Eysenbach G and Diepgen TL. Evaluation of cyberdocs. Lancet 1998;352:1526
腎移植を受けてサイクロスポリンを服用している55才の男性が胸壁に痛みを伴う帯状の水泡について相談するという設定で,17人(無料10人,有料7人)のcyberdocを試した.質問に使われた状況設定は緊急に治療を要するのだが,適切な助言をしたのは少数で,待機してもいいとか,私の人参煎じ薬を買って服用すれば治りますとか,無料,有料にかかわらずでたらめを教えるサイトも多かったとのことである.
そらみろ,だからネット上での医療相談なんて上滑りなことをやるもんじゃない,患者の方もせいぜい偽医者にひっかからないようにするがいい,とあざ笑うのはた易い.しかし,事はそれほど簡単に済むわけではない.
これほどネットが発達してしまったのだから,好むと好まざるとにかかわらず,ネットは医療に入り込んで,すでに不可欠なものになってしまっている.私も実際に医療相談のメールを受けるし,自分自身,大学時代の同級生に専門外の相談事をするのにもメールを使っている.画像が必要な場合には添付書類で送ればよい.こんな便利なものを使い始めてしまった以上,もう後戻りはできないのだ.
だから,大切なのは,ネット上で生じるリスクをどう管理するか,どうやってリスクを小さくするかという知識と経験を積み重ねて実際のやりとりに活かしていくかであって,ネットを否定したりネットに背を向けることではない.