むしろ事故の前に開示を

下記は一つの進歩ではある.確かに,診療録が得られず悶々とする時間がなくなり,訴訟に至る件数も少なく出来るだろう.しかし,事故の場合に診療録開示をするなら,事故が起きない場合にも公開するのが当然だろう.そもそも,事故が起こったって,誰が判断するのさ.事故かどうかの認定で病院の判断が入るって文句を言われるに決まってる.

むしろ診療録を開示を日常的にしてしまえば,なんやかやと言われずに済む.その一環として,退院時あるいは退院後の最初の再来日に患者さんや家族に退院時要約を手渡して説明するということを私は提案する.→退院時要約利用法

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
<医療事故>発生時、患者側にカルテ提供 大阪の病院

 大阪府枚方市の市立枚方市民病院が、医療事故が起きた場合、病院長に報告すると同時にカルテのコピーを患者や家族に提供することを義務づけた医療事故対応マニュアルを作成、運用していることが28日、分かった。医療過誤訴訟では、患者側がカルテ改ざんを主張しても立証は難しいとされるが、事故後のカルテ改ざんを防ぐのが狙い。患者の権利を守るための先駆的な取り組みとして、全国的に注目されそうだ。
 カルテは医師法で5年間の保存を定めているが、改ざんを禁じる項目はない。弁護士グループの調査で、過去10年間に全国の医療過誤訴訟で改ざんが疑われるケースが109件あったことが判明している。
 同病院は昨年3月、「医療事故発生時における対応指針」を策定。「事故発生直後の対応」の項目に「改ざん防止のために」という項目を設け、「事故発生時に病院長に報告すると同時に、それまでの診療録の写しを患者・家族に提供する」と明記した。家族の範囲については、父母、配偶者、子ども、生前に患者が指定した人。マニュアルに従うと、院内の報告と患者側への説明が同時になるため、改ざんする余地がなくなる。さらに同病院は今年3月から電子カルテを導入。カルテを修正した場合は履歴として残ることになっている。
 森田眞照院長は「医療行為に伴うミスや不自然な死亡などがあった際、患者や家族の方に、きちんと説明するために項目を設けた」と説明している。現在までマニュアルに基づき、カルテを提供した事例はないという。
 改ざん防止マニュアルは、同病院で起きた医療過誤の反省から創設された医療事故等防止監察委員協議会のメンバーが作成を提言していた。同病院は昨年4月から、請求があれば、例外なくカルテを開示する取り組みも始めている。【今西拓人、宇城昇】
 ▽市民団体「医療情報の公開・開示を求める市民の会」の勝村久司事務局長の話 事故が起きた場合、院内でカルテを保全して改ざんを防ぐケースは聞くが、患者側への提供を明文化したのは画期的だ。カルテを開示しないために信頼関係を失い、訴訟せざるを得ない状況に追い込まれる患者は多い。カルテの開示で医療そのものの改善にもつながり、医療過誤訴訟が減るのではないか。
(毎日新聞) - 8月29日3時3分更新
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

二条河原へ戻る