パニックとうつ
認知行動療法の宣伝記事から

週間医学界新聞(2007.8.20号)に掲載された、認知行動療法トレーニングブック宣伝用の座談会記事から

大野 パニック障害,社会不安障害で著名なイギリスの臨床心理学者デビッド・クラーク(ロンドン大)は「怖いものは外にあるのではなく,自分の頭のなかにある。ところが,いかにも外が怖いように思ってしまう。本当にそうなのか,行動を通して確認する作業が必要になる」といいました。そこで行動面の技法が有効になってきて,「実際はそんなに怖くない。自分がつくりだしていたものだ」と気づく。その気づきが重要なのです。

大野 うつ病の認知療法・CBTと,不安障害へのCBTには若干違いがあります。うつの認知の偏りは,3つの領域で起きるといわれています。自分自身に対して否定的になり,周りとの関係について否定的・悲観的になる。そして将来に対して悲観的になる。これを「否定的認知の三徴」(negative cognitive triad;ベック1963,1964)といいます。現実以上にネガティブな面ばかりを見て,どんどん自分を追い込んでいきます。

 ですから,うつの患者さんに対するCBTでは「自分はほんとうにだめなのだろうか? 自分はどの程度できるだろうか」という確認の積み重ねが必要になってきます。「自分を見つめなおす」という視点が入ってくるのです。

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