政商:国家による利害の抵触

小泉某,自動車保険屋の宮内某と警備会社の飯田某がグルになって運営している,経済財政諮問会議とやらのいかがわしさは,これまで本欄でも取り上げているが(お手本の内情),李 啓充先生も,続 アメリカ医療の光と影 第19回 Conflict of Interest(利害の抵触)(5) 組織レベルでの利害の抵触 (Institutional conflict of interest)でも,下記のようにコメントしている.

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問題意識希薄な日本の現状
 「利害の抵触」に関して医学界自らが厳しく身を律しようとしている米国と比較して,残念ながら,日本では「利害の抵触」に対する問題意識は著しく希薄であると言わなければならない。例えば,ある国立大学の教官が,自身が出資,設立した企業をスポンサーとした遺伝子治療臨床治験を,自らが勤める医学部附属病院の患者を対象に行なっている事例だが,「利害の抵触」が問題とされるどころか,逆に,企業を設立してまで「先端医療」を追求する教官はすばらしいと,まるで「美談」のように扱われている始末である。
 さらに,この大学の教授の1人はこのスポンサー企業の出資者に名を連ねているが,臨床治験の実施承認に際して,「組織レベルでの利害の抵触」に対する危険について配慮された形跡はない。この大学は,日本でも有数の研究施設だが,国を代表する研究施設に「組織レベルでの利害の抵触」に対する問題意識がまったく欠落していたとしても,実は,日本では驚くべきことには当たらないのかもしれない。
 なぜなら,現在,株式会社による病院経営を認めよと強く主張している総合規制改革会議を設立した際,その議長・副議長に,医療でのビジネス展開を積極的に推進している株式会社の代表者を据えたことでもわかるように,日本では,利害が抵触する立場にある人々を公政策の立案・実施から遠ざける,本来とるべき姿勢とは正反対に,利害が抵触する立場にある人々を責任ある役職に就けてその利益が追求しやすいよう便宜を図ることが,国のレベルで堂々とまかり通っているのだから……。
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