李 啓充著”アメリカ医療の光と影”(医学書院)は単行本になっていますが,週間医学界新聞のバックナンバーで,その内容はオンラインでも読めます.
下記はその抜粋
「銭勘定」で患者を「廃車処分」
このように,車両保険とマネジドケアとはきわめて類似しているのであるが,車両保険と医療保険とが決定的に異なるのは,前者においては車の損傷が激し過ぎて修理のコストに見合わない場合に保険会社が「廃車処分」を決めることがあるように,単純な損得勘定に基づいて保険者が「修理を行わない」と決めることができるのに対して,後者においては,保険者が損得の「銭勘定」で患者を「廃車処分」とすることが許容され得ないことである。 少なくともそう信じていた消費者にとって,保険会社は実はコスト抑制のためには患者を「廃車処分」にすることもいとわないというマネジドケアの現実は,大きな衝撃を与えることとなった。
いいですねえ.一流の講釈師,伝道師ですよ.ご一読をお薦めします.
実際に,廃車処分で手術費用の給付を認められなかった患者が保険会社を相手に訴訟を起こた.
Legal Issues in Medicine: Independent External Review of HMOs'Medical-Necessity
Decisions. N Engl J Med 2002;347:2178
,終的には最高裁で勝っているが,最高裁で判決が出るまで生き延びられたこの人はそれでも運がいい方で,多くの場合には原告が死んでしまうところが保険会社の付け目だろう..