ノーベル経済学賞と公衆衛生

トランプ氏の得票率が高かったのは平均余命の短い地域」という記事がm3で紹介されていた.そこでは,経済,貧困,格差が市民の政治行動に及ぼす影響が論じられていた.この記事へに対する読者の書き込みで,「米国で白人中年の死亡率上昇、依存症など要因」とのWSJの記事が紹介されており,その記事の中で上記のPNASの論文が紹介されていた.
Case A, Deaton A. Rising morbidity and mortality in midlife among white non-Hispanic Americans in the 21st century. Proc Natl Acad Sci U S A. 2015 Dec 8;112(49):15078-83. doi: 10.1073/pnas.1518393112.

下記がその論文に掲載されていた図

この15年間での米国白人中年の対10万の各死亡率推移を疾患毎に示している.肺癌ではそれなりに減少,糖尿病は微増なのに対し,薬物が激増して肺癌のそれを上回り,自殺も肺癌に迫る勢いである.

著者のアンガス・ディートンはエジンバラ生まれ・育ちのプリンストンの経済学者である.英米の公衆衛生の伝統,裾野の広さ,人材の豊富さを感じる.

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