NEJM, Lancet拾い読み2003

病理解剖と医学教育
急性胸痛患者の診断
チクロピジン、風邪薬に敗北
ALLHATならずとも
診療への人工知能の本格的利用
統合失調症の総説紹介
SARSコロナウイルスの受容体はアンギオテンシン変換酵素2
ジェットコースター再び
米国・カナダ・日本
癌末期の患者のハンガーストライキに出会った看護師の経験
パーキンソン病の遺伝子治療が物議をかもしながら始まる
未破裂動脈瘤をどうするか
ACP Journal Clubから:プライマリケアでのうつ病jのスクリーニングに有用な指標,不明熱のスクリーニングに有用な検査と無用な検査
薬剤性肝障害の総説
臨床研究におけるエンドポイントの重要性
脳梗塞急性期:ヘパリンではなくアスピリン
抗うつ薬が自殺のリスクに?
強ミノCがSARSに効く?
デキサメサゾンは急性細菌性髄膜炎の予後を改善する
酸化ストレス防止ビタミン:やはりがまの油だった
英国で厚生副大臣が単身赴任解消のため辞職
止めを刺されたかHRT
Tocopherol, βカロテンには循環器疾患を防ぐ効果なし
新世代抗精神病薬への懐疑論
心房細動における脳梗塞予防
ジェットコースターによるめまいの治療
大量破壊兵器,米国本土にて発見!!
カルロ・ウルバニという男
Hallervordenと言葉狩り
カリニ肺炎診断の新指標
結核感染検出の有望な検査法
ホジキン病治療後の乳がんのリスク
日本の轍を踏む米国
レストランじゃあるまいし
セフェム系+アミノ配糖体併用よりセフェム単剤の方がよい
眉唾な遺伝子
アクリルアミド:泰山鳴動?
瓶にはプロピレン・グリコールも入っている
瓶には何が入っているのか?
医学雑誌広告のエビデンス


病理解剖と医学教育
O’Grady G. Death of the teaching autopsy. BMJ 2003;327:802-3
Underwood J. Commentary: Resuscitating the teaching autopsy. BMJ 2003;327:803-4.
McDermott MB. Obtaining consent of autopsy. BMJ 2003;327:804-5

病理解剖.それは患者家族が,最も傷つきやすい時に、初めての体験を強いることである。それは,家族には何の治療も、光明ももたらさないように見える。この難局を打開しなければいけない時,病理解剖の承諾をいただく時,病理医が病理解剖の説明と同意取得に関与しないのはなぜだろうか?積極的にすべきではないのだろうか。
日本語でもいい文章を書いている人がいる.→この国の剖検の行方


急性胸痛患者の診断
我々は、心窩部痛を訴え、心電図が正常の患者さんを鎮痙剤だけ処方して帰してはならないと、なぜなら心筋梗塞かもしれないし、大動脈解離かもしれないからと教育されるが、では、心窩部痛患者で,どういう時に心筋梗塞を疑うのかは,どこにも書いてない.と思ったら,ここには書いてある.心筋梗塞疑い例で、消化器病棟を満杯にしないためには、どういうトリアージをしたらいいのか?それがここに書いてある。
Lee Goldman and Ajay J. Kirtane. Triage of Patients with Acute Chest Pain and Possible Cardiac Ischemia: The Elusive Search for Diagnostic Perfection.  Ann Intern Med 2003;139 987-995.

チクロピジン、風邪薬に敗北
Gorelick PB and others. Aspirin and ticlopidine for prevention of recurrent stroke in black patients: a randomized trial.JAMA. 2003 Jun 11;289(22):2947-57.
白人よりも脳血管障害のリスクの高い黒人でどうかと見たが、チクロピジンは風邪薬の約束処方成分の一つに過ぎないアスピリンに勝てなかった。
10年前にはチクロピジンの方がいいとの結論が出ていたのだが、
Weisberg LA. The efficacy and safety of ticlopidine and aspirin in non-whites: analysis of a patient subgroup from the Ticlopidine Aspirin Stroke Study.Neurology. 1993 Jan;43(1):27-31.
必ずしもそうではないということだ。そうなると、日本人で是非知りたいところなのだが・・・

ALLHATならずとも
降圧剤のシステマティックレビューである。降圧剤はどれも似たり寄ったりで、血圧を下げることが本質的だというメッセージは変わらない。一番気になる、“どこまで下げるか”だが、ここではより強固な高圧療法の方がいいという結果になっている。ただし、それは収縮期圧ではなく、拡張期圧であることに注意。拡張期圧でおおむね80-85以下である。

Turnbull F; Blood Pressure Lowering Treatment Trialists' Collaboration. Effects of different blood-pressure-lowering regimens on major cardiovascular events: results of prospectively-designed overviews of randomised trials.Lancet. 2003 Nov 8;362(9395):1527-35.

次の論文でも,やはり降圧利尿剤が第一選択とのこと:
Psaty BM and others. Health outcomes associated with various antihypertensive therapies used as first-line agents: a network meta-analysis.JAMA. 2003 May 21;289(19):2534-44.

network meta-analysisなる、私にはよく意味がわからない手法を用いているが、そういうむずかしい手法を使っても、出てきたのは、降圧利尿剤が第一選択という、単純な結論。真実というのは、いつでも簡単なものだ。


診療への人工知能の本格的利用
Das A, and others. Prediction of outcome in acute lower-gastrointestinal haemorrhage based on an artificial neural network: internal and external validation of a predictive model. Lancet. 2003 Oct 18;362(9392):1261-6.

コンピューターの実地診療への応用は長く待ち望まれていたが、いくつかの事情でなかなか進まなかった。ところが、この論文を読むと、随分と見通しが明るくなった気がする。第一に、下部消化管出血という、一般的な問題を扱っている。第二に、BLEEDという臨床スコアリングや、multiple regression analysisと比較してもすぐれたperformanceを示している。使用する変数も病歴、臨床症状、バイタルサイン、一般検査所見で、どこの施設でも提供可能な26項目で、入力も4分で済むという。今回の検討は前方視的な検討ではないこと、人工知能システム自体が高価なこと、死亡予後予測の点で不安があることなど、いくつか課題があるが、さらに多数例で、前方視的な検討を各施設で行う価値は十分あるように思える。


統合失調症の総説紹介
Freedman R. Schizophrenia, NEJM 2003;349:1738-49.
この総説では,第二世代の向精神病薬を、錐体外路症状が少ないとして推奨しているが、最近のランセットのmeta-analysis (Lancet 2003; 361: 1581-89)によれば、必ずしも、第二世代が第一世代よりすぐれているとは限らない。一方、耐糖能に対する悪影響は第二世代の方が強い。今のところ、第二世代が第一選択剤になるという強固なエビデンスはない。日本で認可されていないクロザピンだけは、標準的な治療に抵抗する場合に有効だが、お決まりの無顆粒球症や心筋障害の副作用が問題になる。

SARSコロナウイルスの受容体はアンギオテンシン変換酵素2
Li W, and others. Angiotensin-converting enzyme 2 is a functional receptor for the SARS coronavirus. Nature. 2003 Nov 27;426(6965):450-4.
SARSの原因になるコロナウイルスのS蛋白のS1ドメインが,アンギオテンシン変換酵素2に特異的に結合することがわかった.これが診断や治療法の開発に結びつくかどうかは?

ジェットコースター再び
最近,本家でも,分家でも,車輪の軸が外れる事故があった.ジェットコースターによるめまいの治療とその反論については先に述べたが.今度は内頚動脈解離が起こったという症例報告.考えてみれば,いろいろなスポーツで起こるから,ジェットコースターで起こらない方が不思議です.特に今時のすごいやつでは,胴体がしっかり固定されている分,頚部のひどい運動が起こるだろうから,病気が起こらない方がおかしいぐらいだ.
Blacker DJ and others. A ripping roller coster ride. Neurology 2003;61:1255.

米国・カナダ・日本
S. Woolhandler, T. Campbell, and D.U. Himmelstein. Costs of Health Care Administration in the United States and Canada. N Engl J Med 2003; 349 : 768 - 75

10 年前,米国の医療の管理費はカナダの管理費を大幅に上回っていた.われわれは,コンピュータ化の大きな進行,マネージド・ケア,より能率的な医療方法の採用により,管理費が減少したかどうかを調査した.1999 年の医療の管理費は米国で合計 2,943 億ドル以上,すなわち国民 1 人当り 1,059 ドルであり,これに対しカナダでは国民 1 人当り 307 ドルであった.除外後の管理費は米国で医療費の 31.0%,カナダで 16.7%を占めた.米国とカナダの医療管理費の差は,国民 1 人当り 752 ドルに増加した.カナダ方式の医療制度の実施によって管理費を削減できれば,米国は多額の出費を抑えられる可能性がある.

この米国を真似ようとしているのが,日本の支払い基金のお偉いさんたちであり,総合何とか経済何とか諮問会議の人々である.日本の医療保険制度のコストパフォーマンスは米国はもちろん,米国の上を行くカナダより優れていると,WHOからお墨付きをもらっているにもかかわらず.何を考えているのか,全く.まあ,何も考えていないんだろうけど.



癌末期の患者のハンガーストライキに出会った看護師の経験
L. Ganzini and others. Nurses' Experiences with Hospice Patients Who Refuse Food and Fluids to Hasten Death. N Engl J Med 2003; 349 : 359 - 65
この論文の結論そのものについては,私がここで中途半端に解説するよりも,ご自分でじっくり読むことをお勧めする.それよりも,私がここで強調したいのは,実際に起こっていることから目を背けずに研究し,報告したという著者の態度である.臨床現場に忠実であれば,narrative studyであろうとも,そこにNEJMに載せられるネタが転がっているということだ.いつも言うように,ゼニはグラウンドに落ちているのである.

パーキンソン病の遺伝子治療が物議をかもしながらも始まる
Gene therapy trial for Parkinson's disease. Lancet 2003;362:712.
昨年の10月にFDAに認められたパーキンソン病の遺伝子治療が米国ではじまった.第I相で12例が予定されているが,その内容が問題.アデノウイルスベクターを使って,GABA合成酵素であるグルタミン酸脱炭酸酵素GADの遺伝子を視床下核に導入し,視床下核を”おとなしくさせる”という,珍妙な計画である.この治験を主導するニューヨーク長老派教会病院の脳神経外科医であるMichael KaplittはNIHのRecombinant DNA Advisory Committeeへ提示したデータによって安全性は示されているとして自信満々だが,多くの神経内科医は気違い沙汰だと非難している.例によって自分が設立した会社で作ったベクターを用いた臨床試験で一儲けしよういう,アメリカらしい筋書きが見えているが,果たしてうまくいくかどうか.それにしても,FDAはこんなむちゃくちゃな治験も走らせちゃうんだから,度胸いいよな.

未破裂動脈瘤をどうするか
International Study of Unruptured Intracranial Aneurysms Investigators. Unruptured intracranial aneurysms: natural history, clinical outcome, and risks of surgical and endovascular treatment. Lancet 2003;362:103-10

話は簡単ではない.というのは,年齢,動脈瘤の部位,大きさ,によって破裂の可能性も手術予後も大きく異なってくるからだ.詳しくはご自分で論文に当たられたし.残念なのは,世界に誇るMRI大国,脳ドック大国である日本が,このように大切な臨床研究に参加していないことだ.


ACP Journal Clubから:プライマリケアでのうつ病のスクリーニングに有用な指標,不明熱のスクリーニングに有用な検査と無用な検査

Henkel V, Mergl R, Kohnen R, Maier W, Moller HJ, Hegerl U. Identifying depression in primary care: a comparison of different methods in a prospective cohort study. BMJ. 2003;326(7382):200-1.
WHO Wellbeing index (WHO-5)なる指標が,GHQ-12やPHQ-9といった指標より,93%と感度が優れていたという.(スクリーニング検査としてなので,特異度は高くない).こういうものは,早く日本語版を作って有用性を確認してもらいたいですね.精神科医の重要な仕事だと思います.

Mourad O, Palda V, Detsky AS. A comprehensive evidence-based approach to fever of unknown origin. Arch Intern Med. 2003; 163:545-51.
腹部CT,ある種の核医学検査,感染性心内膜炎のDuke基準などは不明熱の原因検索手段として有効であるとのエビデンスはあるが,心エコー単独,MRI,D-dimer assayについては有効性が認められなかった.


薬剤性肝障害の総説

Lee WM. Drug induced hepatotoxicity. N Engl J Med 2003;349:474-85.

肝障害は最も多い薬剤副作用であり,ここ5年間でも2つの薬剤(bromfenac & triglitazaone)が承認後,市場から引き上げられたように,引き上げの最大の原因である.また,合衆国では急性肝不全の原因の半分以上が薬剤性肝障害である.また,入院が必要な肝障害の2割を占める.このように薬剤性肝障害は臨床的に重要な問題である.下記のその要点をまとめた.

1.薬剤性肝障害の3/4以上が(用量とは関係ない)idiocyncracyであり,アセトアミノフェンに代表されるような用量依存性型の肝障害は少ない.

2.idiocyncracyによる肝障害は1/1000?1/100,000の確率で起こる.

3.idiocyncracyによる肝障害は服薬開始から5-90日の間に起こる.

4.症状が起き始めてからも使用し続ければ重症化して急性肝不全となる例が多く,isoniazideのように服用を続けても重症化しないのは例外的である.

5.どういうわけか女性が7割以上を占める.

6.complementary/alternative medicineによるものが増加している.これは日本でも同様.

7.アレルギー性反応の症状はほとんどの例で欠如する.

8.原因薬剤同定に役立つ検査法はない.したがって同定はしばしば困難である.

9.アセトアミノフェンの場合のN-アセチルシステイン以外に解毒薬はない.ステロイドの使用はcontrolled studyがない.

10.審査の過程で:薬剤性肝障害を95%の信頼性で有意に検知するためには,薬剤性肝障害の起こる割合の3倍,症例数が必要である.idiocyncracyによる肝障害の確率は1/1000?1/100,000だから,どんなに肝障害の確率が高い薬でも3000例必要ということになり,第III相試験でも捉えることは不可能である.結局,市場に出てからはじめてわかるということになる.

11.ケーススタディ:
1)ブロムフェナックの場合:NSAIDとして97年に承認された.承認時は10日間以下の使用という条件が付けられたが,市場に出てからはその制限が厳守されるべくもなく,50例の重篤な肝障害が明らかとなって翌98年6月には販売中止となった.すべての肝障害例で30日以上使用されていた.

2)トログリタゾンの場合:インスリン抵抗性改善剤として97年1月に華々しく登場した.臨床試験では時に正常上限の8倍を越えるトランスアミナーゼ値の上昇が見られたが,可逆的であり,肝不全例はなかった.市場に出た後,肝不全例が出始めたが,当初はベネフィットが上回るとして,すぐには販売中止とはならなかった.しかし,その後,月ごとの定期的な肝機能検査を添付文書に追加したにもかかわらず,重篤な肝障害例が90例を越え(そのうち68例が死亡,10例が肝移植を必要とした)たため,承認から3年後に販売中止となった.


臨床研究におけるエンドポイントの重要性
Lowe GD, Sandercock PA, Rosendaal FR. Prevention of venous thromboembolism after major orthopaedic surgery: is fondaparinux an advance? Lancet. 2003 Aug 16;362(9383):504-5.

整形外科手術後の静脈血栓塞栓症の防止でNEJMに二つ,ランセットに二つ,どれも有効性を主張した論文が出たfondaparinuxだが,これらの論文の問題点を指摘している.要点は,術後11日までにルーチンの静脈造影によって見つかった無症候性の静脈血栓塞栓症という,代用エンドポイント.こいつと真のエンドポイントである症候性の静脈血栓塞栓症and/or肺塞栓症をごちゃまぜにしている点.あるいは代用エンドポイントの方を重要視することによって,真のエンドポイントで見ると,fondaparinuxの方がむしろ劣っている可能性を無視している点.並びに安全性の比較が不完全な点である.

臨床研究で,エンドポイントの評価が如何に重要かはどんなに強調しても強調しすぎることはない.たとえば,高脂血症治療薬の有効性評価にあたって,血清コレステロールという代用エンドポイントが,心血管死という真のエンドポイントに決して取って代わることができないように.


脳梗塞急性期:ヘパリンではなくアスピリン
Berge E, Sandercock P. Related Articles, Anticoagulants versus antiplatelet agents for acute ischaemic stroke.Cochrane Database Syst Rev. 2002;(4):CD003242. Review.
脳梗塞急性期の治療では,抗血小板剤単独は抗凝固薬や,抗血小板剤+抗凝固薬に劣らない効果を示すのが,いまや常識である.しかし.日本の臨床現場では,急性期,特に脳塞栓が強く疑われる場合にはまずヘパリンと日本独自のlocal drugを開始する.こういう根拠のないお作法治療が横行しながら何も批判されないという状態を何と見るか.日本神経学会のガイドラインの中でも,脳血管障害のガイドラインだけがいつまでたってもできないのは,おそらくこういう日本独自の治療,local drugが横行していて,それを退治できないからだろう.

抗うつ薬が自殺のリスクに?
Editorial. SSRIs: suicide risk and withdrawal. Lancet 2003;361: 1999
今や先進国の製薬市場を席巻しつつあるSSRIだが,うつ病の治療に使う薬が自殺のリスクを増すとしたら,こんな悲劇はないだろう.治療対象が自殺のリスクのあるうつ病だけに,その治療薬が自殺のリスクを高めるかどうかは,慎重な検討を要するが,それでもな,そういうデータを示す疫学研究が出てくるのだから,頭から否定せず,また鵜呑みもせず,見極めていくことが必要だろう.特に注意を要するのは18歳以下の患者であり,SSRIは成人に対してのみ使用可能であって,小児,思春期の患者には使うべきではないだろう.
強ミノCがSARSに効く?
グリチルリチンがin vitroでSARS-associated coronavirusを抑制した.その効果はribavirinよりも大きかったというのだが,果たして臨床的にはどうなるだろうか??
J Cinatl and others. Glycyrrhizin, an active component of liquorice roots, and replication of SARS-associated coronavirus. Lancet 2003;361:2045-6

中国では,漢方を使おうという動きもある.
China enlists traditional meds for SARS. Nature Med 2003;9:806

まあ,有効な治療法がない・明らかでないのだから,何でもありという感じなのだが.


デキサメサゾンは急性細菌性髄膜炎の予後を改善する
髄膜の癒着・水頭症など,髄膜炎に伴うさまざまな合併症を抑制し,髄膜炎の予後を改善する可能性が指摘されていたステロイドだが,きちんとした臨床試験で結果が出た.デキサメサゾンは10mgを6時間ごと4日間,抗生物質投与の前か,あるいは抗生物質投与と同時に開始する.
de Gans J, van de Beek D; European Dexamethasone in Adulthood Bacterial Meningitis Study Investigators. Dexamethasone in adults with bacterial meningitis.N Engl J Med. 2002 Nov 14;347(20):1549-56.

Review: Adjuvant corticosteroid therapy reduces death, hearing loss, and neurologic sequelae in bacterial meningitis
ACP Journal Club. 2004 Mar-Apr;140:34.
van de Beek D, de Gans J, McIntyre P, Prasad K. Corticosteroids in acute bacterial meningitis. Cochrane Database Syst Rev. 2003;(3):CD004305. [PubMed ID: 12918010]


酸化ストレス防止ビタミン:やはりがまの油だった
U.S. Preventive Services Task Force.Routine Vitamin Supplementation To Prevent Cancer and Cardiovascular Disease: Recommendations and Rationale. Ann Intern Med 2003;
酸化ストレスを抑制するとしてもてはやされてきた各種ビタミン,サプリメントの類はどうやらがまの油の域を脱出できないようだ. beta-carotene に至っては癌や心血管死のリスクを増す可能性さえ指摘されている.
According to the U.S. Preventive Services Task Force, the evidence is insufficient to recommend for or against the use of supplements of vitamins A, C, or E; multivitamins with folic acid; or antioxidant combinations to prevent cancer or cardiovascular disease. The Task Force recommends against the use of beta-carotene supplements, either alone or in combination, for preventing cancer or cardiovascular disease.

以上の見解は次のランセットの論文と多くの点で共通している.
Deepak P Vivekananthan and others. Use of antioxidant vitamins for the prevention of cardiovascular disease: meta-analysis of randomised trials. Lancet 361;2003:2017-2023


英国で厚生副大臣が単身赴任解消のため辞職
Malcolm Dean. UK Health Secretary hands in surprise resignation: Alan Milburn chooses to spend more time with his family rather than pursue career in politics. Lancet 2003;316 2138

NHS”改革”に辣腕を振るっていた厚生副大臣のAlan Milburnが,突如副大臣を辞めた.その理由は,1997年の労働党勝利時の就任以来6年間にわたる単身赴任生活を解消し,精神科のコンサルタント(病院部長職)をやっている妻と子供と一緒に生活するためだという.単身赴任,それも政府の要人が6年もの長期間にわたって単身赴任生活をしてきたことも,その職を途中で辞めて家族のもとへ帰ることも,両方ともに驚きだが,ランセットの記事は彼が去ったあと,NHSの”改革”がどうなるのかの方に関心があるようだ.


止めを刺されたかHRT

乳ガンのリスクが確実に増す上に,虚血性心疾患のリスクも減るどころか却って増えるかもしれないとの結果が出た.あれほどもてはやされたHRTとは何だったのだろうか.一過性の単なる熱病だったのだろうか.
Valerie Beral and Million Women Study Collaborators. Breast cancer and hormone-replacement therapy in the Million Women Study. Lancet 2003;362:419-27.では,とくに,estrogen-progestin併用でリスクが高いとのこと.

Women's Health Initiative Investigators. Estrogen plus Progestin and the Risk of Coronary Heart Disease. NEJM 2003;349:523-534

H. N. Hodis and Others. Hormone Therapy and the Progression of Coronary-Artery Atherosclerosis in Postmenopausal Women. NEJM 2003;349:535-545.

少なくとも一枝病変を有する226人を,対照群,estrogen群,estrogen?progestin群の三群に分けて,冠動脈の狭窄を評価指標として3.3年間フォローしたところ,各群間で有意差を認めなかった.


ビタミンE,βカロテンに心血管疾患を防ぐ効果なし
Use of antioxidants vitamins for the prevention of cardiovascular disease: meta-analysis of randomised trials. Lancet 2003;361:2017

新世代抗精神病薬への懐疑論
新しい薬を目の敵にする私をまたもや喜ばす論文が出た.

Stefan Leucht, Kristian Wahlbeck, Johannes Hamann, Werner Kissling. New generation antipsychotics versus low-potency conventional antipsychotics: a systematic review and meta-analysis. Lancet 2003; 361: 1581-89.

私の周囲を見ても,リスペリドンやオランザピンが蔓延しているが,その処方根拠は,錐体外路症状が少ないという薬屋のセールストークしかないように思っていたのだが,私の印象が正しいことをこの論文は証明してくれた.

つまり,新世代の(非定型的)抗精神病薬は,副作用としての錐体外路症状が少ないという利点は,ハロペリドールほど強い効果が得られないという事実との取引の結果であって,効果と副作用のバランスをクロルプロマジン換算で見ると,新世代抗精神病薬に利点があるとはいえない,つまりクロルプロマジンで十分(薬価が安いからむしろクロルプロマジンの方がいい)という趣旨だ.(個人的には,錐体外路症状が多少強かろうが,クロルプロマジンよりも血圧が下がりにくいハロペリドールの方が好きなのですが)


心房細動における脳梗塞予防
古典的だが,非常に答えの出しにくい問題だ.一口に心房細動と言っても,年齢,高血圧症といった危険因子の有無によって脳梗塞発症の可能性は違ってくるし,使う薬もワーファリンにするかアスピリンで留めるかという分かれ道がある.それがようやく少しずつわかってきた.かいつまんで言うと,リスクの低い3分の1の集団に対してはアスピリン,リスクの高い方の3分の1の集団に対してはワーファリン,残りの中等度の3分の1に対してはケースバイケースということなのだが,まだ,そんなにおおざっぱなことしかわからないのかと言うなかれ.ここまで来るだけでも,多くの人の地道な努力が必要だったのだ.臨床研究はさほどに労力を必要とするものだ.

Hart RG and others. Lessons from the stroke prevention in atrial fibrillation trials. Ann Intern Med 2003;138:831-838.


ジェットコースターによるめまいの治療
良性発作性頭位めまいは,三半規管の耳石の転移(あるべきところから移動してしまう)によるものであって,その耳石の位置を元に戻すためにあっちを向いたりこっちに寝転んだりするわけです.

最近のランセットに,やはり,治療抵抗性の良性発作性頭位めまいで悩む医者が,ある日,(自分の病気とは関係なく)子供にせがまれてジェットコースター
に乗ったところ,すっきり治ってしまったという自分の体験談をletterにして書いていました.
Matthias Wjst. Benign paroxysmal positional vertigo relief on a roller coaster. Lancet 2002;360:1792

ところが,すぐにこれに対して,ジェットコースター乗車が良性発作性頭位めまいの原因になった症例があるとの反論のletterも出ていました.
Michael von Brevern, Hannelore Neuhauser, Thomas Lempert. Benign paroxysmal positional vertigo: are roller coasters really beneficial? 2003;361

まあ,あれだけ不規則な動きをするのですから,治る人もいれば逆に病気になる人や,症状がもっと悪くなる人も,どれもありうるわけです.ですから,遊園地めぐりを勧めるものではありません.それこそ,自己責任,自由診療となります.なお,良性発作性頭位めまいに関してはNEJMにちきんとした総説があります.

Furman JM & Cass SP. Benign paroxysmal positional vertigo. N Engl J Med 1999;341:1590


大量破壊兵器,米国本土にて発見!!
Editorial. Agents of mass destruction found in USA. Lancet 2003;361:1575.
Now, while US forces continue their so far unsuccessful search for weapons of mass destruction in Iraq (including biological agents such as variola), US negotiators are doing their best to block another potentially huge public-health advance--global tobacco control.
これまでのところ,イラクでは大量破壊兵器は発見されていない.その一方で,アメリカ合衆国はもう一つの大量破壊兵器,すなわちタバコを守ろうと必死になっている.
カルロ・ウルバニという男
SARSの第一発見者であるCarlo Urbaniは1956年10月19日生まれ.学生時代からアフリカに行き,マラリアの勉強をしていた.1981年にイタリアのアンコナ大学医学部を卒業後,メッシーナ大学で3年間感染症を中心に研修を受けた.1990年に,アンコナにある総合病院の感染症副部長になった.1993年にWHOに加わり,モルジブ,モーリタニア,カンボジアと,世界を股にかけた.そして,SARSの第一発見者となった.彼は私と同じ年であり,同じ年数,医者をやった,そんなくだらないことでも,彼と共通点があることを誇りに思うほど,彼は輝く星となった.
Ivan Oransky. Obituary: Carlo Urbani. Lancet 2003;361:1481
Hallervordenと言葉狩り

ナチの虐殺で得た脳を研究して業績を上げたHallervordenの名前を関したHallervorden-Spatz病(おそらく,あなたが一生出会わないような稀な神経疾患だが)を,遺伝子変異も見つかったことだし,この際名前を変えたらどうかという提案に対して,いや,忌まわしい記憶を忘れないためにも残しておこうという意見もある.言葉狩りを考える上でもそのやりとりは興味深い.実際の診療には直接関係ないが,お時間のある方はご一読あれ.

Hallervorden and History. N Engl J Med 2003;348:1725-1726


カリニ肺炎診断の新指標
鑑別診断にはいつも上がってくるが,HIV感染がなければまず診断する度胸がないカリニ肺炎に有力な診断指標が現れた.血中のS-adnosylmethionineである.S-adnosylmethionineは,メチオニンとATPを基質として,S-adnosylmethionine synthetaseにより合成される重要なアミノ酸だ.ところが,Pneumocystis cariniiにはこの合成能がない.したがって,S-adnosylmethionineを外から取り込むことではじめて生存が維持できる.ならば,カリニ肺炎患者では,S-adnosylmethionineの血中濃度が低下しているのではないかとヤマを張ったら,これが大当たり!!
健常成人,細菌性肺炎,無症状のHIV感染者,クリプトコッカス感染のいずれでもS-adnosylmethionineは血中に検出できたが,未治療のカリニ肺炎では検出不能であり,治療によってはじめて検出できるようになったというのだ.これは使えるかもしれない.
Skelly M and others. S-adnosylmethionine concentrations in diagnosis of Pneumocystis carinii pneumonia. Lancet 2003;361:1267-8
結核感染検出の有望な検査法
あてにならない(とくに,BCGをやっている日本では)ツベルクリン皮内反応に代わる方法として,ヒト型結核菌に特異抗原に対するTリンパ球を検出するEnzyme-linked immunospot assay ELISPOTが報告された.
Katie Ewer, Jonathan Deeks, Lydia Alvarez, Gerry Bryant, Sue Waller, Peter Andersen, Philip Monk, Ajit Lalvani Comparison of T-cell-based assay with tuberculin skin test for diagnosis of Mycobacterium tuberculosis infection in a school tuberculosis outbreak. Lancet 2003; 361: 1168-73

ホジキン病治療後の乳がんのリスク
Deniz K and others. Lancet Oncol 2003;4:207-14
ホジキン病治療後の女性患者では乳がんのリスクが136倍にもなるという.こんな重大なことに,我々はなぜ気づいていなかったのだろうか?気づいていた人がいたとしても,なぜその人たちが声を上げ,重要事項として教科書に記載されていなかったのだろうか?
日本の轍を踏む米国
驚くべきことに,90年代後半から,米国で,広域スペクトルの抗菌剤の処方割合が急速に増加している.上気道炎に対する処方率は,91−92年は2割に満たなかったものが,98−99年には5割になっている.しかもそのうちの1/3以上がなんとアジスロスロマイシンとクラリスロマイシンだ.もちろん,この間,合衆国の呼吸器感染症の原因のうち,アジスロスロマイシンとクラリスロマイシンだけに感受性がある病原体の割合が激増したわけではない.一体,米国の医者の臨床判断基準はどうなっちまったんだ.こういった問題意識は私だけではない.ランセットでも,この論文は取り上げられている.
Michael A. Steinman and others. Changing Use of Antibiotics in Community-Based Outpatient Practice, 1991-1999. Ann Intern Med 2003;138:525-533

Antibiotic use in USA (Lancet 2003;361:1193)
Antibiotics are being used less frequently in situations where they are not needed, say investigators in the latest Ann Int Med (2003; 138: 525-33), but when doctors do turn to an antibiotic they are increasingly turning to broad-spectrum agents. The researchers found that use of antibiotics to treat the common cold and acute respiratory tract infections had decreased. However, use of broad-spectrum antibiotics increased in adults and children. As well as promoting bacterial resistance, such prescribing behaviour can also be quite costly, say the investigators.


レストランじゃあるまいし
患者様へのサービス向上とやらで,暖かい食事,選択メニューなど,どんな病院でも食事の工夫をしている.中には築地の料亭やミシュランの星つきレストランから料理人をスカウトしてくる病院さえある.しかし,どんなグルメでも,救急外来の生きるか死ぬかのベッドサイドで,何ページもある文書に目を通してはじめて,治療のメニューをどうするかが決められるっていう御用聞きは,真っ平ごめんだと言うに違いない.

でも,あなたが胸の痛みを訴えて飛び込んだ救急外来が,たまたま急性心筋梗塞の治療の臨床治験に加わっていたら,分厚いメニューが手渡されて,そのメニューに目を通してサインをしてからはじめて治療が始まりますって,どう考えても北野武のジョークの世界が目の前で繰り広げらることになるんだぜ.それが悪夢だと思ったら,夢からさめるために,バカヤロー,早く治療を始めねえかって怒鳴らなくちゃならない,

日本人よりも権利意識が強いだろうと思われるオーストラリア,ニュージーランドの患者でも,サインをする,あるいはサインを拒否する前に分厚いメニューをきちんと読んでいたのは2割に満たなかったそうだ.そりゃそうだろう,生きるか死ぬかって時に,そんなもの読んでいられるか.

かといって,この臨床治験の質が悪かったわけではない.天下のFDAの認可を取り,改訂版ヘルシンキ宣言にも合致したものだ.ただ,ICの文書の理解には18歳以上の学力を必要としたが,読解に十分な学力を持っていたのは,ICの説明を受けた患者のたった2割だったそうな.弱者を守るってお題目はどこへ行っちまったんだろうね.

Williams BF and others. Informed consent during the clinical emergency of acute myocardial infarction (HERO-2 consent study): a prospective observational study. Lancet 2003;361:918-22

同様の問題は心筋梗塞ばかりでなく,tissue plasminogen activator tPAによる脳梗塞の治療についても問題になっている.
Alfonso Ciccone. Consent to thrombolysis in acute ischaemic stroke: from trial to practice. Lancet Neurolgy 2003;2:375-78.


セフェム系+アミノ配糖体併用よりセフェム単剤の方がよい
少なくとも,好中球が減少している癌患者では,アミノ配糖体の併用は,腎毒性のリスクが増すだけで,セフェム単剤と効果は変わらない.私は駆け出しの頃,白血病の患者では,グラム陰性桿菌の敗血症の可能性が高いから,セフェム系に加えてアミノ配糖体を必ず併用するようにと習ったものだが,このレヴューには固形癌ばかりでなく,白血病も含まれているのだろうか?

Paul M and others. Beta-lactam versus beta-lactam-aminoglycoside combination in cancer patients with neutropenia. Cochrane Database Syst Rev. 2002 (2): CD003038


眉唾な遺伝子
なんでもかんでも遺伝子に責任を押し付ける遺伝子受難の時代がはじまって久しいが,その犯罪捜査の杜撰さを指摘しているのが下記の論文である.
Ioannidis JPA and others. Genetic association in large versus small studies: an empirical assesment. Lancet 2003;361:567-71.
Cardon LR and Palmer LJ. Population stratification and spurious allelic association. Lancet 2003;361:598-604.
別に遺伝子に限ったことではないのだが,相関関係があるということと,因果関係がある,病態に関与しているということはまったく別である.この当然のことが,こと,遺伝子のことになるとまったく無視されてしまう.

アクリルアミド:泰山鳴動?
フライドポテトやポテトチップスといったありふれた食品に含まれるといわれただけに,アクリルアミド騒動は大した騒ぎになったが,どうも当初騒いだほどの問題ではないらしい.そもそも,IARCが1994年にアクリルアミドを発癌物質とした根拠自体が動物実験だけだった.それにこれまでの人間の大量曝露例では,癌のリスクが増すという結果は得られていない.そして,今回,ニュージーランドのグループが一日あたりの人間の平均摂取量を計算したところ,0.3μg/kgだった.これは,ラットでの安全域上限の0.1mg/kgより3桁低い数字だった.これでまた,彼ら英国系(ニュージーランドはフィッシュ&チップスの元祖英国の流刑地)は安心してチップスを頬張ることになり,心筋梗塞を減らすチャンスをまた逃したというわけだ.

Shaw I & Thomson B. Acrylamide food risk.. Lancet 2003;361:434
Sharp D. Acrylamide in food. Lancet 2003;361:361


瓶にはプロピレングリコールも入っている
Tuohy KA and others. Agitation by sedation. Lancet 2003;361:308.

アルコール依存症の離脱後の興奮状態と診断してロラゼパムを投与してもよくならないのでどんどんロラゼパムを追加していったら,結局は,ロラゼパムに保存剤として添加されているプロピレングリコール中毒で譫妄状態になっていたというお話.

エチレングリコール中毒はアルコール依存の離脱症状と症状がよく似ている.そして,エチレングリコールとプロピレングリコールのガスクロマトグラフィーのピークは,割と接近している.だから,中毒分析検査室が,あらかじめ臨床医から,エチレンとプロピレンのどちらが疑わしいか情報を得ていないと,プロピレングリコール中毒をエチレングリコール中毒と取り違え,さらにロラゼパムが投与されることになった,というややこしいお話.


瓶には何が入っているのか?
PAGM DeSmet. Drug Therapy: Herbal Remedies. N Engl J Med 2002;347:2046

薬草が天然のものだからといって,それが安全だということにはならない.漢方薬だからといって安全なものとは限らない.中国三千年の漢方を飲んで健康になるどころか死人が出たのは記憶に新しいところだ.薬草の問題に突き当たったら,上の総説にあたられたし.ただし,薬草名がみんな横文字なのがちと面倒だ.


医学雑誌広告のエビデンス
Vilanueva P and others. Accuracy of pharmaceutical advetisement in medical journals. Lancet 2003;361:27-32.

エビデンスに基づいた治療と称して,製薬会社のドル箱である高脂血症治療薬や降圧剤の広告が,一流の医学雑誌にでかでかと載っている.そういった広告には,しばしばその一流誌に載った論文が引用されてその薬剤の優位性が謳われている.しかし,その引用は本当に正しいのだろうか?論文の意図するところを都合のいいように曲解して引用していないだろうか?こんなところを読んでいる物好きなあなたなら,きっとそういう疑問を持っているに違いない.えっ,引用文献がどんなに一流だろうと,薬屋の広告なんて,はなから信用しちゃいないから,疑問なんて持ってやしないって?まあ, コバシルの嘘でも既に触れたように,確かにそういう症例はありますが,あくまで症例報告ですからね.エビデンスとしては弱いですな.

そこで,この論文の著者らは,医学雑誌に掲載された高脂血症治療薬と降圧剤の広告のシステマティックレヴューをしたんですね.そしたら,どんなに一流雑誌に載ったRCTの論文を引用していたとしても,信用ならんという結論が出ました.まあ,予想通りとは言え,きちんとこういうことを調べて,それがランセットに載るのですから,地道に仕事はやるもんですな.