わかっているならやめなさい

風邪に抗生物質.わかっているのならやめなさい.経口の広範囲抗生物質は消化性潰瘍剤,カルシウム拮抗薬と並んで薬剤処方の御三家だが,こういう安易な処方が,院内ばかりでなく市中でもペニシリン耐性肺炎球菌のような質の悪い菌を生む温床となる.医者ばかりでなく,患者側も風邪で抗生物質を要求するような安易な態度を改めなくてはならない.

β−ラクタム薬の少量・長期間経口投与はPRSPの咽頭保有を促進する−近年、ペニシリン耐性肺炎球菌(PRSP)の増加が世界的に問題となっている。経口β−ラクタム薬の投与が咽頭におけるPRSPの保有率に影響するか否かを、フランスで無作為に抽出した20の学校における3〜6歳の 941名の児童について調査した。その結果、経口β−ラクタム薬の少量および長期投与が、児童の咽頭におけるPRSPの保有率の増大に有意に影響することが示唆された。(D. Guillemot, et al., JAMA 279:365-370,1998)

Gonzales R. Steiner JF. Sande MA. ANTIBIOTIC PRESCRIBING FOR ADULTS WITH COLDS, UPPER RESPIRATORY TRACT INFECTIONS, AND BRONCHITIS BY AMBULATORY CARE PHYSICIANS. Jama: Journal of the American Medical Association. 278(11):901-904, 1997Sep 17. Overuse of antibiotics is widespread across geographical areas, medical specialties,and payment sources. Therefore, effective strategies for changing prescribing behavior for these conditions will need to be broad based.

日本呼吸器学会がまとめた診療指針「成人気道感染症診療の基本的考え方」:風邪は薬で治さないも参考に.
 

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