(まえがきより)
お客様は神様ではなく、かぐや姫だった。生産・流通・小売業者は、かぐや姫をお嫁さんにしたいばっかりに、絶対燃えない火ネズミの皮袋やツバメの子安貝のように、現実には得られないゼロリスクという名の宝物を捜し求め、ある者は遭難し、ある者は転落した。蓬莱山の宝の木を依頼された車持の皇子の場合は、依頼の品をかぐや姫に得意気に見せていたところ、それを作った職人が代金請求で押しかけてきたので、その場で偽物とばれてしまった。食肉偽装事件である。・・・・食の安全というが,BSEを生んだグローバリゼーションの流れの中で,食べ物の全ての身元を明らかにすること自体が不可能だ.地球上には麻薬や武器弾薬を商売にしている連中がいる.そんな連中がうようよしている国からも,日本は食べ物を輸入しなければならない.その食べ物に,正しい表示をしろといっても,おとぎ話だ.ごまかそうとする奴,悪い奴はどこにでもいる.決していなくらない.そういう現実から目をそらして,ゼロリスクを求めるのなら,ないものねだりのかぐや姫と揶揄されても仕方あるまい.