ある日,56歳の男性が,突然発症の頭痛を訴えて外来へ歩いてきた.意識清明で,バイタルサインにも異常なかったが,突然の発症だったので,脳神経外科に紹介したところ,動脈瘤が見つかり,手術は成功,無事退院した.
後日,患者さんが加入していた生命保険会社から,私と脳外科医宛に,ボーナスが支給された.56歳の男性がくも膜下出血見逃しにより死亡あるいは高度障害となる疫学的確率と,その場合に保険会社が支払う保険金から換算した額なんだそうな.だから,それほどの高額ではないし,患者と医者という関係があるので,保険金詐欺は起こらない構造になっているとのこと.
また,このボーナス支給は厚労省と病院機能評価機構に報告される.その報告を元に,当該医師の診療行為について点数加算が行われるし,病院機能評価の際にもポイント加算されるから,病院にとっても喜ばしいことだそうな.
このボーナスポイント獲得を目指して,医療現場が効果的なリスクマネジメントを行って,事故を減らしてくれれば,長期的に見て保険会社のコストも減らせるとのことだった,実際に,このような介入により交通事故が減ったエビデンスがあるという.
以上,遅まきながら2004年の初夢というわけだが,誤りを罰するのではなく,このようなpositiveな動機付けが医療現場にほしい.現実を嘆くばかりではなく,こういう夢を実現しようと動き出せば,あなたの人生も,もっと面白くなるに違いない.