然としました。
彼は、決して、潰れてしまうような会社に自分が留まった不明を恥じて泣いているのではなく、忠誠を尽くした組織が無くなるのが悲しかったわけですが、視聴者の大多数は、彼に同情的だったでしょう。私のように,彼の泣く姿を見て、唖然とした次の瞬間、ゲタゲタ笑ったのは、一桁パーセント未満。(その証拠に私の本が全然売れない)。
そういう意味では、英国陸軍の将兵は日本兵よりも健全なわけです。この傾向は英国人全体にも当てはまるため、英国の役所は日本に比べて全く機能していません。鉄道の列車運行も全く同じ日英差があります。
このことは、組織の機能のアウトカムと個人の合理的判断が平行せず、むしろ相反する可能性を示しています。ナチのユダヤ人殺害の効率性も同様でしょう.ああ、それから日本の臨床現場もね。私は、前の職場も、その前の職場も、”インパール作戦”と公言して憚りませんでしたから。
えっ?ここ、いや、それよりましですよ。前線で野垂れ死には嫌だから本土の大本営に行くって、内外に宣言して来て,実際にこんな有意義なチャットができるんですからね.