ドクターG収録で学んだこと

先日、この夏に地上波に進出する予定のドクターGの収録がありました。企画立案から収録終了まで、新たに学んだことがたくさんありました。

スタッフの方々の関係構築能力・コミュニケーション能力の高さ:
肩書き・職業・性別・年齢といった属性にこだわらないフラットな関係を構築したいとこちらが願っていれば、出会いの当初から、その要望に応えてくれました。初対面から、まるで大学同級生のように話せたのです。このようなフラットな関係は、限られた時間の中での効率的な企画立案遂行に必須でした。もちろん、これまでにドクターGに登場した先生方のおかげもあるでしょうが、私をよく知っている方でも、大学同級生のように話せるわけではありません。スタッフの方々の関係構築能力・コミュニケーション能力の高さには本当に驚きました。

芸能人の仕事の厳しさ:
司会者・ゲストの方々ともに、楽屋から登場してきて収録が終わって帰るまで、カメラが回っていようがいまいが、見せる顔を全く変えません。裏表がある人と思われた瞬間に信用を失い、仕事がもらえなくなるからだと思いました。免許や肩書きとは無関係に、体一つで勝負しなければならない。スタッフと視聴者の両方から信用を得られないと仕事がもらえない。365日、四六時中見られて、評価されているので誤魔化しが効かない。なんて厳しい世界だろうと思いました。もちろん、上記の関係構築能力・コミュニケーション能力の高さも、司会者・ゲストの方々ともに図抜けていました。

研修医の診断能力の高さ:
2年目、つまり1年の研修期間を終えた4人と症例検討をしましたが、皆さんの診断能力の高さに驚きました。学生と医師の診断能力の違いは、主に除外診断の効率性(学生は自転車。ベテラン医師は光の速さ)にあるという仮説を持っていますが、皆さんがそれを実証してくれました。皆さん、非常に的確に除外診断を行っています。ただし、それが言語化されていないので、1年間で自分が素晴らしく成長しているという自覚が出てきません。収録では、皆さんが意識下で高速に進めた除外診断のプロセスを、私が掘り出し、言語化して、持ち主に気づいてもらう作業をするだけでよかったのです。

医師以外に症例検討会に参加してもらう意義→peer and non-peer reviewerの確保:
ドクターGでは、司会の浅草キッドとゲスト(=全国の視聴者代表)にもわかってもらえるように症例検討を進めます。つまり全国放送で、一般市民とpeer(医者仲間)の両方に対して同時に、自分の診療が審査され、説明責任を果たすことが要求されるわけです。あの緊張感を普段の症例検討会にも導入できないか?と考えました。理想は、病理・剖検症例検討会に、患者家族を呼ぶレベルまで行けたらと思うのですが、それは若い人のこれからの仕事に取っておくとして(あるいはもうどこかで実行しているでしょうか?)、普段の症例検討会に、他の診療科の医師はもちろん、事務職を含めて、医師以外の参加もOKとすれば、皆さんが真摯に仕事をしていることが、より多くの人にわかってもらえるのではないかと思いました。

一般市民に自分の仕事を説明するって、実は特別なことでも何でもなくて、患者さんや家族に対していつでもやっていることなのですけれどね。

水道橋博士のコメント

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